■ 2月の戯言 ■

2月2日

「えっと、拳が口に入ったっつーのは土方歳三だっけ。こいつ、意外と不細工だったんだよね。

かっちゃんは、新撰組とかの本、読んだことあんの?

幕府側のやつには興味なかったって?

んぢゃ、大石倉之助側の方がすきだったんだー。

え? 側って、何だよーって?

だから、新撰組の相手って大石倉之助側…。

え? 時代が全然違うって? そーだっけ? 

あぁ、新撰組の相手は坂本竜馬だね。

で、新撰組が勝ったんだべ、確か、竜馬斬って、その反動で階段落ちとかしたんだっちゃね。

階段落ちの場所?

そりゃぁ、あーた、蒲田行進曲っつーから、蒲田に決まってるやん。東京の蒲田駅の辺り。池田屋だかいう女郎宿か何かでしょ。

で、銀ちゃんってさ…銀のつく人って新撰組の誰だっけ」

何、呆れたような顔してるんでしょう。寝言は寝て言えって? 新撰組に対する知識って、こんな感じなんですが…わたくしの記憶に、どこか間違いでも?

2月3日 その1

「アナタはアタシより自分が好きなのよっ!」

「オマエはオレなんかより自分のことが好きなんだな」

別れ際によく聞かれるこの台詞。わたくしも言われてみたーぃ。そいで、こう答えるの。

「はい、大好きです。特に足の親指の爪の垢の匂い…萌え〜っ」

こんな嗜好の持ち主を人はよく「変わってる」とか申しますが、昨日思慮深く且つ常識的な友人に「その臭い、アタシも好き!大好き!癒される!それ普通。みんな大好き。それ常識」といわれました。

彼女がいうんだから、間違いないんでしょうきっと。

親指の爪の垢の香りは、本人を癒す力があるのですええ。

その昔、大手ガムメーカーが「貴方の好きな香りと味のガムを貴方のために作ります」とゆー消費者参加型企画なんぞをやっとりましたが、当時も「一噛みで口に広がる屁や爪の垢の香りガム」があればいいなと思い、公募しようとしてかっちゃん@旦那に阻止された記憶があります。

香りは合格でも、味をどうするかに問題があるから却下されたんですね。

だったら作ってください。

入浴剤「足の親指の爪の垢」。森林の香りとかより、絶対わたくしはリラックスできます。

2月3日 その2

昨日の晩飯は茶碗蒸しでした。

夫の帰りは午後8時を回るとゆーので、妻はさっさと一人飯するつもりで、レンヂの中にアルミホイルで蓋をした茶碗蒸し一皿をぶち込み、蒸し時間をセット。

「1人分だから、うーむ、9分ってとこか?」

我が家のクッキンヌレンヂは「10秒」「1分」「10分」単位のスイッチが3つあります。

ピコピコピコ、っと1分スイッチを9回連打。

出来上がれば音が鳴るし、それまで、アイロンでもかけてやろうと妻は2階へあがる。ワイシャツ3枚とハンカチ10枚と格闘し、「あぁ、コイツらを倒すのに随分と手間がかかってしまった。熱中してたので、レンヂの音が耳に入らなかったわい。茶碗蒸しは冷えてしまったのではないか」と心配しながら痺れる足で1階へ降りると、ウィーンとなにやら動いている気配。

仕事を終えたと思っていたレンヂは、まだ残業してたわけです。

あり?

走りより、調理残時間を確認すると「10:35」のデジタル表示。

きゅ!きゅーふんしかセットしてないのに、なんであと10分以上も蒸すんぢゃぁぁー! も、も、もしや、「1分スイッチ」と「10分スイッチ」を間違って9回押したのか? てことは、60分でゼロになるから、ええとええと10,20,30…30分?

慌ててリセットボタンを押し、大事なディナーを取り出す。激しくなる動悸を抑え、アルミホイルをゆっくり外す。

妻、あまりのショックで吐きそうになりましたよ。

茶碗ふちにこびりついた鼻糞のような塊。かろうじて原型を留めている鶏肉は、サイズが2回りも3回りも小さくなってる。

茶碗蒸しっつーものは、時間を間違うと汁気の全くない具の蒸し煮(しかも固め)になるので、ちういがしつよーです。

2月4日

かっちゃん@旦那は、結婚前から今でも501を好んで履いております。リーバイスの、ほれ、社会の窓がジッパーぢゃなくてボタンのやつ。

「コイツはいいぞ。履くなら、コイツを履け!」と薦められ、わたくしも長年愛用しているんですが。

このところ、脂肪増殖月間なもんで、しゃがんだ拍子にパツンパツンとボタンがはずれ、冷たい隙間風が恥骨を撫でます。その姿を何度も彼に見せているというのに…。

なぜ501がいいんだーっ!

検証してみました。

ボタンのため、隙間がありますわな。いちいちジーンズを下ろさなくても、そこに指を突っ込んで思う存分掻けるからだということに気づきましたよ。ほら、殿方の場合、インjキ0pンとか(焦って誤字)ございますでしょ。501を履いてる男子は、そう、皆股部白癬菌飼育中。間違いないですわ。

この検証結果に満足して、ビール片手に胡坐をかく。

パツンパツンパツーン。

おや、下っ腹に脂肪をコッテリつけると、指先どころか手首までズッポリ入り、まさに痒いところに手が届く状態ぢゃないですか。

なるほど、コイツはいい。便利、501。

2月5日

耳の付け根と脳天のちょうど真ん中あたりに何やら出来物らしき突起が突然現れ「やや、こやつ何者!」と爪で引掻いてみたら、痒いどころか思わず空中浮遊してしまうくらいズキンと激痛が走り、こいつは生易しい吹き出物とかではなくもっと恐ろしいモノなんぢゃないかと不安になってきた午後5時。

正体を暴く為に頭髪をワサワサと分けてその突起を露にし鏡に映したところ、ちょうど死角にいやがるでやんのコノヤロウ。

スゴイ気になる。気になってずーっと指の平で触りっぱなしで、益々突起が勃起中。痛いのに触らずにはいられない、こんな癖の悪い人差し指をなんとかして。

2月6日

昨日頭部にできた突起物が、触るたびにどうもカーブを描きながら脳天付近へ移動しているような気がするが、これはもしかしたら地軸の傾きと自転に関係があるのかもしれないと友人に話したところ「バカ!また妄想!」と冷笑されたので「またとはなんですか、またとわ!そうですか妄想狂呼ばわりですか」と開き直ったくせにその後は、「地球の裏側、例えばオーストラリア等に住む住人に同じような症状が現れたら逆の向きに弧を描きながら移動するのではないか」という発言は飲み込んでしまった小心者なので、当然、昨日「ちょっと変わった車に乗りたかった」という理由でバキュームカーを盗んだ和歌山県の男は、盗難、返却を繰り返していたことからも、実は車の運転が目的なのではなく、1回の踏ん張りで便所を詰まらせてしまうほど大量の糞をひりだすやつか、あるいは糞マニヤなのではないかと考えたのにそれも言えずにいたわけですが、要するに、改行と読点のない文章は、いやはや読みにくいものなんだなぁと。

2月9日

わたくしが利用しているスゥパから、時折1日パスポート券とゆー割引券が送られてきます。利用したい日を記入しすれば、その日だけは店内のどこで買い物をしてもお安くしときますよという貧乏人に優しい紙切れ。

そのパスポートを握り締め、買出しに出かけました。

レジで大仰にパスポートを差し出し、店員がしっかり割引しているのか睨みつけながら確認。

パスポートは僅か数秒で役目を果たし、その短い命を終えようとしていたわけです。

なんか、勿体無い。

店を出ようとしたとき、はたと気づく。

一日一膳飯は絶対に絶えられないけど、一日一善は偽善者としてやってみたい。そして、あぁわたくしって結構いいヤツ、と自己陶酔してみたい。

そう、このパスポート券を今から買い物しようとしている人に譲れば、きっと喜んでもらえるハズーッ!

「あら、ありがとう。先日、使い果たしちゃって今日はパスポート券はないしなぁ、って思ってたところなの。いや、ホント、助かります。ありがたやありがたや…」

拝まれて「せめてお名前だけでも〜」とか聞かれたりして。そしたら、勿論言うよ。

「拙者、名を名乗るほどの者ではござらん」って。

いざという時に噛まないように心の中で反復練習。

「せっしゃ、なをなのるほどのものでも…」

おーっし。完璧。

出入り口で、すれ違いざまにおねいさんに声をかける。

「せっしゃ、違う、あのー、ちょっとすんません。これ、使いませんか?パスポート券」

「…」

「いや、その、アチシはさっき使ったからもぅ用はないんだけどさ。今日一日はずーっと使えるしさ。ほら、捨ててしまうのは勿体無いしさ。どですか?」

「…」

まるでね、うんこの上に自分の財布を落としてしまったときのような顔してましたよおねいさん。後ずさりまでしやがって…。

「なっ!なんなのっ!」

おねいさん、走り去りました。

声をかけなかった回りの人にまで冷笑される始末。行き場を失った紙切れを高く掲げ、ええ、もちろんわたくしも笑っておきましたよ。大声で。

2月10日

昨日、某所のチャットではじめましての方と楽しく会話。数十分経過したところで、こう尋ねられる。

「おいくつですか?」

相手が誰かも分からないこーゆー場では、本当の年齢を暴露してしまうのもナニなので(ナニ?)、洒落た回答で返してやろうとしばし頭を捻る。

うーむ。

思いつかん。すると、続けざまに相手の書き込み。

「40代ですか?」

ナヌゥゥー?

いや、四捨五入すれば40だし、四捨五入しなくても四十路の扉は半開き状態で中から手招きされてますが。

「40代のおじさんでしょ」

益々ナヌゥゥー!?

おじさんってアータ。HNは「りえぴ」ですよ、り・え・ぴ。最後の「PI」が可愛らしさを強調してますやんか。ここは一つ、ガツンといきまっせ。このバカチンが!…と打とうとするもケツの穴の小ささが災いし「うーむ、当たらずとも遠からず」などと打ち込んでしまう。

「んぢゃ50代?」

ちょっと待てぃ。年齢、上がっとるやんけ。まぁいいけど。

そんな訳で、推定58歳のおっさんは、今日も箸先で新聞を捲り、ボロボロとこぼしながら飯を食らった後は楊枝を探すのでありました。

2月12日 その1

昨晩、煙草を吸いに外に出た(あ、うちホタル族なの)夫が、両手に惣菜パンを山ほど抱えて戻ってきた。「どうしたんだ」と尋ねると、ニヤけ顔で「空から降ってきた」と即答。ええと、ソコは笑うところなんでしょうか。

「だからー、どうしたんだってばさ」

「空から降ってきた」

アホかコイツ。5回も同じ答えを聞かされ、少しは捻ろ!つか、もぅどうでもいいやと相手にするのを諦める。

「いやぁ、たまたまTさんが通ってね。くれたんだ」

まぁ、そんなことだろうとは思ってたけど。大して面白くもない話を、しかも全く同じ応えを何度も聞かされる妻の身にもなってみろ…あ、そのガーリックパンとチーズこってり乗ったやつはわたくしが予約だから肝に銘じておくよーに。

そして今朝。

夫が出かけた30分後に妻はソロソロとベットから這い出し、階段を下りる。と、ふと目に入ってきたのは扉の開いた玄関。

「え?閉めずに行っちゃったの?」

15センチほど開いたその扉の向こうに、何故か車に積もった雪を下ろすための除雪ワイパーやバケツが散乱しているのが見えた。

「え?え?何?会社に遅刻しそうになって慌てて出てったから?」

けれど、目を凝らすと玄関のデッキの上にはトイレで使う世間では通水カップと呼ばれているが、高橋家で言うところのズッポンまでもが落ちている。普段はクローゼットの奥にゴミ袋に包まれて仕舞われているアレが、なぜそこに?

「も、もしや泥棒?」

犯人は2匹が吠えてちょっと怖かったから、ズッポンとか除雪ワイパーを盾にしたのか? あぁ、でも吠えたんだったら、気づかないはずないし。やっぱり泥棒ぢゃなくて慌てた夫が原因? でも、犯人が何食わぬ顔して家に上がったとしたら、こいつら、絶対尻振って喜んで金庫の在り処を教えるんだろうし(金庫はそもそもないが)。てことは、やっぱり泥棒?うっそー。

いつもはワインラックの上に無造作に置かれている財布。金運がありますようにと実母に贈られた黄色い財布。それが今朝はあるべき所で見つからない。部屋を見渡してみると、何故かCDケースにサンドされるようにそれは押し込まれていた。

じんわりと冷たい汗が腋の下から流れる。

震える手で財布を取り上げ、広げた。

「あっ!」

免許証も愛犬用の診察カードも、肉屋のポイントミートカードも、そして札より枚数が多いレシートも、全てが引き抜かれ空っぽだ。

「ど、ど、どろぼーだアワワワワ」

電話、電話。えーと、どこに電話? 免許センター? 肉屋? 

えっと、ここで目が覚めました。目が覚めた瞬間、慌てて階下へ駆け下り、財布の中身を確かめたのは言うまでもありません。

「あぁ、無事だ」

そして目が行ったのは惣菜パンの積まれたテーブルの上。

「!」

ないっ。予約しといた惣菜パン。

全く、パンは横取りするは、泥棒に入られるは、夫、許さぬからな。え?夫のせい?寝坊した妻のせいぢゃないの?とか思った人もーっ、ほらソコソコーっ!廊下に立ってなさーいっ!

2月12日 その2

名古屋に住む弟夫婦宅に、孫の顔を見るため九州から遊びに行ったわたくしの両親。

今日は、仕事である弟と身重の嫁を残し、孫のまゆを連れて東京デズニーランドへ出かけたといいます。本日の宿泊先は、ナント、天下の帝国ホテル。10年以上も前、1階の喫茶店でコーヒーを頼んだら1杯1500円近くも請求されて、次の日からキャベツの芯を齧るハメになったトコロ、帝国ホテル。思えば、あのときから高橋家の貧乏は続いていますヨ。糞。

「宿泊割引のチケットがあるからさー」

あぁ、なるへそね。

それにしても、案内人なしで大丈夫なんでしょうか。

初めてのトーキョデズニーランド。しかも、日本語喋れない幼児と、ボケかかった老夫婦。

「迷子になってない?」

迷子になったことすら気づいてない可能性もあるから、こーゆー尋ね方はどうかと思いましたが。

そこではたと気づく。

そういえば、以前、「アタシの携帯はVICS対応だからね。現在地を表示するんだよウホウホ。迷子になっても居場所がわかるんだよウハウハ」と自慢げに話しておったぞと。それなら大丈夫だなと。

いや待てよ、その後こう言ってたぢゃないか…。「でもさー、地図の表示のさせ方とか、要するに使い方が良く分からんのよねー」と。

ダメぢゃん。

しばらくして、返信がきました。

「大丈夫」

そうか取りあえずはよかった。

「まゆの云うことを聞かないのに閉口しています」

ナヌ?

若干3歳のまゆの指図に対し、親父は「やだー!グーフィーのお家いってピョンピョン跳ねるんだぁー!」などと駄々をこねてるっつー意味なんですかね。

あそこ、身長制限あるから入れないと思うよ…親父。

2月13日

わたくしをよく知る友人が「りえぴさんって、芸能人でゆーと誰に似てるの?」と聞かれて、「みさえ」と答えたらしいです。

みさえって何者だよソレ。

あぁ…オラ、のはらしんのすけ、5サイ、ショクギョーがヨーチエンヂ。のかーちゃんであるアノみさえかね。ちんこプラプラさせてゾウさんゾウさん〜というアホ息子に「おムネがたいらでケツがでかい」とか言われてる女ですか。

紅チン出して呆けてるBJと、貧乳飼い主を見れば、まぁナルホドな、と頷いちゃうのかもしれませんが。

それにしても、芸能人って聞かれたんだから、せめて実在の人物を挙げておくれよ頼むから。

どうでもいいですが、誰か土鍋貰ってくれないっすかねー。かっちゃん@旦那が某所でゲットしてきた土鍋なんすが。既にうちにはあるしー。土鍋なんて、一家に2つは必要ないっすからねぇ。防空頭巾代わりに被るつったって、重いし。

「あら、うちナイのよー。買おうかと思ってたのよー」

そういう方がいらっしゃいましたら、メールください。そろそろ鍋の季節は終わりそうですが…。

2月14日

なんですか!全く!

昨日、ケチで貧乏なりえぴさんが、せっかく土鍋を差し上げようといったのに。

メールなんて、一通もきやしませんでしたよ。

金槌で一撃するか、床に叩きつければ思った以上にコンパクツに収納できる優れものだとゆーのに(使えず)。豪華高級ダンボール箱に詰めてお送りしようというのに。

食材も添えろとゆーことなんでしょうか。

それとも、どうせわたくしが送る土鍋だから、犬の糞でも練って焼いたんだろうとお思いなんでしょうか。その方が大変ぢゃ。

と置き場所のない土鍋抱えて踊っていたら、「ほしい、おくれ」というメールが。キャッキャッキャ。よかった。里親がみつかって。うんと甘えてくるんだよ。早速、配送の手続きをしなきゃだね。土鍋君、おしっこシートは敷いておかなくても大丈夫かね?

「あのさぁー。土鍋なんてさー、今、安いのいくらでもあるべ。送料の方が高くつくんでねのか?」

と夫。うっさい。

2月16日

ジュババババズボボボシュッボシュ。

ポンプを押したら、サラが時々鼻から飛ばす鼻汁のように飛び散るリンス。

「おかしぃー。こないだお湯入れて増やしたばっかなのにぃー」

貧乏高橋家では、残り少なくなった洗剤類は水や湯で嵩を増やして使い切るのが常識になっておりまして。その増量行為を数日前にやったばっかなのに、もぅなくなったとは何事だ!と。

頭髪から雫をボタボタ垂らし、素っ裸のままで洗面台下の収納扉を開けるこんな姿、とても妻夫木クンにはお見せできないわ…。ひぃ、ケツが冷える。

「なんでだ、なんでだ」

はたと気づき、かっちゃん@旦那に尋ねる。

「あなた、リンスをもしや使った?」

ええと、彼のヘアースタイルは寿司屋に行けば客に「大将、オレ、アナゴとアジね」などと声を掛けられ、上棟式に出かけて餅や菓子を拾っていれば「棟梁!なにしてるんすかぁー!アナタは拾うんぢゃなくて投げる方〜」とか言われそうになるような、捻り鉢巻の似合う丸坊主一歩手前の髪形なんですよ。

「うん、使ったー。つか、いつも使ってるー」

アホか。死ね。リンスとかコンディショナーとか勿体無い。つか、無意味。

ママレモンつけて、焦げ付いた鍋でも洗っとけ。

2月17日

携帯電話に着信の表示。自宅の電話にも着信の表示。はて、誰だろうと確認すると実家の母親。名古屋から無事に帰ってきたよの報告だったのかしらん。

しばらくして、こちらから電話を入れる。

「んもぅー、さっきさー、『やっぱ孫は可愛いです』ってメールしたのよ、アンタに。でさ、ちっとも返事がこないから催促の電話入れたんだけどさー」

「え?」

「とーさんとさ『あぁ、あんなコト書いて送ったから、娘より孫の方が可愛いとは何事だ! ってアンタが拗ねてるのかもしれないねー』なんて話しててさ」

「え?え?ちょっと待て。貰ってないよ、そんなメール」

「ギャハハハハハー。そーなのよ。あんたに送ったと思ったらさー、とーさんの携帯に送ってたのよブハハハー」

「…」

「ところでさー、アンタ、よくもウチらのことボケ老人呼ばわりしてくれたね。ったく、何でもかんでもHPに載せてからーっ! もぅアンタには、なーも喋れん!プンスカプンスカ」

喋った後で気づいても後の祭りといいますのよ、母上。

2月18日

思わぬところから300万円という高額な入金が。おぉ、これは有難い。早速繰り上げ返済をしようか、それとも台所の上部の棚にリフト機能をつけちゃおうか、いやいや、庭師を呼んで愛犬が遊びまわれるよう美しい囲いを設置してもらうとか、うーん、なんに使おうかと想いを巡らせながら洗面所の引き出しを開ける。

あったあった。

980円で購入した愛用の鼻毛カッター。

昨晩、鏡の前でニーッと笑うと、寝起きの頭髪のように鼻毛がモッサリ顔を出してたからね。カッターですっきりさせねば。

そうだ、この愛用鼻毛カッターを金張りにするってのはどうだろう。

いや、それはちょっと成金趣味だしダサいわな。いっそのこと、未だ足を運んだことのないエステなんぞに行き、鼻毛の永久脱毛を施してもらおうか。

そうなると、この鼻毛カッターとも今日でおさらば、使い納めだスイッチオン。

「ありっ?」

電池切れでしたか。しょうがない。今日のところは、この小型の挟みで…ジョリジョリ。

「ギャーーーーー!」

肉を切ってしまいましたがな。全く、300万円程度の空想で血垂れとは情けない。

いや、もしもの話が3億だったら、もっと大変なことになってたに違いないと、無理に自分を納得させたりなんかして。あぁダメだ。

2月19日

ヨーグルトが分離して表面でチャプチャプしている、あの透明の液体のことをホエーってゆーんですってよ、ホエェ〜。ま、そんなコト知らなくても生きていけますけどね。

昨晩、風呂上りにPCでパズルゲームをしていたら、隣で自分のPCをいぢっていたかっちゃん@旦那が「侵入されたー」と騒いでおりました。

難しいことは、おバカなわたくしにはわかりませんが、どうも、どこぞの誰かが彼のPCに入ろうとした痕跡を見つけたらしいです。

「ここだよココ」

モニタに映し出された大陸のど真ん中。

「ココに住んでるヤツが犯人だ」

中国の方ですか。それにしても、地図があまりにも大雑把すぎて何丁目に住んでる方なのか特定はできませんわな。

「これが相手のIPアドレスで、それを調べればうんちゃらかんちゃら」

「ふーん、そうなんだぁー(聞いてない)。中国の人かぁ。ふーんふーん。それにしても、あなたの一体何が知りたいっつんだろね。趣味とか? 性癖とかかしら。お話してみれば? 差しさわりないコトなら、教えてあげてもいいぢゃん減るモンぢゃなし。あ、中国の人だから『ナニシリタイアルカ?』って中国語で話かけないと理解できないか…」

「寝る!」

2月23日

玄関のデッキに置いてある灰皿の吸殻が満タンになったので、処分せねばと袋を探す。

みかんが入っていたビニール袋を見つけ、おぉこりゃちょうどいい大きさだわいと、残り2個になったみかんを取り出し、袋を持ってイソイソと外へ。

指先に付着した灰に悪態をつきながらも、ビニール袋へザラザラと吸殻と灰を入れる。

おーっし完璧ぃー!

口を縛り家の中へ。あとは台所に置いてあるゴミ箱にポイすればいいのよねウハウハ。

とゴミ箱の蓋を開けたところで気づきました。みかんの入ってたこの袋…ところどころに丸い穴があいとりましたがな。

わたくしが歩いてきた玄関から台所まで、床には美しい灰の足跡が。よかったね、今のうちなら迷子にならずにおうちに帰れるよ、グレーテル。うがーっ!

この袋と一緒で、わたくしの頭も穴だらけっつーことなんですね。

2月24日

その扉には「室内土足厳禁」という札が貼られている。扉の中は全面古びた板張りで、足を踏み入れるとミシミシと音がする。部屋の四隅には直径20センチ程度の丸い穴が等間隔にあけられ、その穴の縁には干からびた汚物がタップリと付着している。

部屋の左奥と右奥に2つ扉があり、個室形式になっているところもあるが、その扉というのは西洋でお目にかかるような下部がオープンになっているもの。しかも、設置されているのは洋式ではなく和式のもので、尻を出してしゃがめば、外から丸見えになって全く意味がないのだ。全く、西洋かぶれの馬鹿な設計士め。それでも、全く仕切りのない唯の穴を利用するよりはマシだろうと、個室の扉を開いて中に入る。

そう、ここは便所。紙などというものが設置されていない、木造簡易便所。

床のいたるところに小便のシミ。乾いた場所を探しながら、つま先で奥へと進む。

「個室の方がマシだから」と入ってはみたものの、穴を開けただけの、隣の人の丸出しになった尻に顔を突っ込むように用を足さなければならないポットン便所より、使われる頻度が高いからなのか、ここの汚れは言いようもないくらいに酷い。

臭いも強烈で、息を止めていても涙が溢れてくる。

トイレットペーパーが設置されているわけでもないのに、それで拭き取ったのか大便がコッテリとついたトイレットペーパーの芯がいくつも転がっている。

便器の両側の足を置く場所には、前の人がひっかけたばかりの汚物が溢れている。靴下の先で比較的綺麗な場所を探し爪先立ちのままソロソロと下着を下ろして屈みこむが、数秒で脹脛の筋肉がプルプルと波打ち始め、神経にシナプスを接合させる余裕もなくなり限界を感じて用を足すこともなく再び下着を引きずりあげる。

「この床に飛び散った液体が、まさかか貝の汁とでもゆーのか!」

「わたしは、一体、どこで小便をすればいいとゆーのだ!」

人目もはばからず股間を押さえ、オロオロとその場に立ち尽くし泣く。

またもや夢の話で恐縮だが、けっこう頻繁に出てくる便所の光景なんである。

いつも、この木造の広い便所。扉の色も、広さも、床の軋む音も。たまに、穴を開けただけのポットン便所に尻をだしてしゃがみ、ウーンウーンと力んでいる女子がいた場面にも出くわした。

眠っている間に尿意を覚えると、トイレに行く夢を見るなどというが、別にこの夢を見て目が覚めて厠へ慌てて駆け込むということはない。

何度も同じ夢を見るのは、その昔、このような便所を利用したことがあり、あまりにも衝撃的だったからなのか。

夢の中でも「2階のトイレは木造の例のアレだから、別の階のトイレへ!」と走る自分がいる。けれども、別の階のトイレが異様に遠く、そしていつも見つからない。

一生懸命思い返してみる。

小学校のトイレがこんな感じだったのだろうか。

いや違う。多分違う。

頻繁に見るこの地獄のようなトイレ。これだけ何度も見せられると、もはや現実なのか夢なのかも分からなくなってしまう。

つまりなんというか、この区別のつかなくなった状態が、ボケ老人への第一歩なのだろうかと。

というか、真面目な文体でツラツラ書いても、所詮内容は便所ネタだし…。

2月26日

数日の間でロビン・クックの「ショック(卵子提供)」を読み終えてしまったので、入浴中に読む次の本を、はて、どれにしようかと迷ってみるものの、ここしばらく新しい本を購入していないので取りあえずは既読本で我慢することに。

ちょっと薄めの文庫本を本棚から引き抜き、パラパラと捲る。

読んでいる最中、面白い表現や分からない言葉を見つけると、ついつい四隅をペロリと折る癖があるのですが、その本にも案の定いくつか折り目のついた頁がありました。

「あぁ、4,5年前に読んだやつだ、コレ」

まぁ、いいや。

本を手にして風呂場へ向かう。

湯船に肩まで浸かって、さて読書開始。

「ふーんふーん、わっ、すげー。そうなんだぁー」

腹の中に住み着いている回虫にも、オスとメスがおるそうで、オスにはちゃんとチンチンまでついておるのだと書かれております。

「ふーんふーん。コレ大事ね。ココ、試験に出るね(何の?)」

そう思って、頁の隅を無意識に折ろうとしてハっとしました。

既に折り目がついとります。

当時も「うわー、そうなんだー」と言いながら無意識に折り曲げたんでしょうか。4,5年前からわたくしの惹かれる対象って、変わってない…。あれから、ちっとも成長してないってことですかね。いや、それにも増して、この記憶力のなさといったら…。

2月27日

「たった今、松本智津夫被告を乗せた車が入っていきました〜」

あのオッサンを乗せるためだけの車なのに、なんでバスサイズなんすかね。

聞くところによると、あのオッサン、便所に行かないらしいぢゃないですか。オムツ使用で小便も糞も垂れ流しなんですって?

同乗する係官が、隣に座ると臭くて居たたまれないからですか。

あの大きさの車を利用する理由ってのは…。

 

 

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