香 港  情 報


−飲茶に見る旅のスタイル−


 香港へ行けばいつも、朝・昼の食事には決まって「飲茶」を楽しみます。それも滞在中はほぼ毎日、それを続けます。そのため、香港に不慣れなころはガイドブック掲載店や一等地にある店構えの良い、ある程度値段のはる店での食事がほとんどでしたが、近頃ではできるだけ何度も飲茶が楽しめるようにと、とにかくリーズナブルな店での飲茶を心がけるようにしています。

 安い料金で飲茶を楽しむためには、油麻地(ヤマティー)や旺角(モンコック)などの下町にある、観光客がほとんど訪れない地元の人たちだけの飲茶レストランに行く必要があります。それらのお店は「特大」(飲茶店での料理は、小・中・大・特大などと料金により区分けされている)以外は同一料金で、安い店では一皿6HKドル(日本円で90円程度)ぐらいから食べることができ、ほとんどの料理がその範囲に含まれているので、本当に安い料金で満足することができます。

 例えば10皿食べたとしても、600HKドル(千円程度)という具合です。おまけに各テーブルには客が読めるよう無料で新聞が置かれていたりもします。「どうして今まであんな高いレストランばかり行っていたんだろう」と思うことは必至です。ただ、少し時間的な条件があり、昼食時間を除く前後の時間帯に利用となるのですが、最初に一日の食事時間の予定を立てていけば、それほどの問題ではないと思います。

 しかし、実をいうとやはり値段が安い分、ある意味で「コツ」というものが必要になります。観光客には、どうしてもクリアーしなければならない"問題"が発生するのです。そしてそれは一皿いくらという、均一の料金が低ければ低いほどその傾向にあります。それは、これらのレストランは、決して「観光客には優しくない」ということなんです。

 香港で飲茶を楽しむ場合、観光客が自分の食べたいものをうまく食べる方法は、回ってくるワゴンに近付き、せいろのふたを開けたり、ガイドブックの写真を見せて、自分の欲しい点心や小皿を選ぶというのがほとんどではないでしょうか。標準以上のお店では、日本人観光客などのあしらいもうまく、日本人がよく注文する料理を知っていたり、料理の日本語読み(例えばチマキなど)でもある程度分かってもらえるため、これらのやり方で十分、短い時間に好きなものを食べることができます。

 しかし、安い店ではこのようには行かないのです。まず絶対的に日本語は通じません。カタコトの日本語や英語もです。そして値段が安いのですごく混雑しています。また、観光客慣れしていないため、スムーズに対応できない客は放っておかれます。店が何階にもわたっているので、種類の違う料理の乗ったワゴンがなかなか回って来ません。ようやく回って来ても、呼ぶまでは近くに来ないので、売り子のオバサンの掛け声だけが、そのワゴンの料理を知る術になりますが、その声だけで何の料理かを判別するのは、まず不可能な状態といえます。もし広東語がほとんどできず、おまけに気が弱く、そして店のシステムを理解せずに入店したとすれば、いつまでたっても食べたいものが食べられず、お茶ばかり飲んでいるはめになるということです。

 では、どうすれば安い値段でスムーズに欲しいものが食べられるでしょうか。私の思うところ、まずあまりにも安すぎる店は言葉に自信がない限り、避けたほうがよいということです。かといって高い店に行く必要はありません。8HKドル〜10HKドル均一程度の店を選ぶと、観光客への対応においても多少の優しさは味わうことができます。

 次に自分の食べたいものは、あらかじめメモなどに書いておいて(漢字とカタカナの両方)、同時にできるだけ広東語での発音を覚えるということです。例えばエビシュウマイは「ハーカウ」、カスタードパイは「タンタ」などと覚えるのです。シュウマイは「シュウマイ」で通じます。そしてその「食べたいものリスト」のそれぞれが、「大・中・小・特大」などのどこに含まれるかも調べます。この情報は店の玄関などに書かれていることが多く、メニューがあればそこにも書かれていたりします。それにより、ほとんどが均一料金のため、自分の食事代がいくらかを正確に計算することができ、安心して食べることができるようになります。そしてそのような努力をすることにより、ワゴンのオバサンが叫ぶ料理名からセイロの中身を理解したり、目的のものがなかなか来ない場合には、店員に持ってくるよう注文する(ほとんどの客はこれを行っている)ことができるようになります。そうなって初めて、これらの店で満足に楽しく飲茶することができるようになるのです。

 ケチくさいと思われるかも知れませんが、少しの努力によって安い料金で満足できる食事ができれば、それにこした事はないと思います。旅先だからといって、観光・全食事付き団体観光客のように、湯水のごとくお金を使う必要はないと思うのです。現地の人にも負けないような、安い店を知っているなんて、すごく楽しいことではないでしょうか――。私にとっての「旅のテーマ」とは、ある部分そういうものを含んでいるのです。

 ちなみに「飲茶」とは、単語自体では"お茶を飲む"という意味しかありません。紙に「飲茶」と書いて店員に見せても、シュウマイが出て来たりしませんので、お気をつけ下さい。(友人が、初めての香港で実証済みです)

 また、ハワイ・ホノルルのチャイナタウンカルチャーセンターの二階にも、「特大」以外は1ドル50セント均一という飲茶店があります。参考まで……。
 


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