初島レース

2001.9.22〜23
コース:初島回航 48マイル
スタート:2001.9.22 22:00
参加艇:18艇

 毎年思うんだけど、秋って突然やって来ると思う。一昨日まで暑くて暑くてクーラーかけてお腹出して寝てたのに・・・。そもそも今年の初島レースは不参加のはずだった。最近ジョッシーレースを始めたわたしは、ひかりねぇさんやマッキー達と今頃アナポリスでブィブィ言わせているはずだったのに、昨今の情勢不安の折り、泣く泣く参加を取りやめていた。何だか空っぽになって、やけくそで金曜日のテーザー系宴会ではじけ、終電に乗り遅れ、奥様新橋からタクシーでご帰宅。あぁああぁぁあごめんなさい。これからはチャンとします。

 で、酔っ払って気づかなかっただけかもしれないけど、夜が明けてみたら秋が来ていた。さ、さぶい・・・。冷たい北風がぴゅーぴゅー吹いている。天気予報でも北がよく吹くと言っている。ブルーだ。しかもキボチわるい。

 3時過ぎマリーナに集合してみたら、やっぱり風はブンブン吹いていた。逗子レガッタもノーレースになったらしい。腹ごしらえをして、買出しをして、スタートに備える。

 今日のメンバーは、むんむん、ビール先生、伊藤クン、花井さん、無理矢理連れてきたひかりねぇさん、そしてわたし。風は東北東、それほど強風というわけではないけど、時折北っけ強めのガストが入る。初島は240度。スピンでかっ飛びか・・・。

 22:00定刻通りスタート。もちろん夜ということもあって、厳しいプッシュは皆無で、各艇慎重にスタートを切る。すぐスピンアップしたフネが何艇か、きっと大きめの船だろう。下で赤いのとぷ〜太もスピンを上げるけれど、ブローチング気味で非常にきつそう。ホビーホークはメンツを考えて、とりあえず外取りシートを使ってジェノアでしのぐことにする。速い連中はスピンでかっ飛んで行ってしまったようだけど、近くを並走しているスピン艇と比べてみると、特にスピードに差はなく、むしろ苦しく落とされている様子からみて、ジェノアでプロパーを行く方が得策と判断する。ひかりねぇさんのトリムもバッチリ決まり、花井さんのパンピングと相まって快走する。いい感じ。どんぴしゃりオンコースだ。

 夜空は快晴で星がきれいで、岸の明かりもはっきり見えて視界が良い。1時間も走ったらすぐに赤緑の初島灯台を視認できるようになる。平塚沖の漁礁も無事通過し、だんだん風が上がってきた。真鶴沖くらいから、強烈なうねりが入るようになり、風もさらに上がり何となくこれってサバイバル?帰りの上りを考えると今から憂うつになってくる。フネはグリングリンとローリングし、ジェノアでも爆走する。カッパを着込もうとキャビンに入ったはいいけど、つかまっても立っていられずに床に這いつくばって着替える。ビール先生も両手で舵を持って必死。これじゃスピンなんてたまらない。皆まだ上げているんだろうか。だとしたらスゴイ。ホビーホークは安全無難モードで完走を目指す。

 風は一向に落ちる気配はないけれど、初島に近づくにつれ後ろに回ってくる。アプローチは真ランに近くなり、ローリングがひどくてかなり厳しい。ブームパンチを食らったら、一発であの世行きって感じ。午前1時初島灯台をマグネット0度に見てロールコール。周りはいくつものマスト灯が見え、結構ダンゴ状態だ。葉山から真直ぐプロパーで来たHOBBY HAWKは、これまでの所、小型艇にしてはまずまずの位置のもよう。

 上りになったら、セールチェンジも十分ありうるので心の準備をしておく。この風でジェノアで行けるとは考えにくいので、回り込んでからタックチェンジができればグー。そろそろ準備をしておこうかなと思い、上のジブシートを手繰ろうとした瞬間、初島のブランケから抜け、どかーんと風が入る。あぁだめだ、ジェノアなんてとんでもない。タックチェンジするのも厳しかったので、とにかくジェノアダウン!ハーネス付けて四つん這いになって、波に突っ込んで見え隠れするバウに向かう。あ〜ぁ、水泳だよ (T_T)

 ヤマハの純正、ダクロンの3番ジブは小さく畳んで袋に入っているから、出してピークを探しているうちに風に煽られてグチャグチャになってしまう。結構モタモタしてしまったけれど(反省)、無事セールチェンジを終える。周りのフネは即タックしてポートで上り始めたようだけど、ホビーホークはセールチェンジの間タックできずにいたので結果的にそれらの艇団とはフェイスを分けた。さっきまでのぐしゃぐしゃの波が落ち着いて、かなり走りやすい感じなので、しばらくスターボを伸ばして岸へ突っ込む。

 タッキングアングルを考えて葉山の角度が真横ちょい上くらいになるまで岸に寄せ、そろそろかな?という頃にタック。波が悪いのでタック後の角度は悪く、葉山はまだ20度くらい上だ。このタックを伸ばすほかないので、長くて辛い、そして寒〜いクローズホールド。あとで聞けば、即タックしたフネは真鶴沖のひどい波に翻弄され、ワンポンリーフでなんとかしのいだらしいけど、HOBBY HAWKは時折厳しい時もあるけれど、フルメインと3番で安定して走っていた。岸に寄せたのは正解だったかもしれない。

 わたしはテルテールライトを付け替えに、またバウまで這って行き、これで完全に全身水没。ダメ人間になる。寒さと眠気で頭がボーっとしてくるし、もうこうなったら、温泉とか、南の島とか、暖かく乾いた揺れないベッドでぬくぬく眠ることとか、そんなことを考えて眠りの淵を行ったり来たりしながらしのぐ。で、時々至近距離からバケツで思いきり水をかけられるような波を受けて、真夜中のドン吹きの現実に引き戻される。うぅぅ、最前列でのハイクアウトって最悪。

 隣でライフラインにぶら下がるひかりねぇさんの顔をチラリと見る。あぁダメだ、ひかりねぇさんも、もうすっかりダメ人間になってる。むんむんも死んでる。時々後ろが「オーイ、だいじょぶかー?」などと声をかけてくる。わたしは「ぜんぜんへっちゃら!ダイジョブでぇーす!!」などと気休めでもカラ元気を出しとく。だって、辛いって言ったからって楽にはならないし、ここで降りる事はできないからねぇ。トイレにも行きたい。でもブン吹のクローズの中、ハーネス外してライジャケ脱いでひどいピッチングのキャビンの中でカッパも脱いでトイレに行くなんてやっぱやっぱイヤだ。ヨットってつくづく体に悪いと思う。

 丑三つ時を過ぎても風は一向におさまる気配はなく、相変わらずブン吹き。モチベーションを保つために、定期的に時計とGPSを見て、後ろに状況を伝えたりしてみる。でも・・・ツ、ツライ。連休だっていうのに、何を好き好んでこんなことやっているんだろう。みんな狂ってる・・・。

 東の空がなんとなく白っぽくなったような気がするけれど、まだ夜は明けそで明けない。オリオン座の中にある「なんとか星雲」まではっきり見える。岸寄りを行くHOBBY HAWKに女神が微笑んだのはこの頃から。だんだん風はリフトしてきて、ついに上り一杯でオンコースに乗るくらいのシフトを得た。ついに、朝日が上る。富士山もくっきりだ。あと少〜し!でも、明け方は9月中旬とは思えない寒さだ。すでにかなりの厚着をしているのでもうこれ以上は着られない。ひーっ、もうロング嫌いになりそうだ。

 江ノ島が見えて来てからは、風もややおさまり、うねりや波もぐっと少なくなった。長い長いポートのクローズだった。何気なく打ったタックだったのに、信じられないことに、とうとうワンタックでここまで来てしまった。あとは、傾いたフィニッシュラインを横切るためにスターボに返すのみ。7:17フィニッシュ。ふーーー。小型艇のわりにはいい線行ったかも。

 マリーナに着いたら2艇のリタイアを除くと5番目のフィニッシュだった。その15分後に紺フネが帰って来た。HOBBY HAWKを見つけるや否や、「ゲーっ、HOBBY HAWK帰ってやがる!!」と地団駄踏んでいる。フフフ。終わってみれば、強風の中18艇中5艇がリタイア、赤いのはシュラウドが切れてしまったらしい。幸いインターミディーだったのでデスマストは免れたようだけど、派手にオンザロックしてしまったフネもいた。HOBBY HAWKはたまたま全てが上手く行き、不思議な事に、行きも帰りも最短のプロパーコース、しかも帰りは始めクローズ一杯だったにもかかわらず、風のいたずらで行きと殆ど同じ航跡を辿る一本コース。無欲のレースでタナボタの第4位!!

 それにしても、ただただ辛いだけのレースだった。ビール先生は夜通し舵を持ち続け、腕が5センチは伸びたらしい。むんむんは廃人だし、わたしも鼻水ズビズバだ。誰かこのレースが楽しかったって人いるんですかー?だとしたらアナタ、もしかしてヒモで縛られたりするのも大好きだったりするでしょ。

 

レースリザルトはこちら。

HMYCレース第9戦までの中間成績はこちら。

2001年これまでの対戦成績!
(レポートが無いレースもちゃんと入れてあるよ)
対右舷お子様 6勝6敗  対赤いの 7勝4敗
対紺ブネ 8勝3敗    対ぷ〜太 9勝1敗
対変人じゃなくてカイジン 5勝3敗

[ニッパチ倶楽部] 対戦成績
エローズ 4勝2敗  対ダれトン 8勝1敗


   HOBBY HAWK
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