■ 4月の戯言 ■

4月1日

屁のつっぱりって言葉があるなら、屁のよりきりとか屁の小股すくいとか屁の一本背負いとかあってもいいのになぁ。

バフッ!

あぁ、一瞬突っ張った! 突っ張ったよ、おかーさーん。パンツの布地が風圧で。

なるほど。

夫がよくなったと思ったら、今度は妻、発熱頭痛悪寒ですよ、おかん!

エイプリールフールだとゆーのに、洒落た嘘の一つも浮かびません。

そんなわけで、療養のためコンビニ弁当持ってグリーン車でエーゲ海にでも行ってきます。

4月2日

ソファーの上で寝息を立てる愛犬の傍らに寄り添って転寝。パジャマに着替えて布団に入ればいいものを、こーゆーことをするから頭痛が治らないんだと分かっていてもやめられない。数時間近くその状態で惰眠を貪り続けた。どれくらいたっただろうか、突然、足元の方からワッサワッサと布地の擦れる音がする。どうしたことかと目をやると、股座にクッションを挟んで寝ていたBJが、一心不乱に腰を振っているではないか。不細工な顔をして寝たまま。

「おい!ちょっと!」

声を掛けるが、数ミリ開いた瞼の奥に納まった黒目はグルグルと不気味に動いたままだ。眼球が飛び出たこの犬は目を閉じようとしても瞼の容量が足りずに、熟睡しているときも半開きのままなんである。赤ん坊と動物の寝顔は無上に可愛いなどといわれるのに、コイツはなんだ…キモすぎる。しかも、寝たまま吠えたり顔をヒクつかせたりバタバタと足を動かすし。

「起きろ!理性を取り戻せ!(無理)」

その言葉に、カクカクと動かしていた腰のスピードが一気に速くなってしまった。

「うわー!出てるしー!出してるしー!」

紅チンも汁も丸出しだ。体を揺するとやっと覚醒したのか、自分の下半身を他人のモノのように見下ろし、そして舐めた。

よーく見ろ、このクッションに出来たシミを。まさか、これを「涎です」とは言えまい。え?シモから出た涎ですと? うがーっ! こんなだから、近所の子供たちに変態呼ばわりされるんだ。まったく、こちとら具合が悪いとゆーのに、クッションの洗濯とゆー余計な仕事を増やしてくれやがって、と悪態をついたところで思いなおす。

そういえば、著名な芸術家とか天才とか言われる人物には変態が多いよな、と。

ワーグナーは女を得るために手段を選ばなかったとゆーし、ピカソもゲーテも老いて益々だったし、フーコーはエイズ、ニーチェなんて梅毒で亡くなってるし。変態と天才は紙一重ってゆーからね(違)。

あぁ、愛しい我が愛犬(言い聞かせてみたり)。

関係ないけど、梅毒のことをフランスではイタリア病、イタリアではフランス病と呼んでいるそうな。

4月5日

随分前からココでペットを飼っていたんですが、つい最近こんなものにまで手をだしてしまい、チャット三昧で益々引きこもり気味のわたくし。しかも、家具なんかまで揃えちゃって、一体何やってんだか…。でへへ、こっちでもペット飼っちゃうもんねー。突然ものすんごい多頭飼いさんですよー(バカ?)。

このHabboっつーやつ、言葉フィルターなどとゆーものが使われておりまして、汚い言葉や少々エロい言葉を瞬時に「ボバ」とゆー言葉に置き換えてしまうわけです。

そんなわけで、チャット中に「ボバ」を連発しているやつがいたら、それ、わたくしですんで(汗。しっかし、うんこがボバに変わるのに、糞がそのままとはこれいかに。

4月8日

カツ丼が食いたいなどと、トシをわきまえず欠食児童のようなことをぬかす夫のために、それならばと普段より多めに米を研ぎ、油に塗れながらカツを揚げる妻。狐色にこんがりと色づいたところで卵が一つもないことに気づく。わわわ、参った。これではカツ丼ができないではないか。しょうがない。だったら、ただのとんかつ定食で今日のところは我慢してもらおうと、キャベツを取り出し千切り殺法をお見舞いする。大盛りキャベツに揚げたてのカツを並べて、仕上げはソースだなと冷蔵庫の扉を開けると、ポケットには「お好みソース」しか見当たらない。

「マギー司郎だって、今日のところはお好みソースで我慢しますね。つか、トンカツソースに変える術は『これはトンカツソースなんだゾと思い込むこと、それしかない』といいますね」

しかし、夫はトンカツにはトンカツソース以外考えられないのダ!と頑として譲らない。

「今からひとっ走り行って、トンカツソースを手に入れてくる! 妻は既に揚がったそのカツを食らえばよろしぃ、お好みソースで。買い物が済んで車に乗ったら携帯を鳴らすから、そこで私のカツを揚げ始めるように」

あぁ、好きにすればいいさ。

午後8時半。夫はピンク色のマイバスケットをひっ掴み、脱兎のごとくスーパへ向かった。

仕方がないので、妻は朝の残り飯@冷をお好みソースかけトンカツを盛った皿の隅に乗せ、侘しくトンカツワンプレート定食を頂く。うぅ、やっぱミスマッチングソース。でも食うぞ、食ってやるぞゲフゲフー。胃液を上げながら完食したところで、携帯が鳴った。

ナイスタイミング。合点承知だ。今から揚げてやるぜ、ベイブー(豚)。

夫のための茶碗を並べていて、そこでハっとした。

やばい。今日は丼にするつもりで米を多めに炊いていたぢゃないか。それなのに、妻は冷や飯で腹一杯になってしまってるし…。ソースを買いに行ったんだったら、何故卵もネ!って言わなかったんだよ妻。

頭を掻き毟っていると、夫が印籠のようにソースを突き出しながら帰って来た。

「さぁ、食うぞー!トンカツ定食ー!」

夫、嬉しそう。

トンカツは揚げたてで熱々だしね。美味しいと思うよ。さぁ、席におつきなさいな。飯を盛って運んであげるから…。

「ギャーーーーー!」

「何、なんだよ、どうした!」

「す、す、すびばせん。炊飯器のスイッチ、入れてませんでした…」

4月13日 その1

「今日、夕飯食べに来ない?」

近所のT家よりお誘いの電話。あぁ、ありがたやありがたや。

しかーし…。

「ねえ、おいでよー。かっちゃん、何時に帰ってくるの? 9時ごろかー。いいぢゃん、まっすぐこっちに寄ってもらえば。おいでよー」

「うーん、今日はちょっと…」

「なんで?」

「ううっ、えっと、もぅ米洗ってスイッチ入れちゃったし」

実は洗ってもない。あぁ、咄嗟に嘘を考えるのは苦しいね。

「何時に炊けるの? だったらさ、ご飯だけもってくればいいぢゃん」

マイ茶碗に白飯てんこ盛りで割り箸突き刺してですか?

「うーんうーん、でもぅ」

「なによ、遠慮するなんて…なんか、いつものりえぴらしくなーい。なんで?」

「うーんうーん」

「普段だったら、いくいくー!ってアタシが電話切り終わる頃には、もぅうちの玄関の前にいるくらいの勢いあるぢゃん。どーしちゃったのよー」

「…」

「うち、パパもいるし、かっちゃん帰ってくるまで一緒に飲んでようよー」

「…」

「ねえってば」

言わねばならぬのか?正直に…。

「ええとね、数日前から便秘でね。腹に溜まった糞が醗酵してガス漏れで…」

「…?」

「だからぁー、数分おきに屁がでるのよ! いや、とめどなく出るの! 連発すんの! しかも、これがくっせーの! 音が豪快なくせに、臭いも強烈ときたもんだ。屋外だったらまだしも、家の中に何時間もだなんて。キミだけならいいけど、キミの旦那にまでこの屁の香りを嗅がせるわけにはいかんでしょ。つか、キミんちの子供らに今後ヘタレー!とか後ろ指さされそうだから…」

「来れないね」

「うん、行けない」

4月13日 その2

余りにも連発しすぎるので、奇病かもしれぬと不安になり思わず「屁」と「病」の二文字でググってみたり。

「年寄りは腸管動脈硬化のために(つまり肛門の筋肉が弱くなるってことか?)、屁を我慢しようとしてもできないので屁をこく回数が多い」

なるほど。落語にある「おまえらは何を笑うと隠居の屁〜」ってのはそゆことか。で、わたくしも、やっぱりトシとってきたんだよー、肛門の筋肉緩みっぱなしなんだよー、ってことなんだな。

で、読み進んでいくと、こんな記述が。

「屁に悩み過ぎてそれがストレスになると腸に影響が出る。解決法はリラックスすること。睡眠を十分にとり、心身ともに健康に」

うわー、何はともあれ昼寝しなきゃ!そんなわけで、起こさないでください。グガーッ。

壮年期のポックリ病、初老の人の腹上死も腸管に溜まったガスの仕業とゆーから、なかなか侮れませんよ、屁!

4月14日

ココで見つけたお洒落壁紙のうち、どれをダウンロードするか悩みっぱなし。

大好きな柄本明にしようか。あぁ、でもジョーヂアベも捨てがたいし東京コミックショーも素敵すぎ。

嬉しい悩みだ、ウホホウホホ。

4月16日

「人ごみって、嫌い、嫌い、大嫌い」

「うんうん、わかるー。お互いの肩がぶつかり合ったりするしね。歩くの不便だもん」

「いや、別に。お互いの肩がぶつかる場合の相手なんて、どーせ小学生のガキどもくらいだから」

「あぁ、アンタ、チビだしね。人が邪魔で、行きたいところにすぐたどり着けないから人ごみって困るんだよね」

「いや、別に。押しのけてでも行くし。そんなこたぁ、問題ぢゃないね」

「圧迫感あって空気薄い感じするから、人ごみってやなんだよね」

「いや、別に。酸素なら十分足りてるし」

「じゃぁ、何がダメなのよ! 臭いから? あー、そうなんでしょ! おやぢの酒と煙草が入り混じった臭いとか、誰かがこっそりスカしたおならの臭いとか! 当たったね! ムハハハ」

「いや、別に。臭いの好きだし。つか、自分からはもっと強力な異臭発してるし」

「うぐぐ…」

「男子と女子がうぢゃうぢゃいるぢゃん。老若男女合い乱れって感じで。そこに行き交う男みーんなが股間に一物ぶらさげて歩いてんだよ。女もみーんなアワビみたいのくっつけて歩いてんだよー、みーんなそうなんだよー。街中マツタケとアワビだらけ。しかもどっちも生臭くて。アイツも、コイツも、ソイツもドイツも! アレは絶対萎びてるね、コレなんかカス塗れ間違いなーいっ! うわっ、疣だらけっぽいー。なんてことを想像したら気分悪くなってくんの、オエーッ」

「死ね」

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フレンチブルドッググッズフリークでもないのに、通販で目にしたとある商品に目が釘付けになり、思わず衝動買いしてしまいました。

こいつ

ちょっと幸せ。ムフン。

4月19日

日曜日、今年最後であろう花見へ出かけた。

「昼飯は、どうするか?」

「出店があるさ。そこで何か買おう」

数少ない出店のうち、隣り合わせで焼きそばを売っていた的屋のおっさんたち。片方は焼きそば1パック400円なのに、その隣では1パック500円で売っている。50メートル程はなれたところでは、確か1パック350円の焼きそばがテーブルの上に山積みされて売られてたけど…。

うーむ、どれを選ぶか悩むところ。

「たいして変わんねーべ」

「んぢゃ、間とって400円のにしとくか」

400円焼きそばと缶茶を手にして丘をテクテクと上り、ドッカと腰を下ろすと、駐車場辺りにたむろしている愚民どもを見下ろしながら豪華ランチタイム。

江戸っ子を見習って割り箸に歯をあて、片手で割る。

「おっしゃー!食うぞ!」

パックの蓋を開け、こんもりと盛られた焼きそばをかき回して愕然とする。

「なんぢゃこりゃ」

グチャグチャといくらかき回しても、肉の破片一つ見つからない。

「キャベツも入っとらん! 紅しょうがと麺だけやんけ、これ」

的屋の焼きそばは、こんなもんだと言い聞かせ口に運び、思わず吐きそうになった。マズー! 激マズー! 肉と思ったこの噛み応え、焦げて固くなった麺の塊だしー。ペッペッペッ! 何をどれだけ入れたら、こんなマズいモンが作れるんだよ! ある意味、これも高度な技術なのか?

「500円のやつ、買ってくるよ」

夫は最高級的屋焼きそばを求めて走り出し、白いビニール袋をぶら下げ戻ってきた。

「おぉ、100円の違いはやはり具にあり、だな。見ろ、肉だ。1切れ入っておる。キャベツらしき物体も発見!ううむ、味は…さっきのよりはいくらかマシだが、マシとゆーだけで食い物かどうかと問われたら犬もきっと首を横に振るね」

街中の飲食店なんか、マズい店は淘汰されていってるやん。生き残る為には客に喜んでもらえるよう、腕を上げるしかないんだって頑張ってるやん。それに比べて、アイツら的屋の連中の向上心のなさといったら…。やしのやつらめ!

やめろやめろー!やめちまえー!

カップ焼きそば売ってくれた方が、有難いわぃ。

4月21日

長年愛用していたヘアブラシがどこかへ行ってしまいました。もっとハリのある毛を求めて旅立ったのか、頭皮の臭さに辟易して逃げたのかはわかりませんが。

そんなわけで、強風の中、新たなヘアブラシを探しに私のほうが今度は旅をしてまいりました。

凄いですね、最近のヘアブラシってのは。

トルマリンを練りこんでマイナスイオン効果を謳ってるものがあるかと思えば、その奥にはアルイオンなんてものもありましたよ奥さん!何、それ…って感じでしょ。マイナスイオンブームに乗っかった類似品なの?ってね。どうも、松鉱石とかゆー古代石を使ったやつのことらしいです。どこまで本当だかは、怪しいですけどね。なんでも、老化防止と発毛に効果的なんですって。その隣にはアミノ酸パワーブラシなんつーものがぶら下がってましたよ。体にいいってものがTVなんかで取り上げられると、それに便乗した商品がすぐ出てきちゃうんですかね。もっとよく探せばポリフェノールブラシとか天然酵母ブラシとかありそう。で、行き着くところは無添加ブラシとかいっちゃって、手櫛とかねガハハ。

どうでもいいけど、全ての効果を1本にまとめました!っつー物臭奥様御用達のお得ブラシはないのかっ。

ありませんでした。

それにしても、けっこうなお値段するんですね、たかがブラシのくせにこいつら。

「おぉ!激安ブラシ、みっけ。300円だ!こいつにするか」

嬉々として手にとり、パッケージに書かれた文字を読む。

「ヘアブラシに絡まった毛髪や埃を取る為のブラシです…」

ヘアブラシブラシだったわけですよ。ちぇっ。

結局、枝毛だらけのこの頭髪に一番適していると思われる一品をチョイスして、店を後にしました。

家に帰ったら、早速効果を試しちゃる!間違ってたらジャロにゆーちゃるけんねー。

運転席に乗り込み、発進と同時に助手席に買い物袋をポイと投げると、勢い余ってシートの下へ転がり落ちてしまったヘアブラシ。

「おぉ、やばい」

ブレーキを踏み、助手席の下に手を伸ばそうと屈みこむ。

「ギャァァァァーーーーーー!」

乗り込んだときに、右前頭部あたりに生えてる頭髪の束をドアに挟んだままだった模様。叫んだ瞬間の痛みが癒え、恐る恐る首を右に回し見上げると、ドアの境目から垂れる毛の束グッバイマイヘアー。

風めーーーーーっ!

禿げができたかどうか確認するのは怖いので、今日の一件はなかったことに。つか、枝毛防止よりも発毛促進ブラシを買っておくんだった。

いや、そんなことより、そもそも強風の日に買い物には行くべきではないっつーことだな、うむ。

4月23日

彼女は、意地悪な母親と姉たちによって、生まれてこのかた一歩も家の外にでたことがなかった。

「私だって姉さんたちのように教会である舞踏会に行きたいぃぃぃ!」

鶏飼いの老婆が突然現れ、彼女に言う。

「お前の願いを叶えてやろう。行きたいのは舞踏会なのか?」

「ええ」

「たった一度だけ認められる外出だというのに、遊園地とか映画館とかクラブとかぢゃなくて舞踏会なのか?」

「ええ、何が何でも舞踏会!断然舞踏会!でも、こんなみすぼらしい格好では行けないから悲しいの」

鶏飼いの老婆は、上半身白、腰から下は真紅のドレスを取り出し、緑色のケープを渡した。

「これを着ておいき」

「うわー、素敵。でも、靴は? それに舞踏会までこんな長いドレスを引きずって歩いて行けと?」

「お前、顔に似合わず結構ずうずうしいんだな。仕方がない、靴と馬車も用意してやるよ」

「そうこなくっちゃ」

その週の日曜日、姉たちに内緒で彼女は後から教会へ出かけた。初めての外出故、少々迷子になりながら…。

あの美しい女はどこの誰だ? 舞踏会に参加していた者達が口々に囁く。姉たちでさえも、彼女が妹だとは気づいていない。

王子が彼女に一緒に踊ってくれないかと言った。

「ご婦人よ、このまま朝まで踊り続けようではないか」

「いけませんわ。わたくし、12時が門限なんですの。それまでに帰らないと…あぁ、そろそろ12時の鐘がぁぁぁ」

「何を小娘のようなことを、よいではないか、よいではないか、グヘヘ」

「あぁ、ダメダメダメェェェ」

彼女は王子の手を振りほどき、去っていく。片方の靴だけを残して。

「待たれぃ、ご婦人! 靴をお忘れぢゃ!」

王子は拾い上げた彼女の靴を、いきなり鼻先へ持っていった。

「ぶはーーーーーっ。ガラスゆえ通気性ゼロで、目も眩むほどのよい香りぢゃ。きっと、この靴を履いていた足先は、ほどよく蒸れてもっとよい香りを放っているに違いない!探せ!探すんだ!この靴を履いていた外反母趾で水虫で、足の裏は魚の目だらけの足を!ハァハァハァ」

シンデレラに出てきた王子は、ここだけの話、実は臭いフェチだったのです。

4月26日

以前ココにも書いた、自分の分身を作ってホテル内を徘徊させたり、自分専用の客室を作って友達を招いたりして遊べるアバダーチャット。もとは、フィンランド生まれということもあって、同じようなホテルがフィンランドはもとより、スイススペインアメリカにもあるわけです。登録はどこの国も、もちろん無料。海外サイトの登録画面の文字はチンプンカンプンだけど、日本のサイトとレイアウトが同じなんで、アホなわたくしでも簡単に海外専用の分身@アバダーを作ることができちゃいます。

海外サイトを覗きにいっている人の多くは、海外でしか売られていないアイテムを見て涎を垂らしたり、海外にしかないホテルの公共施設や、個人の客室を覗きにいったりするのが目的らしいですが、わたくしは違いますヨ。親切な友達を作って、シルバーコロンビア計画を実現させるのダ、ワハハ!

そんなわけで、ここのところ毎日各国へ出向いてインタナッショナルな生活を送っているりえぴさん。ほら、GW海外旅行する日本人の数が去年に比べたら倍増したとゆーのに、どこにもいけないからね。せめて気分だけでも…(涙。

なんたって、英語科出身ですからね。

メリケンガイズぐらいなら、赤子の手を捻るように扱ってやりますよウヘヘ。

レッツラログイン。

空いている公共スペースに分身をねじ込む。

入り口でボケーっと突っ立ったまま動かないりえぴさんの分身。

どうしよう、うわうわ。

あちこちで、意味も無く踊り呆けているやつら。あ、この分身は升目をクリックすることで歩き、アイコンを選択することでダンスをしたり手を振ったりすることができるわけです。こいつは何者なんだ?と思った分身がいたら、そいつをクリックすれば、登録者のコメントも見れたり。

りえぴ分身の潜入したそのエリアにいる、メリケンたちのコメントをとりあえず全部覗いてみる。おぉ、こいつは15歳か。けっ、ガキめ。でも、きっとわたくしよりは鼻が高いんだな、あぁムカつく。などとあちこちに目をやっていると、さっきからりえぴ分身に話しかけてる男子がいるぢゃないですか。

helloだと。マズい!何か返事をしなければ…。いや、でもhelloのoがaにも見える。ヘラ〜?

「hi」

思わず打ち込んだこの二文字。

男子、怒涛の言葉攻め。わからん!

「hi!」

バカの一つ覚えの様に、何を問われても二文字を打ち込むりえぴさん。

hi hi hi hi …

言っておくが、このhiは「りえぴさんハーイ!」のハィぢゃないんだぞ。

ヒッ!

驚いたときとか、おぞましいときとかに使うヒッ!なんだ。頼む、わかってくれ。いい加減気づいてくれたまい。つか、くんな!寄るな!話しかけんな!あっちいけ!

かくして、りえぴ分身のコメントには「I'm autism」という言葉が追加され、人に話しかけられないよう公共施設の中を兎に角がむしゃらに歩き回っているのでありました(全然ダメぢゃん)。シルバーコロンビア計画は、まだまだ遠い。

首にカメラをぶら下げ、日本語でわめき散らす迷惑団体。そんなカッペ丸出しツアーに一緒に参加してくれる人はいませんかね。ついでに、各国在住の日本語ペラペーラツアコンダクタも募集中。

4月28日

どうも、子供相手にムキになってしまうのがわたくしの悪い癖だ。

2匹を連れて、久しぶりに1丁目方面へ散歩へでかけたところ、ある一軒のお宅の庭を覗き込んでいる幼稚園児軍団と遭遇。

あぁ、確か、この家にはビーグル犬がいたんだよな。そう思い、声をかけてみる。

「そうそう、モモちゃんってゆーんだよぅ、ねっ」

「ねーっ」

「モモちゃんかー。雌犬だったんだ、あの仔」

「知らなーい」

「後ろにこんなタマはぶら下がってなかったのかね?」

BJのタマを触りながら聞いてみる。

「知らなーい」

「ふーん、知らないのか。まぁ、どっちでもいいや」

「ビックリケンだよー」

「はぁ?」

「お母さんがいってたもん、ねっ」

「ねっ」

「ビーグル犬っつんだよ、あれ」

「違うもーん、ビックリケンだもんー、ねっ」

「ねっ」

「そりゃ、1丁目独特の方言なんかね。まぁ、いいけど。そういえば、確か人懐っこい性格の仔だったよね。今日はいないのかな。いつも塀の中覗き込むと、尻尾振って寄って来てたと思うけど」

「うん、可愛い。えとね、えとね、こーんな顔ぢゃなかった。こんな変な顔ぢゃない。可愛いよー」

園児軍団は、揃って我が家の2匹の犬を指差した。

「ちょっと待てぃ。ソレ、質問の答えになってないしー。人はね、それぞれ、可愛いと感じるものが違うんだよ。価値観の違いっつーやつだな。どんなに不細工な子供だって、親は子供のことを世界で一番可愛いと思うだろ、それと一緒。飼い主だって自分ちで飼ってる犬のことを、皆可愛いと思ってるんだぞ」

「ええー、でも、モモちゃんの方が可愛いもんー。こんな変な顔ぢゃないもーん、ねっ」

「ね〜っ」

「くそっ! キミの名前はなんだ? サトシかそうか。そっちのキミは? ミノルか。例えばだな、君の母さんに『サトシの顔ヘンー、ミノルの方がまだ可愛いー、サトシみたいな変な顔ぢゃないもーん』ってわたしが言ったとしたら、どうだ?どう思う?嫌だろう?嫌だろうが!ウハハ」

サトシ、ちょっと泣きそうな顔。

やばい。

「まぁ、この雄犬は確かに不細工だ。キミらの言うことには、飼い主の私も納得だよ。でも、そういうことは他の犬を連れた人には言っちゃだめだからね。きっと、飼い主さんはいやーな気持ちになっちゃうからね」

「…」

シカトかよ! おばちゃん、無理して優しくフォローしたのに。結構いいこといってんぢゃん、聞けよこの坊主ども。

「…」

散歩中、幼稚園軍団に「変態ちゃん!」と呼ばれているBJ。

もしかしたら、その言葉…本当はわたくしに向けられてる?

4月30日

薄目を開けると、枕元に全身黒ずくめの男が立っている。

『さぁ、行くぞ』

男は冷ややかな目で私を見下ろし言った。

待ってくれ。お前はもしかして、死神なのか?死神なんだろう。あぁ、ここのところ体の調子が悪かったのはお迎えが近かったということなのか。いや、でも頭痛は既に治ってるし。

『お前は既に死んでいるのだ。毎月、お前が偏頭痛だと勘違いしていたあの痛みは、私からのささやかな忠告だったのだぞ。それなのに、随分と長い間気づかなかったとは…鈍いやつめ』

死んでいる? 死んでいるのか、この私は。ちょっと待て、待ってくれ。この私には、まだ食い残したものが…いや、やり残したことが沢山あるのだよ。ほら、固定資産税だって払ってないし…。あ、そうだ、今日が期限なんだ。払いに行かないと…。いやね、払おう払おうと思ってはいたんだ。けど、明日できることは今日するなってのが私の座右の銘ぢゃん、ってタメ口を聞くなですか、あぅすいません。いや、人としてやはりやるべきことはしておかないと。だから、今しばらくは貴方と一緒に行くわけには…。

『行くぞ』

男が手を差し出す。いけない。その手を取ってしまえば、もぅ二度とこの世には戻ってはこれないのだ。せめて夫にもさよならをいわせてくれ。

「だからー、起きろよー」

喚き声で目を覚ますと、黒いシャツきた夫が覗き込んでる。

「ぎゃ!なんであんたがココにおるのよ!今日も仕事だったんぢゃないの?6時前に家を出たハズだろ?つか、今何時なんだよー」

「6時15分。いやぁ、携帯忘れちゃってさー、戻ってきたらバス乗れなくなったんだ。タクシー代ないしー。だから駅まで車で送ってくれよー。6時半に出れば間に合うから」

黒ずくめの男の正体は死神でなく、貧乏神だったのか…。

 

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