
石切神社に今日もまた人々はお参りに来る。
- 或る人は近鉄石切駅から坂を下り
或る人は地下鉄新石切駅から坂を登り、
また、或る人は車でと
- 近在は勿論、遠く北海道、九州、四国、東京と日本全国から
- 90歳を越えた老人から子供まで
月参りをする熱心な人、初めてお参りに来る人、
病気治癒、家内安全、人それぞれ多様な祈願を込めて
私はこれら善男善女の参拝人を相手に商いを営んでいます。
当店に立ち寄られ、食事をされていく。何かの縁で私との会話も時々有る。
話題は天候の話から景気、新聞ネタ、嫁姑、病気、神宗教、悩み、旅行など多様である。
お参りに来た人とは初対面のたった一回の出会いであるが、そんな一寸した話の中に真実や本音が有るかもしれない。私もこれらの話から、人生や人の有り様などを学んでいます。
出会い雑感
当店にお入りになられたお客さんとの雑談より
- H12/12/3
ヤツデの葉
食事に入られたお客さんが、庭に有るヤツデの葉を欲しいと言われた。
昨年も一人、ヤツデの葉を持ち帰った人もいた。
葉の手が八枚出ている物を探して。
縁起が良いのか。何か良いことがあるのか。 詳細は知らん。
いろんな人が居て、いろんな考えがあって、様々に生きる。
右の写真のように手が7枚の葉が多い。
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- H12/11/13

教室の授業より、外に出て
物に触れ、
人と話し、色んな事を見て、
みんな生き生きして元気よかった。
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社会見学
英田南小学校の3年生が参道を通る。手にはペンとメモ帳を持って。社会見学の授業である。
石切東、石切、日下、縄手等の小学校も来た。どんな店があるか。どんな物を売っているか。毎年通る。
参道が急に賑やかになる。
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狛犬の口に手を入れ、みんなワイワイ騒いでいた。 |
- H12/11/10
島根の松江から来たという、60歳を過ぎたと思える男性4人が、開店早々に入った。商店街を視察に来たと言われた。いろいろ聞かれたが、106軒の石切参道商店が(営業を)やって行けてると言う事に驚かれていた。『大したものだ』と言われた。100軒以上の参道商店が生計を立てられるという事は有り難い事であり感謝しなければならないのであろう。この参道を視察して何かを得て帰られたのであろうか。
- H12/9/24
どこか占をよく見てくれるところ無いかと尋ねる老人。孫が学校に行かないので心配して見て貰いに来た。長生きしても苦労ばかりや。どうしたら学校に行ってくれるのやら。不登校で悩んでいる家庭が多いことが分かる。。何かをしなければ、何が悪いのか。孫の事だがじっとしていられないのだろう。占の相談事は世相を反映している。
時給750円でLホテルの掃除婦をしている女性。夏休みは忙しかったと言う。Loveホテルが何故夏休みに忙しいのだろうか。その一因が先日の新聞(9/22)に載っていた。
東大阪の中学教師が猥褻行為で逮捕された。夏休み中、『勉強を教えてあげる』とドライブに誘い、女子生徒をLホテルに連れ込み、猥褻行為をしていた。この教諭は生徒の担任であり懲戒免職処分になった。
こんな事件が有ると言うのは、これと似たような事実が沢山あるのだろう。そこな事実がLホテルの夏休みを忙しくしたのかと納得する。
- H12/9/3
5〜6人の若い男女。かき氷を食べる。東北、山形から来たと言う。参道をみて歩き興味津々、大変面白いと感想をもらす。特に占の多さに驚かれていた。わざわざ東北から石切へ、そんな遠くからよく来たなとこちらが驚く。
- H12/8/5
78歳の老婆が『馬の油』を買って来たと言う。何に効用があるのかと聞くと、『顔に毎日塗っていて、こんなにツルツルだ。その他色々効能があり、私には関係ないが夫婦生活にも良い』と言う。
白いラードのような物である。無臭だ。後日、『馬の油』の効能書きを店屋の人に貰って来た。ガマの油のような物だと店主は言った。そこには、32の効能が記載してあった。やけど、痔、切り傷、口内炎、あかぎれ、夫婦和合用等々。
がま‐の‐あぶら【蝦蟇の膏】
ガマの分泌液を膏剤にまぜて練ったという軟膏。昔から戦陣の膏薬(軍中膏)として用いられ、やけど・ひび・あかぎれ・切傷等に効能があるといわれ、大道に人を集めて香具師(ヤシ)が口上面白く売った。
- H12/7/21
『孫』という歌謡曲がヒットしている。孫への愛情に満ちた詩が多くの老人の共感を得ているのだろう。その孫を心配した老女が、炎天下36度近くある参道を、占師を探して尋ね歩いていた。
老女の悩みはこうだ。
孫は19歳。今年、一年浪人して念願の大学に入り4月まで通学していたが、それ以降家を飛び出し学校には行かず男(31歳)と同棲している。母親は近くの神さんに、娘の改心を願掛け、足に豆が出来るほど毎日祈っている。どれだけ大事に育てた一人娘。そんな孫が早く学校に行き、男と別れられないか。どうしたらよいのか。そんな悩みを占師に見てもらいたく、家族に内緒にやって来たのだという。
『親の心子知らず』というか『恋は盲目』である。こんな話をしていると夕刊が来た。
奈良の看護婦が自分の子供や親に保険金目当てに薬物を飲まし殺害しようと自供を始めたと載っていた。
- H12/6/23
昨年までLホテルに勤めていたという老女と、(セクハラで逮捕、実刑判決の)横山ノックの女の話になる。『きょう日の女は怖いなあ』という。
Lホテルでのこんな話をした。部屋のカギを渡すと、女の方が先にドアを開ける。男は初めてLホテルに来たのに『なんで開け方知っているねん』と不信がり、そこで喧嘩が始まるという。最近は女の方が強いのである。
- H12/6/3
父の病気平癒を祈願し、お百度を踏みご祈祷をしてきたと言う。肥満体の学生である。
隣の見ず知らずの客に『良く肥えてるな。うちの孫に良く似てる』と話し掛けられ『ご縁があればまたどこかでお会い出来るかも』と答えていた。『袖すり合うも他生の縁』
氷を食べ終え合掌してご馳走様と言った。若くてもこんな人もいるのだ。
いつも感じるが、若い人のほうが『ご馳走さま』と言って店を出る。若い人の方が行儀、躾が良いと。
世間で言われる『近頃の若い奴は……』は信じがたいのである。
- H12/6/2
店が暇なので雑談になる。『、一人占を見て何千円。1時間に何人見る。掛け算すれば売上が。いい商売やといつも友達と話し合ってる』と中年女性が話す。『私も占師になりたい』とも言う。この類の話をする人は多い。人は誰でも思いは同じであるらしい。考えることも良く似てる。自分が思っていることは人も感じているのである。共感。『せやせや(そうだそうだ)』がいいのだ。共感は親近感を増す。人は共感を欲する。
- H12/5/16
あと数年で60歳になると言う京都から来た女性。公務員だが早く辞めてくれと急かされている。今日は有給休暇をとって参拝に来た。ルンルン気分である。占いを見てもらい『まだ辞めなくて良い』と言われた。見てもらうのが好きだと言う。ヤツデ、木蓮はあまり植えない方が良いとか、木は背が高くなるとあかんとか鬼門がどうのとか色々タブーに拘っている。迷信、タブーに拘る人は占いも好き。人間何か良い事をして死なねばあかん。私は目が悪いので盲導犬協会に死ぬ時寄付をすると。良く喋って帰る。人が(会社で)働いている時、こうして自由に(給料もらい)過ごせるのはいい気持ちらしい。石切さんお参りの小旅行は、ご利益と息抜きも兼ねたストレス発散には最適である。
- H12/5/10
50〜65歳ぐらいの女性客。あの黒い着物を着た占師は良く当たるかと聞く。5時間かけて遠いところから来たと言う。何処からかと尋ねると、湯村温泉から来たと言う。小指を立てて、主人のこれ(小指⇒女)についてワザワザ占いを見てもらいに石切まで来たらしい。占いが目的で、石切神社への参拝はついでに行くと言う。
そう言えば、最近は年配者の離婚相談が多いと占師が言ってた。
- H12/5/8
妹が首の近くに腫れ物ができ明後日手術する。近所の人に『石切さんでご祈祷して貰ったら良い』と聞いて、始めて宇治から来た60代の女性客。この妹の主人は15年程前にB型肝炎になり、つい最近肝臓癌で臓器を500gほど摘出したが、あちこち転移して今は焼いて除去している。また、主人のお祖父さんは脳梗塞で倒れた入院中。あんなこんなで5つご祈祷をしてもらってきたと言う。
この客曰く 延命治療はしてもらわないほうが良い 看護も大変だが本人も可哀想で見ておられない
女兄弟はこの妹しかいない。なんとか上手く手術が行って欲しい。御礼参りに良くなった妹を連れこの店にまた寄りますと祈願するような声で言って去った。この出会いが最初で最期か、それともご利益あって御礼参りか。病院ではケア出来ない気持ち、気分を和らげる、そんな効果を信仰が背負っている。
- もう歳や
お客さんが喋っている。テーブルを挟んだ前のお客さんと。
84歳になった。もう歳や。この坂道歩いてきたらしんどい(若い者でもしんどい)と。
老いた皆さん大変元気である。
我々50歳や60歳で「もう歳や」など言っては恥ずかしい。
80歳を越えてこの言葉を吐くのが長寿社会の現代であるらしい。
- みやげ袋
年老いたおばあさん。参道で購入したみやげを両手に携えて坂を登る。
重いし,邪魔になる。しんどいのにと思うのだが。
隣や近所の人にあげると言う。喜ぶと言う。
人が喜ぶことを、自分の喜びとする。他人の幸せを自分も喜べる。
みやげ袋には物の他に何か入っているらしい。
- もらう事も
80歳を越えた老女。東京に住む息子夫婦に参道で購入した漬物を送ったが、送り返してきたと言う。
その漬物が沢山あるので私にも食べてくだされと。少し頂いた。
せっかく親が送ってくれたのだ、邪魔でも受け取ってやれば良いのだろう。
人の親切や世話を受け取る事も、人を幸せにするらしい。
- 外人に説明
自転車に乗ったオーストラリア人が店に入る。
陳列の前に連れて行かれ、彼はサンプルを指差す。
身振り手振りのとっさの説明。
親子丼については「ckicken and egg, scramble and
over the rice」
他人丼 〃 「beef and egg and
scramble and over the rice」
木の葉丼 〃 <vegetable and egg
and scramble and over the rice>
分かってくれたのか他人丼に決定。満足して帰る。
帰りがけ自転車の空気を入れたいと言うので空気入れを貸してあげたが、接合部が合わなかった。外国製とは細かいところで(規格)合わないらしい。
- ご飯のおかわり
外人(欧米男性)が日本女性と入る。おでん定食を食べる。この外人ご飯のおかわりを4,5回した。よく食べる人である。開店以来のご飯の大食漢である。
日本人はご飯を食べなくなったと言われている。
外人でもこんなに沢山ご飯を食べる人がいるのだ。きっとご飯が美味しいのだ。
- 北海道から
夕張から来たと言う二人の女性。
昨日は東京で泊まった。今日新幹線で来た。
せっかく来たのだから占を見てもらおうか。どこが良く当たると聞かれる。
はるばる来たで石切へ
- 食べさせた西瓜
食事療養を強いられた老いた親、夏も終わりの時期,西瓜を食べたいと言う。
あちこち探し周り好きな西瓜を食べさせた。美味しいといって逝去する。
食べさせずに延命を願うべきか、好きにさせ満足して逝くべきか。
好きな西瓜を食べさせてあげて良かったと信じているとその人は言う。
そうやなと私も同意する。お客さんとの会話である。
- 木彫りの花立
60歳を過ぎた男。食事しながら尋ねる。この花立を露天で売りたいと言う。
杉の古木を加工して花立にする。そんな花立が家に150個ほどあり、売りたいと願い売り場所を探しに来たと言う。古木を探しに四国までも行くという。費用も沢山かかり妻に怒られていると言う。
枯れて捨てられている杉に手を加え、もう一度花立として人々に役立つ。
リサイクルの時代に相応しい
- ご飯は少しで
寒い冬の夕暮れ、一人の男性が店に入りおでん定食を注文。ご飯は少しでよいと言う。半年前、胃がんで胃を3/4切り取ったと言う。下着をまくり腹を見せてくれた。腹には長い横一文字に切った跡が。
冬の寒さにもめげず頑張って外回りをしている。冗談をよく言う朗らかな外交員であるのがよかった。
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- H
- H12/5/18
子宮筋腫で出血した。手術予定であったが、義母が『石切さん』にお参りすることを進められ、お百度を踏んだ。出血が止まり手術もせず現在に至り、以来『石切さん』を信じ他の神さんは参らないが『石切さん』だけ参っている。他の人々にも『石切さん』を勧めている。他人は色々言うが私は『神はいる』と信じていると言う。
今日も太陽が照る暑い日の中を、お百度を踏んだ。一生懸命お参りしたためか、汗も出なかったと言う。不思議だと言う。ご利益があるから、毎日これだけお参りする人がいるのだとの言葉に共感する。
こんな話をした今日の夕刊には、
森首相の『日本の国は天皇中心の神の国』発言問題が第一面を賑わしていた。
- ご祈祷料について
明治34年(1901)の朝日新聞の記事には
……その祈祷料が『一週間金一円五十銭』と下等が七十銭、……御神水は心持にてよろし…世の中に病人が多い、医者と病院が多い、その多い中にたって石切さまへ願掛けの病人も化ほどに多い。
現在の祈祷料は一万五百円、五千五百円,三千五百円とある。
毎日…8時30分〜4時
定休日…毎月9,19,29日
- 一円両替
おつりりを出す。おつりは1円と5円を混ぜてお願いしますと言われる。
賽銭を供えるためだ。確かに賽銭箱は沢山ある。全ての賽銭箱にお供えをするとかなりのお金が必要。神さん参りもお金が必要。
- 石切大仏の前の賽銭箱
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外観は継接ぎだらけだ。つぎ板と釘で何回も補修した後が。

参拝目的は病気平癒であり、自分や家族の健康祈願や家内安全祈願です。
<月参り>と称し月一回参拝する人が半数以上いる。また、多くの人が昔(10年とか20年など)から参拝している。参拝者の大半が習慣的参拝と言えよう。

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