KSC神子元レース on Gaia
レーサーのしとは読んじゃだめ〜。
スタート:2000.10.14 Sat. 11:00am
コース:小網代−神子元−小網代(98マイル)


この番組は、茂木工業の提供でお送りいたします。(いたしま〜しゅ!)
Written by ガイア外洋帆走部へっぽこ部員・スミのじ


 神子元は辛いよ〜。もう、必ず吹かれてケチョンケチョンになるかんね。散々脅かされつつも参加を決め、ガイア外洋帆走部、久々のオーシャンゴーイングである。

ダサダサのスタートに始まった恐怖の神子元レース。葉山のお気楽レースと違って、本気モードの関東外洋せんしゅけんでは、ヘロいスタートはもちろん許してもらえなかった。スタート前、スピードをロストしてラフに応じられなかったら、下からガツンガツンぶっけられて、すっかりびびりバビデブー。横向いたまま、マークにくっついて止まってしまった。かな〜り、辛かった。トホホである。ぐるぐる回ってから再スタート。

 まさしく、順風っていっていいのかも。スタートエリアは13,4ノットの風。行きは方向228度に対して風向40度、即ジャイブで沖出し組と、スターボ岸突っ込み組みと二手に別れた。ガイアはとりあえずジャイブせずに岸へ。岸の艇団はKSCのみ参加組が多く、心無しかのんびりモードである。若干風が弱まったけれど、快調なスピンランを続けていた時、波で一瞬スピンが潰れた。その瞬間、バーン!と音がして、スピンがヒラヒラヒラと落ちてきた。まるでスローモーションである。下を走っていたアドぽんの視線を釘付けにしてしまった。

 ガッビ〜〜〜〜ン!なんでガイアまで!?
スピン落っこちるのは、ホビーホークだけで沢山だよぅ!

 出港前にバウレディース(マッキーとアタシ)の二人は、クライミングハーネスを引っ張り出してきて、

  あたし:「はい、これマッキー使うかもしれないからねぇ、アッハッハッハ〜」
マッキー:
「えー、あたしはイイ。すみちゃんのが似合うよ、キャハハハハ〜」

などとふざけていて、まさが本当に起こるなんて思っても見なかった。とりあえずスピンを回収し、ジェノアをアップ。「マ、マッキー、はい、これ」と恐る恐るハーネスを手渡すと、黙ってはき始める。おぉー、素直じゃんか。野崎さんがウインチに付く。マストで引くのは??あたしかー。「え゛ーーーっ、すみちゃんじゃ上がんないよぅ」とマッキーが言うので、なにょーー!と思い、狂ったようにトッピングを引き、マッキーを釣り上げる。フネが大きくローリングした時、マッキーがマストから離れてしまい、ぶらーーーーんと外に放り出された後、戻って来た。

ぎゃあぁーー!
と奇声を発しながら、大の字になってメインに激突。・・・。

 だいじょーぶー??とわたしはマッキーに声かけたけど、野崎さんはセールを心配していたようだ。ふー、マッキーで良かった。もぎもぎだったら絶対人型に穴空いてたよ。

 風はまた盛り返して夕方まで15ノット程の風で快調なスピンラン。結局川奈あたりで沖出し組とミートしたけど、それほどばらけず、ガイアはどんがめ組ではそこそこの位置をキープ。トイレに行ったついでに、そろそろナイト・モードに着替えようと思ってキャビンの中に居た時、いきなりヒールがきつくなる。今回は参加できなかったけど、外洋帆走部顧問のM下アニキの言ったとおり、爪木の手前で風は東に変わり、やや強くなる。おぉー、よかったよ、カッパ着といてー。スピンがタイトになったのでジェノアを揚げて、夕焼けのまっかっかの海をアビームでカッ飛ぶ。今日は大潮。SOGによると潮は1〜1.5ノットくらいの連れ潮だ。南流に乗っている。北への転流の19:00過ぎまでには絶対神子元を回らないと行き着けないねぇ、と話しながら走る。

 今回わたしは、ポケナビを首からぶらさげて、キャビン内のGPSと一緒にチェックしながら、なんちゃってナビ隊長。艇速によってコロコロ変化する到着予定時間は結構おかしい。艇速が落ちている時に見ると、不幸のズンドコに突き落とされるのだ。

 神子元が見えて来た。トップ艇は日没前に回航した模様。早く回ったフネは向かい潮を長い時間走らなくちゃならないから、差を詰めるチャンス。アプローチはアニキのあんちょこで準備万端だ。灯台に明かりがともり、徐々に薄暗くなってきた。西の山は、この夜の終わりみたいなすごい夕焼けに染まっている。

 GPSプロッタとハンディとデッキに貼った暗礁の詳細で、ひっきりなしに確認を取りながら、暗くなり始めていたけれど自分のコースを信じて行く。本気モードの人たちより、ちょこっとだけ大回でアプローチし、最後の小網代に向けるタックを打って、やっと緊張が解ける。ありがとう〜>アニキ、詳細図イカすぞ。やっぱGPSは二つあって初めて安心できると実感。1830無事回航し、さー、あとは頑張って帰ろう!ここまではすこぶる順調。こんな早い時間に回れるなんて思ってなかったのでまだまだみんな体力みなぎってるしー。

 帰りは49度に対して90〜100度の風、艇速8ノット。こんな風に爆進中は「ちなみにすみちゃん、到着予定時刻は?」などと聞かれる。きゃぁー、このまま一本で帰れたら夜中の1時にはフィニッシュじゃん!

 そのうちに、東の水平線から大きくて真っ赤な満月が昇る。赤い月ってたまに見ることがあるけれど、こんなに大きくてしかも満月の夜に、海の上で見るのなんてもちろん初めて。本物の"RUNA ROSSA"だ。夜光虫をかき分けながら、なんとも言えない幻想的なセーリング。月が高くなると、真っ白に輝きはじめる。

 たっぷりの風と月明かりの中をマッキーとハイクアウトしながら色々な事を話す。なんかさー、すごい楽しくて唄い出しそうだよ。回航してからどういうワケか周りのフネを確認できなくなって一人旅って感じになっていたけど。

 大島が近づいてきたころ、また風が北に戻りバンバン吹いてくる。KVHが25ノットを表示して、気づけば真上り。びちょぬれになり、あんなに楽しかったのにだんだん辛くなってくる。やっぱ神子元だから、そう簡単には行かないの??おしゃべりなバウレディースもすっかり無口になり、寒くて辛くい長ーいビーティング。いくら走っても一向に遠のかない大島。

 0000剣崎と城ケ島の灯台が見えてくる。あと少し。風は20ノットくらいで落ち着いて波はそんなに被らなくなった。突然、ポート艇が姿を現しミート。白いハル、こっちが前を切った直後、上でタックしてくる。誰だかわからないけど速い。ズルズルと置いていかれる。

 諸磯の灯台を通過して、赤白ブイを確認し、シーボを真横に見てから小網代湾に向ける。網のすぐ左を通過し、ついに、本部艇を発見。帰って来たぞ。網の横でアンカーライトを付けて止まっているフネがいるけどひっかかっているのか?それとも本当にアンカリングしてるの???

0317フィニッシュ。直後に、前のフネがアドぽんだった事に気づく。続いて2,3分後にあきづきがフィニッシュ。網の所にいたのは、なんとレース参加艇で、はるばる神子元まで行って帰ってきて、フィニッシュを目の前にして網に引っ掛かってしまったらしい。悲しい。

走りが良かったのか悪かったのかわかんない。辛い辛いと脅かされて行った神子元だけど、まー無事行って帰って来た。終始順風に恵まれいいまたひとつ、いい経験させてもらってうれしく思う。CRでは4位らしいけど、満足。でも、CRトップ艇とは修正で10分足らずの差らしい。ロングは本当に細かい事の積み重ねなので、あと一歩前へ進むには、もう少し全員がシビアなセーリングを意識し、どん欲に勝ちを取りにいかないといけないなぁ。でも、こんな風にセーリングを楽しんでいる私達みたいな底辺のセーラーが、オーシャンゴーイングにチャレンジするのは、すんごく意義のある事だとアタシ的には思います。

0500葉山に帰って、ホットウイスキーを飲んで爆睡。2時間の仮眠の後、かなりグロッキーだったけどナチュラルハイのまま葉山のレースを2本やってしまった(おまけにまたハリヤードトラブルでマストに登ってしまったアホウ全開の長〜い週末がやっと終わった。ちなみに野崎さんもー。ワハハ。

今日ぅ? そりゃもう、ボロボロに決まってますよ。

で、来年ガイア外洋帆走部はKSCシリーズにブリブリ参加することを宣言! 
する? らしい。 きゃー!

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