5. ボンベイのキャディー  1985年(昭和60年)頃

インドは 長い事イギリスの支配下にあった事もあって
なかなか立派な ゴルフ場がたくさん あります。

ボンベイにも、 町のど真ん中に一つと、郊外に一つあり 
日本人の駐在員や その奥さん等がよくやっています。
外国人のプレー費は決して安くは無いのですが、
何しろ日本人にとっては あまり他に楽しめる所が
無いので結構助かっているようです。

我々のように仕事で来ている ものに とっても同様で、
よく商社の方々にお世話になり 利用させて
もらいました。

インド紙幣

朝、車でゴルフ場に行くと、着いたとたん大勢の男の子(10才から15才くらいの)に
今日のキャディーを やらしてくれと囲まれます。

皆 裸足です。細身で真っ黒に日焼けした者ばかりです。

1ラウンド頼んで50円位だったと思います。

これとは別にフォアキャディーというのがいました。 ボールが飛んで行くあたりで待ってて いて、
打ったボールの行方を見定め ここにあるよと教えてくれる係りです。
この子らはゴルフクラブを担いで一緒に回るキャディーよりはランクが下で
年令も7〜8才くらいから12才くらいまでです。

気の利いた子は ラフや林に打ち込まれたボールでも すぐ見つけて 且つ 打ちやすいところに
知らん振りして移し替えておいてくれたりしてくれます。

ところがOBを出すと そのボールが見つかっても戻ってはきません。
OBを出すと(池に入っても同じです)、自動的に打った人の所有権は無くなります。
池には あらかじめ4〜5人が裸で入っていて ニヤニヤしながら打ち込むのを待っています。

初めの内は これを知らずにキャディーと返せ返さないで良く喧嘩をしました。
そのうち これは このへんのローカルルールなのだと あきらめたのですが、
どうしても納得でき ないトラブル事が未だありました。
それは ボールが良く無くなる事なのです。

フェアーウェイの ど真ん中に打ったのに 無くなる事があるのです。

フォアキャディーに ボールは何処にいったのかと聞くと、スネ―クホールに入ってしまっ たと
いうのです。確かに結構それらしい大きい穴が たくさんあちこちに あるんです。
ひどいのはカラスが咥えて行ってしまった等と いけしゃあしゃあと いうのもいます。
ボンベイは どうしてこんなにカラスが多いのか という位に多い事も確かなのですが。

彼等の フォアキャディーの一日の稼ぎが20円から30円です。
それに対して ロストボールは200円くらいも するのですから ボール1個の
価値があまりにも大きいんですね。
これではボールが良く行方不明になるのも やむを得ない事なのでしょう。

それに彼等は非常に器用で 足の指でボールを挟みポンと手の平に移したり、
そばの草むら にほうったりする事が とても うまいのです。 まるで手のようなんです。

ある時、その足をしげしげと見て驚きました。

親指と人差し指が互いに外側に湾曲していて、その間がちょうどリング状になっていて 
うまくボール を挟んで掴めるようになっている ではないですか。

小さい頃から この仕事をしているので いつのまにか指がそのように進化?して
しまったのですね。

そういえば昔、平泳ぎで金メダルを取った鈴木 大地という選手の手の指に 
蛙のような水掻きが出来ているのを テレビで見た事が あったのを思い出しました。

人間の体の、環境への適応力は すごいものがあるのですね。

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ボンベイの海岸
夕暮れに海岸を散歩するボンベイの人達
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