<!--This file created 15:29  2004/01/24 by Claris Home Page version 2.0J-->
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   <TITLE>Warrior</TITLE>
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<P><CENTER><B>Warrior</B></CENTER></P>

<P><CENTER>ゴリアテのデニムの右腕にして幼馴染、ヴァイス・ボゼッグ。
</CENTER></P>

<P>
<HR>
<BR>

海辺にある、小さな教会の一室。<BR>

若い修道尼がベッドのシーツを張り替えていると、<BR>

コンコン、と木製のドアがノックされた。</P>

<P>「はい」 尼僧が返事をすると、小さな包みを手にした若い男が一人、入ってきた。<BR>

「あっ、ヴァイス様！」<BR>

ドアを開けた人物を認めると、シスターは慌ててペコリとお辞儀した。<BR>

「よおクレア、ご苦労だな」 簡素な服を身に纏った青年はシスターの名を呼び、軽く挨拶した。<BR>

「いえ、そんな事は…」 シスターは恐縮したように返事をした。</P>

<P>クレアと呼ばれた少女は、先の戦争で身寄りを亡くしていた。<BR>

戦いが終わっても頼るあてもなかったので、結局、<BR>

戦時中世話になっていたこの教会で、聖なる父の教えを学んでいた。<BR>

こうした戦災孤児は存外多く、孤児院を設立したり、里親を募るなど、<BR>

王国首脳はその対応にも追われていた。</P>

<P>「お前はよくやってくれてるよ」 部屋の中に進んだヴァイスは、<BR>

揺り椅子に座りながら窓の外を眺める、正気を失った男を横目に見ながら言った。<BR>

「でも、私にはこれくらいしか出来ませんから…」 少しはにかんでクレアは言ったが、<BR>

この新米の尼僧がよく働くことは、誰もが認めるところだった。<BR>

照れを隠すように、クレアはすぐに言葉を継いだ。<BR>

「あ、そうそう、ヴァイス様がおいでになるようになってから、<BR>

ランスロット様のお加減が良くなってきたんですよ」<BR>

「そうか」 ヴァイスが言うと、はい、とクレアは頷いた。</P>

<P>ハイムの戦役と名付けられた先の紛争が終わって暫くしたここ最近、<BR>

ヴァイスは、ゼノビアの聖騎士が療養中のこの教会に、足を運ぶ事が多くなっていた。<BR>

「そいつは良かった。見舞う甲斐があるってもんさ」 ヴァイスはそう言って、<BR>

一瞬ふ、と笑ったが、それは苦笑のような、冷笑のような、そんな印象をクレアは受けた。<BR>

すると、ヴァイスが思い出したように言った。<BR>

「お、そうだ、忘れてた。これ。毎回手ぶらで邪魔しちゃ悪いからな、土産だ」<BR>

ヴァイスは手にしていた包みを、クレアに向かって突き出した。<BR>

「え、そんな、頂けません！」 クレアは胸の前で手を振った。<BR>

「俺が持って帰るわけにもいかんだろ。寄進と思って受け取ればいい」<BR>

「でも…」 クレアは困ったように言った。個人が、勝手に物品を受け取るのは禁止されている。<BR>

「俺の土産は受けとれないか？」 ヴァイスは規則を知っていたが、意地悪く笑いながら言った。<BR>

何度か聖騎士を見舞いに通ううち、ヴァイスは献身的に聖騎士の介護をしてくれる、<BR>

この少女とも言葉を交わし、顔なじみになっていた。<BR>

ヴァイスは自分と同じ境遇のクレアに多少、親近感を持っていた。</P>

<P>クレアは苦笑した。神父様には、後から届け出ればいいだろう。<BR>

「…では遠慮なく頂きますね」<BR>

「ああ」 ヴァイスはニヤリと笑い、<BR>

「座るぞ」と、そばにあった椅子を引き寄せた。<BR>

「あ、気づかなくてすみません！」 慌ててクレアは謝ったが、<BR>

「いい。気にするな」と、ヴァイスは手を上げた。<BR>

「それよりそれ、開けてみろよ」渡した包みをあごで指してヴァイスが言った。<BR>

「でも、神父様に申し上げてからでないと…」 クレアが困ったように言うと、<BR>

「俺から言っといてやるよ」と、ヴァイスは言った。<BR>

「分かりました」 もう、何を言ってもダメだろう。諦めたように苦笑すると、クレアは包みを解いた。<BR>

「これは…お茶、ですか？」 中身を見たクレアが尋ねる。<BR>

「そうだ」 ヴァイスが頷くと、<BR>

「あ…！ すっ、すみませんッ！ すぐにお茶をお持ちします！」<BR>

クレアはまたペコリとお辞儀して、包みを胸に抱え、パタパタと部屋を出ていった。
</P>

<P>クックック、とヴァイスはおかしそうに笑った。<BR>

やれやれ、アイツは本当に屈託がないな…。<BR>

同じ孤児でも、俺とは大違いだ。アイツの明るさは、人の心を救ってくれる…。<BR>

それに比べて、俺は…世の中全てを恨んでいた。<BR>

二歳年下の少女と自分の差を思いながら、<BR>

ヴァイスはランスロットに目をやった。そして椅子をひき、そばに腰掛けると、<BR>

「よお、聖騎士さん…また来たぜ…」<BR>

二人きりになった部屋で、ヴァイスは、揺り椅子に横たわる、傷身の聖騎士に話しかけた。</P>

<P>「クレアは良くなってるって言ったがな…俺の事が分かるか？」<BR>

ヴァイスは声をかけたが、ランスロットは反応を示さなかった。<BR>

「そう簡単には治らねぇか」 ヴァイスは僅かに眉をしかめた。<BR>

ヴァイスはランスロットの視線の先を追って、窓の外の海を見た。<BR>

「アイツは行っちまったよ。アンタの剣を持って、アンタが守ろうとした国にな」
</P>

<P>この何処までも続くように思える広大なオベロの海の遙か向こう側には、<BR>

聖騎士の祖国、ゼノビアのある、ゼテギネア大陸が横たわっている筈だった。
</P>

<P>「アンタと会ってから、アイツは変わったよ」 ボンヤリと、ヴァイスは言った。<BR>

「アンタ達と出会うまで、俺とアイツの間に、大した差なんて無いと…そう、<BR>

思ってたんだがな…。多分、ホントに無かったんだ。だけど…」<BR>

ヴァイスは少し、言葉を切った。<BR>

「気づいた時には、もう、届かないくらい、俺とアイツの差は広がってた」
</P>

<P>「俺は、バカだった。余裕がなかったんだ。アイツの背中しか見えていなくて、<BR>

それを追って、追い越すのに必死で…。回りが見えていなかったんだ」<BR>

ヴァイスは床に視線を落とした。</P>

<P>「結局俺は、アイツを超えられないどころか…追いつけもしなかった。<BR>

なのに…アイツは行っちまった。残された俺は、アイツのお下がり騎士団の団長だ。<BR>

戦争が終わって、主立ったメンバーは皆騎士団を去ったのに、俺だけが一人抜け殻の中にいる…」<BR>

ヴァイスは拳を握りしめた。<BR>

「俺はこれから、どうすればいい？ 空中庭園で戦った、暗黒騎士団のボウマルカ人のコマンドは言った。<BR>

こうなった以上、ローディスは必ずこの島に攻め込んでくるだろう、ってな。<BR>

…分かってるさ、俺はアイツに後を任された。この島を、カチュアを守らなくちゃならないんだ。
</P>

<P>けど俺はただの成り上がりで、何の学もない。<BR>

出来る事と言えば、がむしゃらに剣を振るう事ぐらいだ。<BR>

でも今必要なのは、剣の力じゃない。政治力だ。<BR>

戦争中なら、強さで人を引きつけられた。<BR>

ウォルスタ、いや、民衆に自由を！ それだけで良かった。<BR>

でも…今はもうそれじゃダメなんだ。<BR>

新しい制度を創り出し、戦争で疲弊した、国力を回復させなきゃならないんだ。<BR>

けれど俺は、バクラムの貴族達みたいに、複雑な政治の事なんて分からない。<BR>

何も出来ない。何の役にも立てないんだ。<BR>

それどころか、ポッと出の俺を妬むバクラム貴族もいる。<BR>

民族団結の為には、かえって俺は邪魔なんだ…」<BR>

ヴァイスの声は弱く、消え入るようだった。</P>

<P>「女王を奉じて戦った、女王の義弟、救国の英雄、ゴリアテのデニムの幼なじみにして右腕、<BR>

ヴァイス・ボゼッグの名前を知らないヤツは、多分もうこの島には居ないだろう。<BR>

神竜騎士団の副団長だった俺は、ゴリアテ伯にも封じられた。<BR>

そうだ、俺は、地位も、名誉も手に入れた。だけど…」<BR>

ヴァイスは頭を抱えて言った。<BR>

「だけど…俺が欲しかったのは、こんな物じゃなかった！<BR>

俺が本当に欲しかったのは…地位でも、名誉でも…カチュアでも、ない…。<BR>

俺が、俺らしく生きられる世界だったんだッ…！」</P>

<P>「なぁ、教えてくれよ、聖騎士さんよ…俺は…俺は、どうすればいいんだ…？<BR>

デニムにしたように、俺も導いてくれよ…なぁ、頼むよッ…！」<BR>

それきりヴァイスは押し黙ったが、ランスロットは相変わらず海を眺めていた。
</P>

<P>暫くすると、ドアがノックされた。ヴァイスが慌てて頭を上げると、<BR>
失礼します、と、お茶のセットをトレーを乗せたクレアが入ってきた。<BR>

「お茶が入りました。遅くなって申し訳御座いません、<BR>

一応、頂き物の事を神父様に申し上げておりましたので…」<BR>

「ああ」ヴァイスは答えたが、<BR>

クレアはヴァイスの返事を待たずに、手際よくお茶の用意を始めていた。<BR>

「ああ、とても良い香りですわ。ヴァイス様はお茶にお詳しいんですね。<BR>

さ、冷めないうちにどうぞ。あ、砂糖はスプーン一杯でよろしいんですよね？」<BR>

お茶をカップに注ぎ終えた入れ終えたクレアが言った。<BR>

「ああ」クレアのどの言葉に答えるでなく、短くヴァイスは返した。<BR>

別にヴァイスはお茶に詳しいわけではない。ただ雑貨店の主に選ばせただけだった。
</P>

<P>「…ヴァイス様？」 クレアがヴァイスの顔色を窺うように訊いてきた。<BR>

「ああ」 これまでクレアが何か二、三、話しかけてきていたが、<BR>

ヴァイスが返した答えは全て、ああ、だった。<BR>

「…それでは、私はこれで失礼しますね。ご用の際はお呼び付けください」<BR>

ヴァイスに話をする気がないと察したクレアがお辞儀をして部屋を出ようとすると、<BR>

「ア…ア…！」 聖騎士が、弱々しく身を乗り出して腕を上げ、窓の外を指さした。<BR>

「何だ…？」 ヴァイスがそちらに目をやると、風に乗った海鳥が、空を舞っていた。<BR>

「具合が良い時には、ああやって、海鳥を指さしたりするんですよ」 クレアが答えた。<BR>

「そうか…」 あの鳥は確か、ゼテギネア大陸まで渡って行くはずだ。<BR>

鳥はいいよな…自由で、何処までも飛んでいけて…。ヴァイスは思った。
</P>

<P>ランスロットさんよ、アンタにも分かるのか？<BR>

あの鳥は、アンタの国まで飛んでいけるんだぜ…。<BR>

アンタも国に、帰りたいのか…？ヴァイスが視線を戻すと、<BR>

聖騎士が、自分を見つめているのに気がついた。いや、そう見えただけかも知れない。<BR>

「アー…」 一瞬後にはまた、聖騎士は揺り椅子に身をもたれさせたからだ。<BR>

「自由、か…」 海を渡った大陸には、何があるんだろう…。<BR>

そこでアイツは何を見て、何を思い、何を得るんだろう…。<BR>

ヴァイスは物思いに沈んだ。</P>

<P>「…私、聖地アヴァロンに行ってみたいと思ってるんです」<BR>

暫くして、クレアが突然言った。<BR>

クレアは退出するタイミングを失って、所在なげに立っていた。<BR>

「あ？」 ヴァイスは顔を上げた。考えに耽っていて、<BR>

クレアがまだ部屋に残っていたのにも気づいていなかった、</P>

<P>アヴァロンは、ゼテギネア大陸の湖に浮かぶ小さな島だ。<BR>

遙か昔、オウガバトルの時代に天より降臨した神の使徒にまつわる地であり、<BR>

ロシュフォル教やローディス教など、各宗派の聖地とされていた。<BR>

聖界に身を置く者ならば誰しもが、一度はその土を踏んでみたいと願うのだった。
</P>

<P>「でも、無理でしょうね…」クレアが小さな声で言った。<BR>

「そんな事はないと思うぜ」ヴァイスはそう答えたが、<BR>

何故クレアがいきなりそんな事を言い出したのか、分からなかった。<BR>

しかし今自分も、親友が旅立った大陸に、思いを馳せていた所だった。<BR>

「お前が進みたい道を進めばいい」<BR>

「…そうですね…」 クレアは言ったが、なんだか心許なげだった。<BR>

「ああ」 なんなんだ、一体？ヴァイスにはわけが分からなかった。</P>

<P>「それと…私、ヴァイス様の事、とても尊敬してるんです」 クレアがまた脈絡もなく言った。<BR>

今度は一体何だ？ ヴァイスはこの言葉に、どう答えてよいものか迷った。<BR>

「三つの民族に分かれて争ってた上に、<BR>

ローディスまで加わってた戦いを終わらせたんですから」 クレアは言った。<BR>

…まさか、独白を聞かれていたのか…？ ヴァイスは思い至った。</P>

<P>これまで、クレアから、尊敬しているなどと言われたことはなかった。<BR>
それが突然こんな事を言い出したのは、弱音を吐いていたのを聞かれたからに違いなかった。<BR>

自分の弱さを知られた恥ずかしさの余り、ヴァイスは顔から火が出る思いだった。<BR>
今すぐにもこの部屋から出ていきたかった。<BR>
</P>

<P>「それはデニムの力だ」 ヴァイスはクレアの顔も見ないで、ぶっきらぼうに言って立ち上がった。<BR>

「長居して悪かったな。俺はもう帰る」言ってヴァイスはドアへ向かったが、<BR>

それに構わずクレアは、胸の前に拳を固め、ヴァイスの方へ向き直って強い調子で言った。<BR>

「そうかもしれませんけど、でも、それだけじゃなくて、<BR>

ヴァイス様の力が絶対に必要だったと思うんです！！」<BR>

「何でそう思う！」 ガキに慰められたくなんかねぇ！ そう思ったヴァイスは思わずクレアを睨み、<BR>

吐き捨てるように返してしまった。<BR>

「…だって、私達バクラム人って、ウォルスタ人を差別してたんでしょう…？」<BR>

少し怯えたように、クレアが言うと、きつい調子で返した事を反省したヴァイスは、目を伏せて言った。<BR>

「…そうだな」</P>

<P>このバクラム人の少女には、その自覚がないのだ。<BR>

まぁ、そうだろう。実際には知らなかった人間の方が多いんだろう。<BR>

自分達が今、何の上に立っているかなど、考えた事もないんだろうな。<BR>

そんなモンさ。ヴァイスは苦々しく思った。</P>

<P>「それなのにヴァイス様は、バクラム人の女王様を助けてあげたでしょう？」<BR>

ヴァイスの思いを余所に、クレアは続けた。<BR>

「女王はドルガルア王の民族融和政策を引き継がれると仰っていた」<BR>

ヴァイスはドアのノブに手をかけたまま、目を合わせずに答えた。</P>

<P>覇王ドルガルアの民族融和政策は、王自身も平民出身で各民族と交わる機会があったためか、<BR>

完全とは言い難かったが、それでも大分、各民族に公平だった。ジュダ・ロンウェー公爵が、<BR>

少数民族であるウォルスタ人を率いてガルガスタン人とも渡り合う事が出来たのは、<BR>

王が存命の頃に与えられた領地から得られる税収に依るところが大きかった。
</P>

<P>「デニム様がバクラム人だったって事が分かった後も、<BR>

ヴァイス様はデニム様の力になってあげましたよね？」<BR>

「アイツも女王と同じで、ウォルスタ人として育ったからな」</P>

<P>解放軍の指導者デニムとベルサリア女王はバクラム人だったが、<BR>

ウォルスタ人の姉弟として育てられていた。<BR>

ヴァイスは、彼らと共に成長し、民族差別を受ける苦しみを分かち合っていた。<BR>

虐げられる被差別民族の苦渋を知る女王の政策は、<BR>

ガルガスタン、ウォルスタの両民族から、そう悪くない評価を受けていた。
</P>

<P>「けど、そんなに簡単に割り切れる物じゃないと思うんです！」<BR>

またクレアが声を大きくしたが、ヴァイスは素っ気なく答えた。<BR>

「アイツらは幼なじみで、親友だった」<BR>

「でも、でも！そういう恨みを忘れて、手伝ってあげられるのは、やっぱり凄い事だと思うんです！」<BR>

ヴァイスの顔は、恥ずかしさから紅潮した。</P>

<P>全く抵抗がなかったわけではない。<BR>

だが、そのバクラム人の王女がカチュアだったという事も、<BR>

確かに、デニム達に協力し続けた理由の一つではあったからだ。</P>

<P>「ウォルスタの人達が協力してくれたのも、<BR>

やっぱりデニム様を支えていた、ヴァイス様の力があったからだと私思うんです」<BR>

「そんな事は…」<BR>

「だからヴァイス様は、一旦神竜騎士団を辞められたのに、また副団長になれたと思うんです」<BR>

「…」 ヴァイスは沈黙した。</P>

<P>ロンウェー公爵の命令の許、ヴァイスはバルマムッサに住む、ウォルスタ人の同朋を虐殺していた。<BR>

ヴァイスはその時一度、あくまで公爵の命令を拒否すると言うデニムと袂を分かった。<BR>

その後ヴァイスはレオナールと共謀して、利に逸り失策を続ける公爵を暗殺した。<BR>

公爵暗殺後はヴァイスを新たな旗頭としてウォルスタ人をまとめる筈だったのだが、<BR>

レオナールはアルモリカ城においてヴァイスを殺し、虐殺の汚名を被せようとした。<BR>

そこへ現れたデニムと共に、ヴァイスはレオナールを打倒したのだ。<BR>

そして二人は全ての蛮行の責任をレオナールに被せる事によって、<BR>

公爵の指揮下にあったウォルスタ人達をまとめる事に成功したのだった。
</P>

<P>あの時はああするしかなかった。1年以上過ぎた今でも、<BR>

他に取るべきだった手段を、ヴァイスは考えつけないでいた。<BR>

俺が手を汚したからこそ、後にウォルスタ人をまとめる事ができたんだ…。<BR>

そうは思ってもやはり、己の行為は本当に必要だったのかと、今でもヴァイスは悩むのだった。
</P>

<P>「ヴァイス様じゃなきゃダメだったんです。だから、だから…」<BR>

「…」<BR>

「これからもヴァイス様は、ウォルスタの人達の意見をまとめて、<BR>

ヴァレリアの平和の為に、力を尽くされるんですよね！」<BR>

何故だかクレアは、思い詰めたように言った。<BR>

二人の強い口調に気を引かれたのか、聖騎士もヴァイスを見つめている。<BR>

「…そうだな」少しの沈黙の後、ヴァイスは答え、部屋を出た。</P>

<P>…まさかアイツに教えられるとは思わなかったな。</P>

<P>教会の玄関へと続く廊下を歩きながら、ヴァイスは自嘲的に笑った。<BR>

俺はまた、大事な物を見失うところだった。<BR>

俺にはまだ、俺が命を奪った同胞たちに対する責任が残っている。<BR>

俺の戦いは、まだ終わっちゃいなかったんだ。<BR>

今ここで、全てを捨て、アイツの後を追って行く事もできるだろう。<BR>

だがそれじゃ永遠に、アイツと肩を並べる事なんてできやしない。<BR>

今はここで、この島で、俺にしかできない事を成し遂げるんだ。</P>

<P>そうして全てを終えたなら、クレアを、聖騎士を連れ、海を渡るのもいいだろう。<BR>

いや、今日の礼に、必ずクレアはアヴァロンへ連れて行ってやる。</P>

<P>開け放たれたエントランスのドアからは、眩しい光が差し込んでいる。<BR>

外へ出たヴァイスが空を仰ぐと、そこには雲一つなく、蒼く、どこまでも晴れ渡っていた。
<HR>
</P>

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