■ 11月の戯言 ■

11月3日


頻尿妻、買い物途中に尿意を覚え某店の厠へ駆け込む。ジーンズとショーツを一気に下ろして尻タブが便座に触れたその瞬間、便座は妻の尻を乗せたまま左にスライドした。どうも、便器と便座を繋ぐ留め具が外れていた模様。


「あぁ、この状況、前にもあったヨ…デジャブーってゆーんだっけ?」


尻を乗せたままの便座が床に落ちるまでの数秒間、妻の脳裏に忘れかけていた記憶が蘇る。


「確か、あのとき便座はスライドして…落ちると思ったら、そのままフワリと宙に浮いたんだよな…そして飛んだぢゃないか。両足が宙に浮いたと思ったら、その後便座はグングンと高さを増して、便所の扉を越え、店の売り場まで出ちゃったんだよ。そう、あのときもこの店のこの階の便所で、この個室選んで、外れてた便座もコレだった…。フワリフワリ〜気持ちよかったよなー。買い物してるおばちゃんたちを便器に座ったまま見下ろしたっけ。便器に自宅まで送ってくれって頼んで、車道の何メートルも上を飛んだよなぁ。
途中でおしっこしてなかったこと思い出して、チョロチョロ出したら、歩道を歩いているおばちゃんにかかっちゃって…。おばちゃんは『雨が降ってきたみたい』なんつって折りたたみ傘をさそうとしてたっけ…」


そこまで思い出して、ハっとする。
人を見下ろし優越感に浸り浮かれていたけれど、実は膝下までジーンズとショーツは下ろしたまま。眼下にいた群集に、指をさされ、妻の股間が丸見えだったことに気づいたオチがあったぢゃないか。


「いや、その後慌ててパンツを引き上げようとして前かがみになったら、便座から尻が完全に外れて…そう、妻は地面に落下したんだった!」


その結末を思い出したと同時に、現実に引き戻された。


ドスン!


店の薄汚れた便所の個室で、便座を下敷きに床に見事に落ちた妻。


空を飛んだアレは?

デジャブーだと思ったアレは?


どうも夢だったようだ。
つか、もっと早く気づけアホ 。

11月4日

延期になってしまったサラの避妊手術を再度いつにするか決めるために病院へ。今年最後のフロントラインとフィラリアの薬をもらわねばと、2匹を乗せた車で銀行へ寄る。

駐車場に車を乗り入れると、一人の御夫人が近寄ってきて手を振った。

知らない人だ。

窓ガラスをトントンと叩くのでドアを開け運転席から降りると、「フレンチブルドッグですよねぇ」と声をかけてきた。

「2匹とも、顔が小さくて可愛いですねぇー」

えっ?

この犬種は頭がデカい方が断然いいぢゃないですかっ。少々引き攣り気味の顔でありがとうございますと礼を述べる。

「うちにもね、いるんですよ、雄のフレンチブルドッグが。真っ黒いやつ。でも頭がすごーく大きくて、顔なんてもっといかつくて、近所の子供たちに怖い怖いって言われて…」

あぁ、そうなんですか。でも正統派フレンチブルドッグって感じで、羨ましいですよアハハ。

「あんまり可愛くないのよねー。皆に怖い怖いって言われるし」

人に怖いって言われるからって…そ、そ、そんなぁ。飼い主がそんなこといってちゃぁ身も蓋もないですよ、と口に出さなかったのは、「そうはいっても飼い主にとっては我が仔が一番。可愛くないのってゆー言葉だって愛情の照れ隠しなんでしょ」と思ったから。

「へぇ〜、お宅の2匹はお家の中で飼ってらっしゃるんだ。うちはね、外」

ぐわっ。寒さ、暑さに滅法弱いこの犬を、な、な、なぢぇ?

「外飼いはできないって言われたから、最初は家の中で飼おうとしたんだけどね。猫がいるのよ、うち。で、猫がいるからか、犬の方が家の中のあっちこっちにマーキングするし…だから外」

どひぇ! 躾である程度は改善されるし、それでもダメなら雄犬用のマナーベルトなんてのもあるだろうに。

「もぅ6年以上ずーっと外だし、今更…ねぇ」

外に繋がれているなんて、可愛そうに。そう思ったが、考えてみれば彼は6年間も家の中での生活を知らずに過ごしてきてるのだ。夏は暑く、ときたま意識が遠のくほど猛烈に暑い日もあって、冬になると手足が悴むほど寒く、できるだけ丸くなりやりすごすのが、彼にとっての普段の生活、平和な日常なのだろう。いや、もしかしたら外飼いとはいえ、室内飼いに劣らないほどの快適な犬小屋を与えられているかもしれないし。

各家庭はそれぞれが一つの小さな国。その国には他国とは違うルールがあり、足を踏み入れたことのない他国の人間が「それは間違いだ」と不確かな情報で決め付けるのはよくない。願わくば、冬の彼に湯たんぽを。夏の彼に日陰と涼風を御夫人が与えていることを。

昨晩、近所に雷が落ちた。部屋中が一瞬明るくなった後、ビリビリと窓ガラスが振動し耳を劈くような轟音と共に床が揺れた。普段は何の反応も見せない我が家の2匹が、部屋中を吠えながら走り、そしてBJは妻の膝の上へ。珍しくサラまで夫の膝の上に乗ってきた。

外で飼われているご婦人のあの彼は、恐怖と心細さをじっと一人で耐えてたのだろうか。

11月9日

軟便続きなので、フードを変える必要があるのかなぁーと悩む昨今。あ、軟便なのは犬ではなく、妻の糞のことなんですが。ケチな性格が腹まで感染してしまったのか、生まれて30年以上大概が便秘に悩まされてきたとゆーのに、ここ最近は一体どーしちゃったんだか。一日に数回便所へ駆け込む有様ですよ。頻尿の次は頻便ですかね。それとも、多便症などとゆー難病とか?

糞もよく出るんですが、それ以上に漏れるのがくっさい屁。新聞の広告欄でよく目にする「ガス・おなら恐怖症からの脱出」なんつー書籍を買っちゃおうかと本気で考えてみたり。あぁ、主婦でよかった〜バフッ。働いてたら、我慢しなきゃいけないんだもんなぁ〜プスゥ。そうなったら脂汗でまくりですよ〜プリッ。

健康な体の人は一日一回、切れのいい糞をひり出すもんなんだと夫は申しますが、一体平均糞排出回数は何回くらいなのかなぁとネットを徘徊していると、中には1日で8回を記録しているが!(ここ数日は便秘気味らしいですけど…ご愁傷様です)

3回くらいで泡噴いてる妻は、まだまだ未熟者ですかね。

因みに、こんなところで公言するよーなコトぢゃないですが、今朝1回目の糞はかなり立派な代物でした。夫の帰宅時間まで放置して、自慢したいくらい。

でもですね…。

脱糞中、便座に腰かけ尻穴に神経を集中させて力んでいる最中、妻の力みニューロンは今まさにこの世に産み落とされようとする糞の太さ、長さを…あっ、痛い!ちょいコーモン切れたかも。てことはこのくらい?(と指でワッカを作ってみたり)…まぁ、こんな感じでほぼ正確にキャッチ。 

したつもりなのに、便器の中の赤子を見ると予想を遥かに超える巨大児で慄いたわけですよ。

要するに何が言いたいのか、このクソ女は!っつーとですね、尻の皮とゆーか尻の皺の距離感っつーのは、滅茶苦茶ぢゃないか、と(大抵、いつも予想より実物の方が巨大)。

11月11日

某大学で算数だか理科だかを教えている(電子うんちゃらだかなんちゃらだか、何度聞いてもよくわからない)友人が、先日中国から戻ってきた。算数だか理科だかの学会が北京で開かれたんだとか。で、彼は帰国した翌々日から喉が痛い、悪寒が走ると訴え寝込んでしまった。

風邪でもひいたのかと思った嫁が、出張先に彼が着ていった上着のポケットをまさぐると、空港で渡されたらしい紙切れが折りたたんで入ってる。広げてみたそこには、

「入国10日後までに健康状態に異常が認められた場合は、即刻病院へ…」。

も、も、もしや重症急性呼吸器症候群、SARS?

嫁、動転。

てことは、子供たちや私にも確実に感染してるってことぢゃないの!

でもって、子供たちは学校に行ってるし、私だって…あぁぁぁ。

結局のところ、病院で診察してもらった結果は単なる風邪だったんですけど。

その結果がわかるまでの数日間、嫁は誰と誰に会い、誰と誰に移しまくったのかを指折り数え、そして我が家へ電話を寄こしたのです。

「SARSだったら、ごめーん」

ごめーん、て(笑。

まぁ、電話を受けた妻も妻で、「あ、そっ、ふーん」とゆー暢気な対応しかしませんでしたけどね。

11月15日

バカは風邪をひかないといいますが、どーもひいちゃったようです、ズルズル(鼻水)。

さぶいのに週末野営に出かけたからです…バカだから…バカなのにーズルズル、おかしぃ。これは風邪ぢゃないんでしょうかね。

ボ〜っとした頭で、そろそろ年賀状の用意をしなきゃいけないのかなぁーとゲンナリしてみる。

ところで、ある本を読んでいて、初めて「殿」というのは目下のものに向かって使用する文字だとゆーことを知りました。

ごめんなさい。

長年「殿」つきで送りつけてた、学生時代世話になった某先生。

知らなかったんだよー。知らなかったの。

学生時代もかなりおバカだったけど、トシとっておばちゃんになっても相変わらずのおバカです、はい。バカなりに元気に生きてますよーっつーことで、ここはひとつ多めにみてやってください。

11月17日

午後7時50分。パスタを茹でながら、缶ビールを呑む。帰宅の遅い夫を待てず、一人で先に晩飯を頂くわけである。

テーブルセッティングが整い、2本目の缶のプルタブを引っ張り、さていただきますよと両手を合わせたところで気づく。

いつもなら背後に鋭い4つの目力を感じるのに、今日は2つだけ。鼻息を荒げて擦り寄ってきているのはBJだけだった。

サラは?と思い辺りを見回すと、ソファーの上で丸くなり寝たままである。

声をかけてみる。

ゆっくりと頭を起こし、こちらを振り返った。

が、その顔が丹下左膳か政宗かというような顔だ。

余りの眠さに目が開かないのかと思ったが、どうもそうではないようだ。心なしか開かない左目の瞼が腫れているようだし。

飯も手に付かずオロオロとしだす妻。

急いで病院に連れていくか。いや待て、診察は午後8時まで。あと3分しかないぢゃないか。車を飛ばしても8時は過ぎる。ビールも呑んぢゃってるし。飲酒運転だぞ。電話をしてみるか? それとも明日まで様子を見てみるか? 治まってりゃいいが、益々酷くなってお岩さんのように変形したら、今このときどーして病院に連れていかなかったのかと、後で後悔することになるんだぞ。

居間をウロウロと歩きながら、そんなことを堂々巡りで考え、そして再びサラの顔を覗き込む。

やはり左目が開かない。

すっかり暗誦してしまった動物病院の連絡先に電話をかける。

診療時間は過ぎてしまったが、診てもらえることになった。

さて、そうなると今度は妻の摂取したアルコールが問題だ。微量ではあるけれども、違反は違反。病院に急いで連れていきたいんですけど、飼い主は酒を呑んでしまいまして、そんなわけでかかり付けの獣医まで救急車を一台頼みたいんですが、なんてことを119に電話するわけにもいかない。

冷蔵庫を開け、牛乳を取り出す。

摂取したビール1本分程度なら、1リットル牛乳で殆ど希釈できるんぢゃないか。そう考えたわけである。

ウングッ、ゴボゴボッ…。

時折鼻から出そうになりながらも、見事一気飲み成功。我ながらアッパレ。

空いた牛乳パックを水洗いしようとして、そして気づいた。

賞味期限11月9日。

ギャー!

ほのかに広がる酸味で、体内アルコールは確実に分解されたはず(?)。そう自分の都合のいいように解釈して、サラを車に乗せると病院へ向かった。

ゴロゴロ。

赤信号に引っかかり交差点で停車すると、早くも腹が祭囃子を放ち始める。なんとゆー即効性。

「大丈夫?大丈夫よね」

サラに声をかけているんだか、自分の腹に言ってるんだか…。

10分後、病院の駐車場に車を乗り入れ(縁石越えする慌てよう)、灯りの消えた待合室に飛び込んだ。いや、サラをアニマルナースに放り投げるように渡し、妻は便所へ飛び込んだ、が正解。

結局、妻の電話は悪戯電話だったのかと疑われるほど、サラの左目は普通に開いていたのですよ、病院につくなり。一応、念のためとゆーことで目薬2本貰って帰ってきたんですけどね。5千円札が一枚、消えました。

癪に障ったので(違)、診察代を支払った後もサラをアニマルナースに預けて厠を使用させてもらいさようなら。

高い便所使用料金でした。トホホ。

11月19日

「りえちゃーん!」

散歩中、小学生に声をかけられる。こう見えても、妻はガキんちょたちに大人気なのである。当然、どのコにも「おばちゃん」などとは呼ばせず、りえぴちゃん、もしくはりえちゃんと呼ばせている。人通りのある住宅街で、背後から大声で叫ばれるたびに四十路目前のクソ女が、チャン付けで呼ばれるのもどうかなと思ったりするのだが、ガキたちにはアイドル的存在なのだからいいのである。いいのだ、絶対。オラそこのガキっ!おばはんとかゆーなボケッ!

「ハイ、あげる!」

差し出されたのは、ミルキー(飴玉とはいわないか)。でもなんで?そんなに物欲しそうな顔をして歩いていたんだろうか…。

まさか連れている豚犬2匹にとゆーんではないだろう。

「あぁ、ありがとう」

ポケットに滑り込ませようとすると、今すぐ食べろという。アイドルに命令かぃ。

口にしたソレは、七五三のとき誰もが手にしていた千歳飴、なのに何故自分は買って貰えないんダこのドケチ両親め!とゆー悔しい味がした。

妻は飴玉の類を、長時間かけて舐めてはいられない。せっかちなので、すぐ砕いて飲み込もうとしてしまう。

そして今回も、口に入れて数秒後、前歯でぶった切ってやろうとした…ら、差し歯である、歯科医がゆーところの左上1番の歯にズッポリとミルキーが突き刺さったまま取れなくなってしまった。取り外そうともがく舌先。ううむ、力と技不足。

結局、小学生とたわいもない話をしつつも、歩きながら口の中に手を突っ込み、指先で抜き取ることに。

その行為がいけなかったのか、それ以前の前歯でぶった切ろうとしたのが悪かったのか、このときから差し歯がぐらついている。いっそのこと、力任せにグラついた差し歯を引っこ抜いてしまえばすっきりするのだろうが、その勇気がない妻。

歯茎も心なしか赤く腫れあがって、何を食べても旨くない。参る。

旨くないなら食わなきゃダイエットになるとゆーのに、背に空腹は変えられないこの卑しい口がなんとも哀れでしょうがない。

つか、早く歯医者に行けっつー話ですな。

11月22日

田圃の中にドーンとおったっていたこの看板。田舎には、このテのちょっとこっ恥ずかしい看板がポツポツと立っていて面白い。

作ったのは地元青年団。青年団といっても、多分平均年齢は40歳過ぎ(以前から、年齢的にこの集団を青年団と呼ぶのはどーかと思ってる妻ですが)。だから書けちゃうんですよね、こーゆーサブいギャグを…。

11月26日

麻酔からも無事に覚醒し、サラの避妊手術は、無事に終わったよーです。いやぁ、とりあえず一安心。その連絡を受けて、妻の頭痛もどこかへ吹っ飛びました。単純でございます。心配してくださった方、どうもありがとうございました。

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ドアのチャイムが鳴り、玄関に出てみると情けない顔をした男が立っている。背後には三輪車に乗った男の子が一人。我が家の駐車場を三輪車でグルグルと回っている彼の洋装は、いまどき珍しく、薄汚れたズボンの膝部分が破れ、色あせたセーターの袖口も伸びきっていて、なんとも見窄らしい。

ややや、これは情けに訴える一杯の掛けそば風押し売りとゆーやつだな。

騙されるもんか!と妻、身構える。

「ええと、わ、わ、わたくし、植木屋なんですが…」

あぁ、必要ないな。そう思いながらも、喋りたいだけ喋らせてあげようと、妻、男の顔を見つめる。いや、見つめるとゆーより、睨みつけていたのかもしれない。

「ええとええとええと…、に、に、庭木の剪定とか植え替えとかですね、やってるんですよ…ええとええと、それでお宅の木なんですが…ええと、もしせ、せ、剪定が必要であればですね、ウ、ウチの方でやってもいいとゆーか、や、や、やらしてもらえないか、と」

情けない顔をした男の顔が、だんだんと歪んでいく。

十分なご飯を子供にも与えてあげられず、ご覧の通り新しい洋服も買ってやれず、無事に年を越せるかどうかの瀬戸際なんですヨ。我が家の将来は貴方にかかっているといっても過言ではないのです。貴方にそっけない態度を取られると、もぅどうしていいやら。なんて思っているのかその顔は。いや、騙されはしないゾ。それがテなんだろ貴様の。

男は鼻水を啜り、眼鏡の奥の瞳を潤ませる。

勘弁してくれ、泣くのか? 男だろ。チクショー。

「今んところは別に必要ないけど、今後何かあったら連絡するかもしれないんで、そのチラシ、頂いときますよ」

妻は引き攣った笑顔を見せて、男が持っていたパンフレットを一枚ひったくってドアを閉めようとした。

「と、と、ところで…」

はぁ?

「ええと、こ、こ、この子なんですが…」

あぁ、貴様が営業のために連れてきた洟垂れ坊主のことか?

「ど、ど、どこの子かご存知ぢゃないですか? さっきから、ずーっとわ、わ、わたしの後をついてくるんですよ。怪しい人、い、い、いや、し、し、知らない人についてくのは危ないって言い聞かせてるんですけど…き、聞いてくれなくて…」

11月29日

土日、遊び倒した模様を早速アップしようかと写真を編集していると、あらあらこんな早朝に電話が…。受話器の向こうにいたのは、はる子さん。

「あわわわ、お義母さん、ど、ど、どしたんですか」

仙台の病院に検査のために出てくるとかで、その帰りに寄るからなー、とゆーんである。

益々、あわわわ。電話に出たものの、その話を聞いた途端「おかけになった電話番号は現在使われておりません」と声色を使って言ってみようかなどと思ってみたり。

「ぎゃー、そうなんすか。何時ごろ来る?(これ重要)」

何時何分何秒?と聞きそうになったとき「うーん、分からんけど午後」とはる子さんは言い、電話を切った。

受話器を置いた後、部屋の中を見渡す妻。

まずーいっ。まずすぎ。玄関からリビング(つっても仕切りはなし)にかけて、ぶちまけられている野営道具の数々。倉庫に入れりゃいいだけの話なんだけど、B型の妻は、運んだ道具を奥から適当に放り込んでしまい、半分以上が「入りきらないっすー」となってしまうので、それを嫌うA型の夫が妻には頑として触らせないのだ。

いっそのこと、誰も入ってこれないよう城壁のように積み上げてみようか。玄関に。

その城壁のところどころに穴を開けて…

ピンポーン、ガチャ。

「おばんでがすー」

ドアカラ カオヲ ノゾカセタシュンカン、ドスント、イッパツオミマイシタリシテ…。

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