■ 12月の戯言 ■

12月13日

明け方の3時すぎ、原発1号機から空気漏れが見られるということで警報が鳴り響く。各関係者が緊急に集まり、調査開始。

「どうした。一体何が起こった」

「弁に異物が混入していないか、しっかりと調べよ!」

「アイアイサー!」

専門家たちが走る。

が、漏れでた空気というのがガスだったため、次第に各人の意識は朦朧とし的確な判断がなされない。

「いかん! このままでは全員倒れてしまう。逃げろー!」

「この密室から出るんダ!」

「酸素プリーズ!」

ええと、まるで女川のような事態が、我が家の寝室でも起きまして、妻、布団から飛び出ると冷え冷えとした2階のトイレに走ったわけです。

腹、グルグルピー。

弁に異常はありませんでしたが、便は異常。つか、便そのものが異物ドビャー。

原因は分かってるのです。多分、昨日ミカン食いながら牛乳飲んだから。

寒い便所でうーんうーん。

腹を揉みながらうーんうーん。

で、下ろしたパンツに頭を突っ込むような感じでうな垂れているときに、一つ気づいたことがあります。その瞬間、目の前お花畑になった感じ。

以前から、電子ミシンについていた縫いパターンの←こいなヤツ。一体どんなモンを縫うときに使うんだろうかと実は不思議に思っていたんですよね。

はっきりしました。

ゴムを縫い付けるためのパターンだったとは。

なるほどー。

早朝、腹痛になったお陰で、一つ悩みが解消されました。ありがとう、腹痛。ありがとう、ミカンと牛乳ペア。

これでスッキリ。

腹もスッキリ。

お尻の穴は痛いけど。

12月15日

妻のパンプスやハイヒール類を、ぜ〜んぶ捨ててやりました。あぁ、捨てるって気持ちイィ〜♪ 

中には1,2度しか履いてないものもあったけど、1,2度しか足を入れてないっつーことは、履き心地が悪かったとか、まぁ、そういう理由があったと思うのですよ思い出せないけどさ。

「勿体無い、勿体無い」でクローゼットに押し込んでいた期間、10年以上。

10年履いてないってことは、多分もぅ履かないもんね。

残ったのはスニーカー類と草履と桐下駄のみ。

んで、処分してしまってから、ちょいと不安になる。

お願いです。当分、どうか不幸も祝い事もありませんよーに、と。

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大量の靴を捨てるのに、箱を潰すのが面倒だったんで、箱詰めしたままゴミ袋にぶち込みゴミ置き場へもっていったのですが…。

ゴミ収集車がまだ到着してないとゆーのに、捨てたはずの大量靴だけがゴミ置き場からソックリ姿を消しておりました。

だ、だ、誰か持ち帰ったんですかね?

いや、いいんですけど。

わけわからん菌に侵されて足の指が溶けたとか、後で文句言っても妻のせいぢゃないですからねーっ!

12月19日

変な夢を見ました。

朝起きたら、自慢の細くツヤツヤな黒髪(違)が白髪になっていた夢。しかもチリチリの極太。

極太過ぎてもはや髪の毛にあらず!と思って触ってみると、それはやはり髪の毛ではなくラーメンだったとゆー夢。頭から髪の毛ぢゃなくラーメン生えてた夢。

うわーうわー!

うろたえる妻の目の前に一筋の光が射して、そこに現れたのが4本の短い割り箸が四方に突き刺さったアンパン。そのアンパンが、いきなり喋り出しました。

「ボク、アンパンマーン」

うそーん。

妻のよく知っている(それほど知らないけど)アンパンマンとは姿形も声も大違い。真っ赤な鼻だってないし、まず、胴体がどこかわかんねー。おまえ、ただのアンパンやん。

「ノンノン! あっちがニセモノネー。ボク、ホントー」

アンパンの表面の皮が一部破れていて、喋るたびにソコが嫌らしく動くから多分口なのか。

それにしても、喋る度に中の餡子が飛び散って汚いことこのうえない。

「ボク、今まで何人もの人をこの身体で救ってきたネー。でも、その人たちから『お前を食ったお陰で糖尿病になったぢゃないか!』と批判されてるネー。だから、現役を引退することになったネー。ついては貴方に後を任せたいネー。まずは北へ跳んで、飢えて死にそうなコッチェビたちを救うネー。彼等は相当飢えてるから、その頭、茹でる必要もないネー」

と、こう妻に言うわけですアンパンが。ただのアンパンのくせに。

多分、汚いアンパンが出てきたのは、最近美味くもないパンを焼いたりしたから。でもって、常日頃世界平和を願っている気持ち(ココ、声高々に!)がこんな夢になって表れたに違いないうん。

正義の味方か…、悪くないかも。

あー、でもラーメンマンは既に存在するしー。ほら、キンニクマンのキャラにさ。

「ノンノン。貴方はラーメンマンぢゃないネー。その縮れてパリパリに硬い髪質。インスタントラーメンマン。略してインラーマン!」

ぎゃー!

インランマンみたいでやだー!

てところで、何故か舞台がよく行く近所のラーメン屋にガラリと変わり、厨房の天井から吊るされている妻。その下にはお湯がグツグツと沸騰する巨大寸胴鍋。

「ラーメン一丁!」のバイトのにーちゃんの掛け声で、ドボンと頭から寸胴鍋に突っ込まれ、茹で上げられる妻の頭髪。

これが世のため人のためなのかーっ!?

よくわからんのだけど、カウンターに並んでる客は飢えてるわけだし。飢えを満たすのがインラーマンの仕事だし。まぁいいか。

でも熱湯が顔面にかかって、あちーのなんの。

死ぬーっ!

てところで目が覚めたら、壊れたハズの家の暖房が何故か動いておりまして。

昨夜、「どーせぶっ壊れてるし」と室内温度を30度に設定してスイッチ入れて寝たら、この有様。

2階が仙台ではなくアフリカになっとったわけですジャンボー!

いや、完全に復活したんだったら喜ばしいことなんだけど(修理に25万円かかるといわれたし)、20度に下げたところでパタリと再び動かなくなりました。最期のあがきだったんでしょうか。

12月21日

午前中、仕事に出かけるおとーさんやおかーさんが運転する車は我が家の前の緩やかな坂道を上っていきます。下ってくる車といえば、近くのバス停まで誰かを送り届けたその帰りの車。そしてその車を運転しているのは、大抵おかーさんたちなのです。

が、今朝は坂道をゆーっくり下ってくる車を運転する男性がおりました。その車は、住宅街の路地に入り、そしてグルリと一周して元の道へ出てきたかと思うと、またもや同じ路地へ。狭い路地を2周した後、今度は隣の路地へ入り、またもやグールグル。

時刻は午前8時過ぎ。

2匹を連れてお散歩をしているときでした(寝坊したんです)。

なーんか変な車。

こーゆー車を不審車というのよね。

で、運転している人は不審者。

そのとき、妻の後方をふて腐れた顔で空き缶蹴りながら歩いている小学生がおりまして。

路地から出てきた、その不審な車と鉢合わせ。ウィーンと窓が開いて、いきなり運転手が小学生に声をかけました。

「そんなにゆっくり歩いてて、学校、間に合うのか?」

「あー、はい」

最初は少年のおとーさんかと思ったのですが、どうも違うようです。

「友達はどうした? 1人なのか?」

「あー、はい」

「いつも1人で登校してるのか?」

「…」

「友達と喧嘩したか?」

「…」

男性はエンジンをかけたまま運転席から尚も声をかけます。

「そんなにゆっくり歩いてたら、遅刻するだろ…」

「…」

「送ろうか?」

「あ、いや。大丈夫です」

「いいから乗んなさい、ホラ」

「…」

「ほら、早く」

「あー。はぃ」

少年、乗っちゃったよー!

後部座席に乗っちゃったよー!

その車、さっきからこの辺をウーロウロしてた怪しい車なんだよー!

誘拐犯かもしれないんだよー!

とっさに、妻、車のナンバーを頭にインプッツ。

忘れちゃいけない!

絶対に忘れないぞ。

何かあったとき、警察に協力するんダ!

もしかしたら事件を取材しにきたTVレポーターにインタヴュされるかもしれないもんね。

3年ぶりに美容院に行ったほうがいいかなー。何着よう…。「今からカメラ持って伺いますからー」なんつって前もって連絡くれるのかしら。でも、顔面モザイクかけられちゃうかもー。声なんかもシロちゃんみたいに変えられちゃたりしてー。だったら最初からあんな声真似して喋れば変えられないかなー。ワレワレワ〜ウチュウヂンダ〜みたいな声。編集の人、仕事が減って大助かりだヨ!って喜んでくれるかなー。

なんてことを考えながら自宅に戻ったら、覚えてたハズのナンバーを一桁目からすっかり忘れてしまっとりました。

唯一の目撃者(だと思う)のにー!

有力情報がぁーっ!

でも、車の特徴は覚えてるよ。

色は白。

白のセダン。

んで、ボディにでっかい「巡回中」のシールが貼ってありました…。

12月25日

「さしあげます」とゆータイトルで、見知らぬ人からメールが届いておりました。

あげる、とかタダ!に弱い妻は、迷わずクリックして本分を読んぢゃったんですが…。

「もう飽きたので一匹メス豚をお譲ります。 24才 バスト85 ウエスト61 ヒップ89 で一通り何でも出来るよう調教してます。 顔は加藤あい似です」

随分賢いフレンチブルドッグの雌犬を里子に出したいんだナ。

などと最後まで読んでも、エロメールだと気づかず(3度読み返した)。

加藤あい似のフレブルだって、いそーだしさー。

スリーサイズだって、ありそうなサイズだしさー(ちょっと無理があるか?)

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午後の散歩中、我らおばちゃん3人衆の横を通り過ぎようとした宅配業者の車が急停車して、運転していたおにーちゃんが声をかけてきました。

「タカハシさん、ですよね?」

連れていた2匹の犬を彼は覚えていたのかもしれませんが、妻には初対面のように感じました。

「あ、そうですけどー」

そう答えると、おにーちゃんは「つい今しがた、郵便受けに不在届けを入れてきちゃったんですヨー」と。

でもって、「この後自宅に戻るのなら、荷物を後で届けに参ります。ついては10分後でよろしいか?」と。

チンタラ歩くおばちゃん集団なので、10分後確実に自宅に辿り着いている可能性はゼロに近かろうと、妻は20分後を要求。おにーちゃんは「20分後ですね、了解しましたー!」と笑顔を向けて走り去ったのでありました。

で、20分後。

ちゃんと自宅に戻っていたのですよ。

自宅で首を長ーくして、おにーちゃんを待っていたのですよ。

カモーン、ボーィ!

しかし、待てど暮らせど彼はやってきません。

そのうち、届け物のことなどすっかり忘れて、普段どおりダラダラと過ごし晩飯を食らい、風呂に入ったのは午後10時過ぎ。湯船に浸かってボンヤリしてると、ピンポーン♪

うそぅ。

もしかして、今頃宅配のおにーちゃん?

20分後に行きますヨ、言うてたあのおにーちゃん?

午後10時過ぎやーん。

湯船から飛び出て、濡れた身体にバスローブを羽織ると階段を駆け下りました。ノーパン、ノーブラ。

「届け物?」

玄関の扉の前で問うと、「そうですー、遅くなってすいません…鮭です…」の声。

妻が扉を開けたら…。

うわー!

鮭が入ったひょろ長い箱を持ったにーちゃん…ではなく、じーちゃんが突っ立っておりました。

6時間の間に彼に一体なぁにぃがぁぁぁぁーっ!?

我が家には、サンタさんではなく、浦島太郎がやってきたのでした。

12月26日

本日、大安とゆーことで、スゥパにしめ縄飾りを買いに行ったわけです。

1000円のにしようか、1200円のやつを買おうか、低レベルな悩みを抱えてズラーっと並んだしめ縄飾りの前で突っ立っていたところ、いきなり脹脛をドーン!

妻の真後ろで、乳母車に乗っていた、ガキに蹴飛ばされました。

トシの頃は4、5歳。その乳母車、おまえが乗るもんとは違うやろが。歩け、ボケ。尻、はみ出そうになっとるやんけ、っつーガキ。

なんだ、コイツ!?と思い、妻は一歩横へとずれました(とゆーか逃げた)。

すると、そのガキは自分の足で乗っていた乳母車を器用に動かして、妻の真後ろにやってきたかと思うとドーン!

足の甲ぢゃなくて、思い切り足の裏でドーン。

振り向いて睨みつけたら、またもやドーン。

計3回やられたところで、温和な妻もとうとう堪忍袋の緒がブチ切れてしまいました。

「なにすんだよっ!イテーだろっ!」

思わず握った拳を振り上げそうになったわけです。

この足癖の悪いガキの母親は、妻の横で同じようにしめ縄飾りを物色していたのですが、妻のその声に顔を向け、振り上げそうになった拳に目をやると、クソガキを庇うようにして

「な、なにするんですかっ!」

えぇーっ!?

逆切れ? 蹴飛ばしたやん。あんた、見てないかもしれんけど。コイツ、蹴飛ばしたもん。3回もー。ココ、ほら、ココ。足跡…くぅー、ついてないけどさ。でも蹴飛ばしたもん。あんたが思うとるほど、そのガキ、いい子と違うぞー! バーカバーカ。

そう反論しました。

心の中で。

厚化粧の若い母親とクソガキの顔を交互に見て、そして妙に納得。

判で押したような同じ眉毛。

鏡餅みたいな顔してる4,5歳の男子のくせに(母親も鏡餅)、眉だけすげー細いの。トリミングしてやんの。剃ったり抜いたりされてやんの。でもって、ペンシルで描かれてやんの。キモーっ。

クソガキは、きっと母親に眉毛いぢられる(毛を抜かれる痛さとかさ)腹いせに見知らぬ人に当たってんぢゃねーの?

それにしても、何故妻が標的に?

出来ることなら毎年しめ縄飾りは使いまわしたーい、なんてセコいこと考える罰なんですかねぇ。

 

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