■ 5月の戯言 ■

5月6日

GWが終わりましたねー。皆様、いかがお過ごしだったですか?

まぁ、聞きたくもないでしょうが、わたくしのGWを思い出せる範囲で掻い摘んでご報告しようかと。

ええと、初日はえなりかずきに誘われてゴルフへ行き、ちんこは出してもいいがシャツはズボンに入れろ!と物凄い形相で言われたのでそれに従うと、買ったばかりのジーンズのボタンが膨張した腹回りの太さに耐え切れずにはちきれ彼の顔面を見事に直撃。えなりかずきごときの男に、中指立てられ、クソ女呼ばわりされるという有意義な一日を過ごしました。

二日目はどう過ごしたのか思い出せませんが、三日目は香取慎吾くんに手を引かれ、笑いながら墓場を走り(何故、ロマンチックに砂浜を走らんのだ?)、息切れしちゃったよーエヘヘ、と最高の笑顔で彼に言うと、ぢゃぁちょっと休もうかと肩に手を回され、いきなり棺桶にぶち込まれるという楽しい一日でした。

四日目は、福山雅治と潮干狩りに出かけたのに、途中からそれは干しぶどう狩りに変わり、二人して手にした熊手を年配女性に向かって振りかざし「干しぶどう!一組(2つ)取ったり〜!」などと喚き散らすというハードな一日を送りました。

他にも、いろんな役者やタレントとの出会いがあったように思うのですが、もぅ何がなにやら、さっぱり思い出せません。

とまぁ、平均睡眠時間12時間とゆー一日の半分を寝て過ごしたわたくしのGWはこんな感じ。ハリウッド映画と違って、先のストーリーがまるで読めないところが面白く、これだから惰眠を貪る行為はやめられませんよウホウホ。

それにしても、休み明けの体は重いです。

一人と2匹で過ごす平日だと、昼飯も簡単に済ませたり、作るの面倒だから食べたことにして我慢しよう、なんてことできるのに…。正確な腹時計を持った夫が一日そばにいると、グータラ主婦は大変です。くそう、夢の中の男たちは、誰一人として「腹が減った!」などとは言わなかったぞ…ブツブツ。

ええと、もしかすると、いやもしかぢゃなくて、この気だるく重い体は休み明けからくるのではなく、確実に重くなってるっつーことです、かね@食いすぎ(恐。

5月7日

自宅前に宅配のトラックが停まるのを2階の窓から発見した。おぉ、我が家宛の荷物が届いたんだな。ウキウキワキワキしながら階下へ走り降り、三文判を握りしめ玄関の扉の前に立つ。誰かがデッキに足をかけた音がして、愚犬2匹が扉に向かって吠え始めた。さぁ、来い! と左手を腰に当て、右腕を高速で引いたり突き出したりしつつ、シャドー判子押しを繰り返す。しかし、何分経っても配達のおっさんが我が家のチャイムを鳴らさない。うぬぬ? どうした、おっさん。扉一枚の厚さは3センチ程度だというのに、あぁ、貴方との距離は随分と遠いのね。

せっかちなわたくしは、結局、おっさんがチャイムを鳴らす前に玄関の扉を全開放。

んだよー、おっさん、いつまでそこに突っ立ってる気なんだ、アン?

おっさんは、いきなり開いたドアに驚き、抱えた箱に貼り付けてある伝票とわたくしの顔を交互に見る。

「あー、えと、これ、あんたの名前?」

伝票に書かれた宛名は確かに「高橋」。

「そですそです、アタシ高橋ー、ココ高橋ー(どこの国の人?)」

「ぴ?」

「…?」

「ぴ?」

「はぁ?」

「ココ、ほら、これ」

おっさん、宛名の名前の部分を人差し指でトントンと叩き、訝しげにわたくしの顔を覗き込む。

『ぎゃは』

そこには、「高橋りえぴ様」と綺麗な字で書き込まれていました。むはー。送り主は心優しいネット友達。宛名がHNになっているのはご愛嬌。

「そう、ワタシ、りえぴ」

「ぴって…」

なぬ? このわたくしは、りえぴではなくアマンダとかルーシーとかいう名前の方が似合ってると?(違)。いいぢゃんか、りえぴだろうがりえぷーだろうが。さっさとそいつを渡しやがれ、コンチクショー!

「ぴって平仮名?」

しつこい。

「んもぅ!ピーヨコちゃんのピ!」

思わずそう叫んで、伝票に判子を押し、おっさんから荷物を奪い取り、あんぐりと口をあけたままのおっさんを放置したまま扉をバタンと閉めてしまったんですが…。

ピーヨコちゃんのピって、なんだそりゃおい。

5月10日

「いやぁー、オットコ前だよねー」

「そうかぁ? 別にそうは思わないけど」

「それってもしかして嫉妬? かっちゃんよりタッパあるしねー。ほら、見てよー、顔だけぢゃなくて体だって、逞しいぃー。後姿の尻だって、引き締まってるしぃー。歩き方も男前〜」

「あぁ、はいはい」

「こーゆー顔、好きなんだよね。醤油顔っつの? この人だったら、抱かれてもいいね、うん」

「わかったっつの。少し黙ってろ」

いやぁー、それにしても女にしとくのは勿体無い。つか、乳房が膨らんでるのが不思議なくらい。ありゃ、筋肉の盛り上がりではなかろうか。いや、虫に刺されて腫れてるだけとか? 

なんか、ソソられるもんがあります。女子バレー選手の佐々木みきお(違)。

5月11日

風呂上りに980円で購入したパイル地のバスローブを羽織り姿見の前に立つと、何故だか「イチ、ニ、サン、ダーーーッ!」と雄叫びを上げベッドにダイブするダイナマイト・かっぺです。

昨日の夕方、H氏とチャットでうだうだと馬鹿話に夢中になっておりました。気づくと犬飯タイム。どこからともなく香ばしい食欲をそそる匂いが2階のPC部屋まで漂ってきまして。あぁ、ご近所さんたちも飯炊き時間なのだなぁ。この香りはお隣のアンドー家からかしらん。うーん、今晩のおかずはなんだろな、なんてことを思いながら馬鹿話を惜しみつつチャットを終了させ台所へ参りますれば、なんとびっくり、匂いの元は我が家のコンロの上だったわけで。

数時間前に、昼飯用として建造した野菜スープが少量残っていたので、小腹に詰め込もうと火にかけたんですが、あぁ、やっぱりこの残飯に手を加えディナーとして見事蘇らせてやろうでわないかウハハ、と思い直しスイッチを切ったつもりだったのに…。

つきっぱなしだったようです。

スープのくせに、蓋の隙間からモクモクと立ち上る煙。

ぬぉーーーー!

ダイナマイト・かっぺ、慌てて鍋前に走り寄ったくせに、コンロの前でしばしフリーズ。

ヒッヒッフーヒッヒッフー。呼吸を整え(ラマーズ法で)いざご開帳!

オーマイゴー、苦労して賽の目に切った各種野菜は何処へ? 鍋の底には、うーんと、なんつーんですかね、漢方薬煎じて飲んだ後の茶殻みたいなやつ、あんなのがビッシリへばりついとりました。汁気ナッシングですヨ。うぇーん。

その後、晩飯作りと平行して、1時間かけて鍋底を磨き、なんとか痕跡は消しました。消したつもり。

「ただいまー」

普段より、ちょっと早めに帰宅した夫。

「なんか、臭いねー」

やばい!臭いを消すことにまで頭が回らなかったダイナマイト・かっぺ。つか、なんで今日に限ってこんなに早く帰宅するんだよぅ。

その後、風呂に入ろうとしたら、沸かしたはずの湯がヌルい。追い炊きスイッチを押そうとパネルを見ると、7:21という文字が点滅しっぱなし。なぬー?午後10時過ぎなのに、7時21分とはなんぞや。

調べたところ、どうも、この点滅している数字は時間ではなくエラーコードらしく、取扱説明書には「修理が必要」と書いてある。うんもーっ!

ぬるま湯から出て、いつものようにバスローブを羽織ると降臨したのは大仁田厚。

「ファイヤー!」

いや、ホント、鍋の火は消えて欲しかったけど、こっちは必要なんだからー@風呂。

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業者に電話をしたら、外付けの機械のコードを引っこ抜いて差し込み直せばいいだけだっつーことが判明。

雨の中外に出て調べてみると、本体からはコードがうにゃうにゃと何本も出ていてコンセントに差し込まれたプラグは系3本。うーむ、このうちのどれを引っこ抜けばいいのか。

「赤か青か、間違ったらドカン!だぞ(白いコードしかない)。人々を救えるかどうかは、このわたくしの右腕一本にかかってるんだーっ」

気分は、爆弾処理班のエキスパートですよ。

頭を捻っていると、お隣のアンドーさんが庭を覗き込んで「何してるんですかぁ」と声をかけてきた。事の顛末を大まかに説明すると、垣根を跨いで近づいてきたアンドーさん。

「あぁ、給湯ねー。うちもねー、つい先日壊れちゃって業者を呼んだんですよー。だから、わかりますよー。ええとね、室内パネルの電源切ったら、外の元電源を切ってーコンセント外してー、赤いスイッチ押して3分待ってー、それからコンセント入れるの。それで大丈夫だからー。簡単ですよー」

アンドーさん…自慢げに話してくれてるんですけどね、そりゃ、給湯ぢゃなくて、換気システムがおかしくなったときの手順だから…。

5月12日

車を駐車場から出し家の前の路肩につけ、物置から電動芝刈り機を引っ張り出してくる。友人のサイトの日記を読んだ影響です。我が家では、庭の芝刈り担当は夫の役目なのに…。友人は亭主の力も借りず頑張ってやがる。すげーな、オイ。ここは、一丁わたくしめも彼女に習って芝刈りでもやってみるかな、と。

もーーーーーーーーーーーーーー。大変でしたよ。

物置の扉を開けると、キャンプ道具のその向こうにかすかに見える芝刈り機の柄。こいつを取り出すには、まず手前に山積みされた庭土の袋を取り出して、キャンプ道具を取り出して…。右隅のS字フックにぶら下がっている延長コードも必要だよと腕を伸ばすと、わき腹攣るし。

作業開始前に、既に汗だく筋肉痛。しかも、体臭おやぢ臭〜。くさくさ。

出してしまったら、やらねば。つか、野草園と化してしまった我が家の庭は、草むしりするより、この芝刈り機で刈り取ったほうが早いしね。ウィーンウィーン。

芝刈り機の後ろ側に刈り取った草を溜める箱みたいなやつがあるんですが、それを取り外して持ち上げると、柵から土手側に両腕を伸ばす。雑に刈ったら(部屋に掃除機をかける要領で)、刈った草の塊を隣の土手に投げ捨てるわけです。

「自然に帰れーコンニャロメー!」

ピュ〜。

向かい風に煽られて、土手に落とすはずの草、頭から被っちゃいましたよ、んもぅ。汗だくになった顔面に、粉々になった草がへばりつく。ミミズや芋虫の存在も無視して刈ったので、多分、顔面に飛んできた汁気は草の汁ぢゃなくて虫の体液かもー。

張り付いた虫汁や草を払い落とすこともせず、今度は片手で持てる際刈り専用バリカンを取り出し、際の刈り込みです。

これが結構楽しいんですよ。たまに石ころ挟んで、弾けた石が体にぶち当たったりすることもありますが、とにかく面白いように根元から刈れる。電気代を考えなくても生活できるような金持ちだったら、デカい芝刈り機をわざわざ出さずに、このハンディタイプのバリカンでなんなら庭全体刈り込んでやりたいくらい。

バリバリバリージョリジョリジョリー。

キングサリの周りに生えてるスギナも、こいつでジョンジョロリー、ありゃりゃ、球根の葉っぱまで刈り取っちまったよエヘヘ、うわ、雑草かと思ったら、ドウダンツツジの幹ぢゃないのよバリバリボキー。

太陽の照りつける庭に、帽子も被らず首に手拭も巻かず、医者が使用するようなピタっとしたゴム手袋を右手にはめただけで黙々と作業することおよそ4時間。朦朧としてきました。アホです。

引っ張り出してきたのとは逆の手順でヨロヨロと後片付けをして家に入り、鏡をみたら、見事に日焼けしとりましたがな。けれど、肉体労働の後の一杯は最高ですな。いや、一杯ぢゃなくて、缶ビール立て続けに3本もあけちゃいましたけど(呑みすぎ)。ゲフッ。

で、空になった缶をみて思い出しました。

そういえば、車を道路に放置したままぢゃないか…と。

5月13日 

末端冷え性のくせに、暑くなってくると、どうも無意識のうちに靴下を脱いでしまう悪い癖。手を使わず、もう片方の爪先でゴム部分を挟みズルズルと下ろして、その辺に放り投げてしまうダメっぷり。昨日は、テーブルの下にクシャクシャと脱ぎ捨てられたままの己の靴下を発見し、その香りを楽しみたいという欲求に駆られました。

炎天下の中、庭仕事をした後の汗ばんだ靴下。

さぞ異臭を放つことだろうと身構え、自分の背後に危ないものがないのを確認してから鼻先へもって行く。

スーハー。

たいしたことなかったです。

ガッカリ。かなりガッカリ。

こんなハズではと、鼻穴に靴下を埋め込まんばかりの勢いで何度も試す。

ガッカリ。やっぱりガッカリ。

指の股は癒し臭プンプンだというのに、何故なんだろう。

数年前、雑誌の編集をしていた友人とタイに行った際、ホテルの一室で「あたしの靴、すっげー臭いよ」といって素足に履いていたスニーカーを差し出した彼女。その靴を試しに一嗅ぎしたら、あまりの臭さに2メートルほど後ろへぶっ飛んでしまったというのに…。いやほんと、マンガでしかお目にかかったことがないくらい、面白いようにぶっ飛んで、部屋の壁に後頭部ぶつけたんだから。

うーむ、足臭達人である彼女を超えるには、まだまだだな@ライバル意識?。

5月14日

「もしもしー。あ、出た出た。んもぅー、何回も電話するのに、いっちょん(ちっとも)出らんでからー。あのさー、折り返しこっちに電話してー。そいぢゃね!」

ガチャ…ツーツーツー。

「いやね、あんたからかかってきた時の着信音をさー、セットしたんよ。それが聞きたくてさー。ちゃんとなっとったが、うひゃひゃひゃひゃ。

え? そうそう。教えてもらったんよ。

タクシーの運ちゃんに、うひゃひゃひゃひゃ。

タクシー乗っとったらね、運ちゃんの携帯が鳴ってからさー。うわ、そんな音も出せるん?っち聞いたら、できますよー!なんならボクがやってあげますーて。

トシ?ううーん、どうやろ、30代半ばくらいやろか。

着信音をね、ダウンロード?できるとかゆーけんさ。すごいねー、何の曲でもダウンロード? できるんやねー。なんか、携帯いぢるのが好きなんて。好きなだけあって、やっぱ、よー、知っとるが。

家の前まで送ってもらって、そこでずーっとアタシの携帯プコプコいぢっとったよ。うわー、奥さんの携帯、最新のぢゃないですかー、いいなぁ〜いいなぁ〜て。営業大変やろけ、はよ帰りーっち言っても、いやいや暇ですから、とかいってさ。

うん、メル友になったんよ、運ちゃんと」

母、よかったね。

5月19日

散歩中に、仔犬を連れた少女と会った。生後5ヶ月になるその雌の仔犬は、コーギーと柴犬のミックスだという。

我が家の愚犬を見つけると、遊びたいのかピヨンピョンと跳ね、リードをグイグイと引っ張って近づいてこようとした。BJも興味津々のようで、地味に、そしていやらしく近づいていく。

お互い、股間に鼻先を埋めて嗅ぎあうと、今度は向かい合い顔を近づけようとした。

「その犬、雄?」

そうだよと答えると、少女はいきなり仔犬を抱きかかえ「ダメー!」と叫ぶ。

「…?」

「赤ちゃんできちゃうから!」

ちょっと待て。

キミの連れたその犬、まだ5ヶ月やん。しかも、顔、くっつけただけやん。BJには目が合っただけで妊娠させるエロパワーがあると?

後ろ足で立ち、抱かれた仔犬の尻尾をクンクンと嗅いでいたBJが、前足を少女の太ももに回し腰を引いた。このエロ犬め、ヘコるつもりだな。

「大丈夫だってば。その仔犬はまだ赤ちゃんだから妊娠なんかしないって。それよか、キミの方が危ないかもよ〜」

うーむ、犬の交尾について正しくレクチャーしとくべきだったんだろうか…。

5月20日

星の公園はね、とっても広くて気持ちがいいよ。

動き回って暑くなったら、ひんやりした風が吹いてきて

寒いと思えばボクの所にだけ陽が差すの。

独りぼっちはさびしくないかって、ボクを想って泣いてくれたね。

でもね、でもね。大丈夫。

友達たくさんできたから。

今日ね、教えてもらったよ。

ボクがあなたの元にいた数年間は、ココで楽しく暮らす為の予行練習だったんだって。

いろんなところに連れて行ってくれたよね。

いろんな人に会わせてくれたよね。

病気や怪我で、ボクはあなたをいっぱい心配させたけど。

だけどそれだけ、他の皆より頑張り屋さんだって、褒められてるよ。

だから、だから大丈夫。

あなたにいっぱいの大好きの気持ち。

ボクを想いだしたら、ときどき星の公園を見上げてね。

あなたにいっぱいのありがとう。

星の公園から、ボクはいつでもあなたを見ているよ。

5月22日

ハボホテルのチャットで、30過ぎの女と40目前の女が「ちんこがどこに生えてたら嬉しいか」とゆー話題で盛り上がってたとゆーのは如何なものか。

「あたしは、おでこがいいね。頭振るたびにちんこもブンブン左右に揺れて楽しそう」「あぁぁ、でも飛び込み乗車は危ないね〜挟むかも〜」「それに満員電車も臭くて大変そぅー」

「あちしは絶対掌に欲しいね。一日中ちんこいぢり倒せるし、握手するたびに悶絶できるよ」

このとき、40過ぎのちんこ保持者も同席していましたが、笑ってるばかりだったのはやはりちんこは股間にあるのが一番とゆー経験からくる自負があったからでしょうか。

そんなことはさておき、昨日の夕方、BJを散歩に連れ出した帰り、ご近所のSさんとバッタリでくわしました。

「ねえねえ、沢庵いらない? いるよね、欲しいよね」

お友達が漬けた沢庵を5本も貰って処分に困っているので、高橋家も協力して食ってくれといいます。頂けるモンは何でも有難く頂いちゃいますよ、ありがとう。

2重のビニール袋に包まれた上、スーパーの袋に入れられたその沢庵は、1本だけだとゆーのにどっしりと重い。

「塩が強いかもしれないけど、そのときは塩抜きして食べてね」

右手に沢庵とリード、左手に犬糞の入ったうんこ袋を持ち自宅の扉を開ける。

「BJ、ちょっとここで待っていろよ。今、バケツにお湯汲んできて足洗ってやるから…」

両手がふさがっていたため、玄関に置いてあったバケツの取っ手を小指に引っ掛け台所に走る。冷蔵庫の扉を開け頂いた沢庵を放り込み、バケツをシンクに置くと便所へと走る。

「待ってろよー、BJ。これ捨てたらすぐ行くからなー」

便座の蓋を開け、スゥパの袋からちり紙に包まれた犬糞を取り出そうとして、一瞬フリーズしました。

「沢庵やん、これ」

てことは、数秒前に冷蔵庫に入れたアレは?

ギャァァァァーーーーーー!

5月25日

随分とアタシのことをほったらかしにしておいて、今更何よ! アタシは変わったの。昔のアタシぢゃないのよ。アンタの知らない間に結婚もして、妊娠もして、出産もして、離婚もして再婚もしたの。リストラにあったり入退院を繰り返したり、臭い飯食ったりサラ金に追いかけられたり戦場に送り込まれたり…5回も自殺して4回蘇生して…(あれ?)。

兎に角、今は借金抱えて余裕の無い生活送ってるの。それなのに、そんなアタシに慰謝料ですって? どういうこと?

アタシがアンタを無理矢理押し倒して乗っかったってゆーの? その代償を払えですって? なな、なんてこと! 合意の上だったぢゃないの。つか、アタシがいなけりゃ、アンタなんかただのマグロ男だったくせに!

払わなきゃ、旦那に言うですって?

今度は脅し?

け、け、警察呼ぶわよ!

後ろに隠し持ってるのは、凶器ね。

見てよ、ほら。これっぽちしか入ってないんだから。今もってるアタシの全財産よ。これで、キャベツ1個買って食いつなごうと思ってたのに。

チャリーンチャリーン。

持ってきなさいよ! この鬼っ! 餓死したら、呪い殺してやるから!

えっ? 1週間待ってやるですって?

何なの? また来るつもりなの? どこに逃げても地の果てまで追いかけるですって? いやーっ! もぅ、アンタのことは忘れたいの。アタシの記憶の中から消したいの。

あぁぁぁーーーー!

払いますよ払いますってば、自動車税。

しっかしアレですよね、なんで今月中旬に請求書届いて納期が今月末なんすか。もっと余裕持たせろっつの。

5月26日

キャッシュディスペンサーの前にできた長蛇の列に並ぶと、どうでもいいことにちょっと腹が立つんですよ。

出入り口付近で入れずにいる人が、前に踏み出そうかどうしようか悩むたびにパカーンパカーンと自動扉が開いたり閉まったりしとる。オイ、そこのお前! 貴様が詰めれば、あの人は悩まずに中に入れるんぢゃボケ。2人分もスペースを空けてからに!と。

わたくしの後ろに並んだおっさんは、きっとわたくしと同じ考えの持ち主だったんですかね。

ビターっと張り付かれました。

後頭部に荒い鼻息感じました。

つか、尻に手が間違いなく当たってました。

当たった手が時折上下左右に動いたりしました。

ち、ち、痴漢ですか?

おっさんの魔の手から逃げようと、我が尻が脳に「前進せよ」と指令を送ります。わたくしの前に並ぶ奥様との距離は、わずか30センチほど。

「ヘルプミー!」

尻はそう叫びながら、わたくしの体を前へ前へと押しやります(すり足で)。わたくしの移動に合わせて、後ろのおっさんもズリズリ開いた間隔を狭めます。

「オーノー、オッサンノ手、マタ当タッタヨー。手ノ甲ガ上下シダシタアルヨー。気持チ悪イヨー」

わたくしの乳頭と奥様の背中との隙間が僅か数センチになったところで、手に持っていた通帳が奥様の広背筋に触れてしまいました。奥様、反射的に振り返り、わたくしの顔と右手を交互に睨み付けます。

ヒョエーッ!

違うずら、おら痴漢でも泥棒でもねーずら。おらの尻が、勝手にぃぃー!

奥様に睨まれても、尻の避難行為はおさまりません。おっさんの手が触れるたびに、それを避けようと腰がカクカクと前にでるわたくしの体。

おっさんとわたくし。

周囲の人にはどちらが変態に見えたでしょうか…。

5月27日

数日前に、どうも体の具合がよろしくないと訴えていたTさん。あってはいけないところに、ゴルフボール大の固いしこりができ、そのしこりに触れると激痛が走るため、もしかしたら自分は癌なのかもしれないと落ち込んでいた。

「アタシが先に逝ったら、アニーはどーなるんだべ」

アニーとは13歳になる彼女の愛犬だ。

犬の心配より、まず自分の体の方でしょう。さっさと病院に行って検査してもらいなさいと諌めるが、アニーの行き先が決まらないと検査どころぢゃないと譲らない。

「高橋さんちで面倒みてくれる?」

そのときは二つ返事で承知し、その場を後にした。

が、自宅へ戻り考える。

アニーは犬嫌いだ。どんな犬が近づいてきても、老いた足を引きずりながら逃げ惑う。我が家に連れ帰ろうものなら、愚犬2匹を避けようと必死になり、死期を早めることになりかねない。

ダメぢゃん。

しかも、アニーはドッグフードを食わないといっていた。

「うちのアニーちゃんはね、生肉しか食べないんだよー。しかも国産牛。ドッグフードあげっと、3日でも1週間でも食べようとしないんだー」

そんな贅沢な犬、我が家ぢゃとても養えない。

他をあたってくれるようお願いしよう…そう思いながらTさんちの前を数日振りに通った昨日。家の前の道路にアニーを連れて出ていたTさんに運良く会うことができた。

「こないだお願いされた件だけどー」

「あ、あぁ、あれねー。それがさぁ、病院でレントゲン撮ったらしこりだと思ってたアレ、うんちだっつのー。ずーっと便秘で出すもの出してなかったんだけどさぁ。いやぁ、でもほーんと、しこりみたいに固くなってたんだからー。下剤と整腸剤貰ってやっと出したのよぅ。しこり? なくなってスッキリだっちゃー、ヒャヒャヒャヒャ」

んもぅ、なんだよ!

自分が溜め込んだ糞玉としこりの違いくらい、わかれーっ!

 

 

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