■ 3月の戯言 ■

3月2日

自給自足生活に憧れているところがあるのです。

でも、大変なことなんですよね。わかっちゃおります。自分にやれそうにないことも。楽して自給自足ができればいいのになぁ。

そう思ってるからなのかしら。

先日読んだ伊沢正名氏の 「くう・ねる・のぐそ」を、夫にも是非読んでもらいたいと思う気持ちがあったのです。

氏曰く、野糞をしているときには普段目にしない小さな虫たちや、植物に目が行くのだよ。いろんな発見があるのだよとおっしゃっておりました。事実、菌類写真家として有名な彼は、希少価値の高いキノコを野糞中に発見したといいます。

五感が研ぎ澄まされるような、そんな感じがしなくもないね。

よく分かります。

そんなことをボンヤリ数日間考えたりしたからなのかしら。

昨夜から今朝にかけて、2時間おきに何度も目を覚まし、やっと眠れたと思ったらまた同じ夢の続きを見たのでした。

それは…。

妻のおでこに、ぶっといシメジのようなモノがニョッキと生えてきた夢。

小鼻の横ちょにも、ちっこいのが一つ。

おでこのキノコの根元には紫色した根っこが、まるで浮き出た血管のように広がっておりました。キショすぎ。

夢は時折、自分に都合よくできているもので、何故かキノコ博士と呼ばれるおじさんが登場し、「心配いりませんよ、この2つのキノコにはまったく毒性はありません。食えます」と言い放ち、「こんな身近な場所に食べられるキノコが生えるなんて、貴方は幸せですね」と羨ましがります。

「貴方はキノコに選ばれた幸運な一人なのです!」と。

なんぢゃそりゃ。

生えたキノコはもぎ取っても、次の瞬間にはまた同じ場所に同じ大きさで現れます。

画して夢の後半では、見事自給自足生活に一歩近づくことができ、めでたし、めでたし…となったわけですが。

「野糞をしていたらキノコに目がいく」という伊沢氏の言葉を思い出し…。

デコと小鼻の横ちょに生えてたんぢゃ、観察どころかアテクシにはまったく見えないぢゃないかー!

とキレたところで朝を迎えたのでありました。

疲れた。

でもって、シメジだったのがちょっと悲しい。

庶民的すぎだろ。夢なのに。

なんで松茸ぢゃなかったんだ?

3月9日

2匹の散歩のときに、ときどき会うご婦人Aさん。犬好きらしく、我が家の愚犬を見つけるとしゃがみこんで撫でてくださる。

BJは静かに近づいて、大人しく撫でられてるからいいのですが、サラがいかん。

声をかけてもらって嬉しいのは分かるけど、いつも体ごとぶつかっていくのです。

そんなわけで…。

今年もまた、地面に転がされてしまったAさん。

3月になって初転び。

「あはは〜元気がいいね〜またやられちゃった〜」

その言葉に甘えきっちゃってるダメ飼い主ではありますが、この見事なコケっぷりを見てふと思う。

やりたい。

一度やってみたい。

買い物途中の小休憩で、我が家の庭や、Sさんちの生垣に腰掛けてるおばーちゃん。

あのおばーちゃん並べて…。

10人並べて…。

サラでボーリング。

3月23日

本日の犬散歩は、枯れ枝や枯葉の舞う強風の中行われました。

BJの脱糞を察知して、ブツが落ちる前に落下予想地点にちり紙を乗せた手を広げた妻。と、そのとき…突風でちり紙が妻の手から飛びそうになりました。

あらどうしましょ、と考える間もなく、生キャラメル、もとい生うんこがボトリ。

手に犬糞が付くなんて、別段珍しいこっちゃありまへん。

付いたものはしゃーない。

焦らず、バックからもう1セットのちり紙の束を取り出し、はみ出たうんこをコーティングして手に付いたブツも拭い取りました。そして握り飯を作成するようにギュッギュとうんこ玉を作り、ビニール袋へ突っ込もうとしたとき、愚犬2匹が走り出しまして…。バランス崩した妻は、うんこ玉をビニール袋に入れられず落としてしまったのです。

うんこ玉は、玉だけによく転がる。

その上、風までが加担してコロコロコロ。

おまけに、うんこ玉をコーティングしてたハズの2,3枚がバラけ、ジルつきちり紙がヒラヒラと風に舞い、あらぬ方向へ飛んでいくぢゃないですか。

ぎゃー! 待って!

BJ、サラ、その飛んでいくちり紙を拾うんだーっ!

追えーっ!

賢い2匹は妻の言葉に答えて、ちり紙を追って走ります。

が、BJは咥えようとしたその瞬間、ちり紙についてたジルに気づいたのか、後ずさり。サラははなから遠巻き。

BJよ、元はといえばおまいが尻から出したブツだろが、と。

サラよ、おまいだってBJが肛門腺垂らしたら、いつもしつこくケツを舐めてるぢゃないか、と。

なぜ避ける。

ちぇっ、当てにならないやつらだ。舌打ちしている間にもちり紙はヒラヒラ〜。

転がったうんこ玉よりも、風に煽られどんどん遠くへ飛んでいくジルつきちり紙をまずは捕らえるべく、走る妻。引きずられる2匹。

いやぁ〜、たいそう疲れました。

「同じルートでほぼ同じ時間に同じメンバーと、もぅ10年も続けてんのよねー、この散歩。いい加減飽きちゃったなーと思ったけど、こーゆーモノが見られるから止められないのよー」とは、一緒に歩いていたIさん。

飛んでいくちり紙を追いかける妻は、なぜかずーっとうんこ拾う体勢の…中腰のままドタドタと走ってたらしいです。

「運動会で、中腰のまま何かを追いかけるとかゆー競技があったら、間違いなくチミ、1等賞だから〜」

ないわぃ、そんな競技。

3月25日

美容院てトコロが、どんなことをやってるのか忘れるくらい、もぅ何年もの間、頭髪は自分で切っとります。

風呂場にて。

素っ裸で。

鏡も見ず適当に。

んで、最後にシャワーで勢いよく切った毛を排水口へと流し、掻き集めて捨てるのが入浴前の儀式なのですが。

風呂椅子に腰掛けたまま、頭から湯をかけて立ち上がって己の身体を見ると…。

ダブついた肉の谷間に沿って、横線状に生えた胸毛と腹毛。

男らしすぎて涙が出そう。

3月30日

宅配のにーちゃんが、お江戸暮らしを終えた夫の荷物を担いでやってきました。ダンボール9箱に、クリアケース4箱、でっかいザックやらアルミの棚やら…。

はっきりいって、ゴミになるような不必要のものが半分以上を占めているのだけれど、「戻ったら自分でなんとかしますから、適当に積み上げておいてください」という夫の言葉を信じて、宅配のにーちゃんに全て2階に運んでくれるよう指示を出す妻。

扉の開いてる部屋の、クローゼットの前に積み重ねておいてくださいな〜。

その部屋は、普段洗濯物を干しているのですが(我が家は部屋干しONLY)、そいつをちゃちゃっと隅に避けて(30cm程)、一応荷物が置けるスペースだけは確保しておいたのです。

「分かりましたー」と笑顔で答えて、ダンボール抱えて階段を駆け上がる元気なにーちゃん。

全ての荷物が置けそうか尋ねると「大丈夫ですヨ!」と白い歯を見せた爽やかボーイ。

が…。

3往復目辺りから、階下で突っ立っていた妻を避けるようになりました。

声をかけても目を見てくれません。

うわー、まだダンボールあんの?

「…う”っ、ええ…まぁ」

次から次へとザックザック出てくんのねー。半分はゴミなんだよー、きっとー。

「…はぁ…」

やぁね〜、向こうで捨ててくりゃいいのにね。シミったれてるっつーかさぁ〜。

「……」

声をかけるたびに、視線の反らし方が派手になっていく気がします。

爽やかボーイの白い歯はどこへ。

「全部運び終わりました。あのー、えーっと、判子を…」

そういって書類を手渡すときも下を向いたまま。

彼らが帰ってしばらくして、荷物の置かれた洗濯部屋を覗きにいってあぁ、ナルホドと気づきました。

干されている妻のパンツを触れずしては置けないような場所に、ダンボールが重ねられとります。

くすんでるし、ヨレてるし、ゴム紐伸びたりはみ出してるし、レース破れまくりのパンツ。

そうさ、ソレ履いてんのがアテクシだよ!

捨てずに何度でも履いてやんのさ!

妻のパンツだって、半分以上はゴミみたいなもんさ!

シミったれてるさ〜!

 

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