■ 4月の戯言 ■

4月3日

いつものように、SさんとIさんが午後の犬散歩のお誘いにやってきてくれました。

「あ、ちょいと待っててー、すぐ行くから」

うんこバックにちり紙を突っ込み、2匹にリードをつけて、さて出よう・・・とキーボックスの中を覗いたら、あるべき場所に自宅の鍵がぶら下がっておりません。

あれ? うちの鍵はどこだ? ええと、さっき回覧板持って出たときは、ちゃんと鍵閉めて出たし・・・戻ってくる途中にどっかに落とした? いやいや、落としてたら家の鍵は閉まったままで、今家の中に妻が居られるわきゃないし。あ、上着のポケットに入れたままだったのかしら?

ガサゴソ。

ない。

えーん、どこ?

いらないチラシと一緒に捨てた?

新聞の束をバサバサと振ってみたり、ゴミ箱の中を漁ったり。

やっぱ、ない。

外にSさんIさんを待たせたまま、時間はどんどん経過していきます。

頭を掻きながら家の中をウロウロしている妻に、なんだか蔑みの視線を送るやつがいます。

散歩に行けると、玄関マットの上で待機していた愚犬。

なによ。

睨まなくてもいいぢゃないのさ。

背を向けた太ったほうの愚犬に目をやると、妻の大好きなコーモンがパクパク何かを語っておりました。

早く行こうぜ。

いや、違う。コーモンはそんなコト、言ってない。

しっかりせーや。

これも違うね。もっと優しい動きしてるし。

なになに?

たぶん明日になれば出てくるヨ・・・。

いやーん、励ましてくれてるのー? 泣きそう。

家中これだけ探しまくっても鍵がないのは、もはや盗まれたとしか思えません。

いやでも、玄関の鍵はさっきまで閉まったままだったし…窓の鍵だって閉まってるよね。泥棒が入ってきた形跡ないぢゃん。

もしや。

もしやキミ。

鍵、食ったんでね?

負い目があるから励ましてくれてんぢゃない?

ここからは妄想一人歩き。

あと数時間もすれば…

出てくるのかもしれないわね。キミのそのコーモンから。

でも途中で引っかかって、切り込みのある先っちょ部分だけしか出てこなかったりして…。

そうなったら…。

いやーん。

我が家の鍵の持ち手部分はキミ全身ってことになるの?

玄関の扉開けるときはいつも…

こんなことしなきゃいけないとか?

13kg強を毎回クルックル。

両腕、今以上に逞しくなりそー。

いやホント、SさんIさん、もっすごお待たせしてすいませんでした。

こんな感じで、妻は一生懸命鍵を探していたのです。

4月15日

胆嚢という機能は、胆汁という茶褐色のシルを出してうんこに色付けをする作業をするトコロです。

「だから胆嚢なんて、別になくてもええのですヨ」

とは、その昔医療に携わる仕事をしている友人が言った言葉。

ならばいっそのこと、みーんな取っちまえ。

人間だけぢゃなくて、ワンコも。

でもって、お好みの胆汁ガムとか胆汁ドリンクで色づけできないものか。

「今日はデートだから(関係ねーだろ)ピンクのうんこ♪」

なんつって。

そうすれば、犬の放置糞だってカラフルで「きたねー」というイメージなくなるんでねーの?

そんな話を先日Rさんにしたら、「でもやっぱうんこはうんこ。きたねぇよ」と即答された。

ええーっ?

(脳内イメージ)

まさに春の訪れって感じがするぢゃないですか…。

個人的には桜色胆汁ガム希望。

4月17日

うんこ座り(和式タイプ)してTVを見てたら、太いほうの愚犬がツカツカよ寄って来て、妻の股座に頭を突っ込んできました。

その愚犬を前屈みになって抱き込むと、ちょうど妻の顔の辺りに愚犬のお尻がくるわけです。

うふーん、可愛いオチリ。

どれどれ。

好奇心で鼻先を愚犬の肛門に近づけようとしたら、抱え込まれた苦しさからか、愚犬はもがいて後ずさり。

その拍子にビターッ。

鼻先がちょいとばかし肛門様にめり込んだような気がします。

気がしますとゆーのは、そう思いたくないから。

なんか、ちょっと鼻先が濡れました。

一体、何汁がついたんでしょうか。

ところで。

「中に入ってお茶でもどーぞ」とSさんに声をかけていただきまして。

いやぁ、ありがとうありがとう。

ほいぢゃ、お言葉に甘えて遠慮なく。

靴を脱いであがろうとしたら…。

あらやーねぇ。

もう片方の靴を脱ぎつつ『みっともないトコ見せちゃった、早く靴下を引っ張り上げなきゃ』と思っていたら、ギャォス!

もう片方は裸足になっとりました。

玄関に脱ぎ捨てられた妻の靴。

その中には、靴下が。

履き古した靴下が悪いのか、靴が悪いのか。

はたまた妻の足の形状が悪いのか…。

4月22日

S「あらー、りえぴさん髪の毛、切ったのねー」

I「また自分で?」

り「うん」

I「意外と上手に切れてるぢゃないー」

り「でへ。ホントはベリーショートにするつもりだったんだけどね。ほら、デビュー当時のあの人みたいに…うーん、名前何だったっけ…」

I「鳳啓介?」

S「敏江・玲児の敏江ちゃん?」

り「あ…い、い、いや…橋田壽賀子…です」

二人の挙げたベリーショートな方々が、あまりにも年代を感じさせる人だったため、とても「モデルのはなちゃん」とは言い出せませんでした。

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