木曜日生まれの子はどこまでも行く。 M.A.G.O.セカンド・アルバム『THURSDAY』。。。

01. run  02. 木曜日 03. 煙突 04. good 05. .落花生  06. ウインドパーカ 07.sea & shell 

自主レーベル teachers02 税込1,500円

 

M.A.G.O.

HA*(percussion,vo),冨岡映里(guitar,vo)

recorded and mixed by 稲田誠 photo by 都築響一

マザー・グースの童謡によると「木曜日生まれの子はどこまでも行く」らしい。さて、ちぐはぐな靴でヨタヨタと駆け出したまま、いつになっても帰ってこない家出少女がふたり。夕餉の温かな香りが道々に漂い始めても、団欒の笑い声にうしろ髪を引かれても、涙をこらえてヨタヨタ、ヲタヲタ。それが、 tomioとHA*、つまりはM.A.G.O.なのだ。ちなみに tomio(exザ・コケッシーズ)は、クラシック・ギターを驚くほど達者に爪弾きながら歌い、HA*は、ハンドソニックというサンプラー/パーカッションを叩いたり、手をかざしたり、もしくは踊ったりしながら歌っている。

さて、衝撃(?)のファースト・アルバム『an odd pair of shoes』( compare notes)から実に3年半振り。彼女たちは『THURSDAY』片手に、大勢の仲間を引き連れてご帰還あそばした。その木曜会というべきゲスト・チームのメンバーを紹介していくと、そこにはtomioと同じくexザ・コケッシーズ、現ピジョンズのサミー(Ds)がいて、 TEASI/OUT OF TOUCHの松井一平(G)がいて、さらに、テニスコーツの植野隆司(Sax)、Suspiriaの吉田ヤスシ(Vo)と青野忠彦( Ds)、54−71のBINGO(Key) がいる。その上、Suspiria/BRAZIL/ PAAPの稲田誠(B)がプレイヤーとして参加しただけでなく、録音/ミッ クスまでも手がけていて、それが本作の熱帯林のような音像を支えていることも忘れてはならないだろう。

とにかく、本作で耳を惹きつけられるのは、まず生々しさだ。少し湿っていて、指でつつくとボンっと跳ね返るような肉厚さがある。しかも、ふたりの歌声も、吐息を漏らしていたかと思うと突然騒ぎ出したりして、ますます手に負えない。どこか密室的な(親密な、としても良いだろう)世界観はそのまま、しかし、ここでは、隙間から光が射し、縦横に風が通っていくのを満面の笑みで迎えているのだ。彼女たちの音楽をうまく表わせるジャンル名などないし、きっと、これからも発明されないだろう。だけど、みんなが M.A.G.O.を愛している。その名付け親である都築響一氏も、ライヴで共演したソニック・ユースやイースタン・ユースも、そしてあなたも。

余談だが、オーストラリアの北東部には木曜島という島があって、戦前まで多くの日本人が、真珠貝の採取のために居住していたという。現在は残念ながら、真珠漁は行なわれていないようだけど、当時、異国の南洋に日本人移民たちが見ただろう、怖いような海の青さ・深さ、そして緑の濃さを想像してみると、あながち M.A.G.O.の『THURSDAY』と遠い世界ではない のでは、と思ったり。そして、その『THURSDAY』は「シェル捨てられカモメ落下」なんて歌詞で終わっているのだ。まるであつらえたかのように。(文:福田教雄)

M.A.G.O.プロフィール

tomio(Vo/claccic guitar)とHA*(Vo/hand sonic)のフィーメールデュオ。 都内を中心にマイペースに活動中。作品に1stCD『an odd pair of shoes』(compare notes)。 「中身の消えたクラッカー 氷を砕くアイスピック 火薬が欲張り..」 「落ち込んだ時のGOOD GUM 落ち着いた時のGOOD GUM ..」 そんな感じ。の我々の久しぶりのセカンドアルバム『THURSDAY』。カッコいいぞ(本人談)。