■ 5月の戯言 ■
5月8日
お散歩友達のIさんの旦那様@まさちゃんは、大の甘党。そんな彼がIさんに言いました。
僕が先に死んだら…棺の中を菊の花でいっぱいにするのは止めてくれ、と。写真や本なんかもいりません、と。
好きなもので埋め尽くされたいんだとか。
思い出の品とかぢゃなくて、好きなものねぇ。ケーキや饅頭かしらと思いきや…。
「ううん、違った。甘いものも好きだけど、冷麦だってさ。冷麦でいっぱいにしてくれって」
聞けば、真冬だって冷麦。冷麦ならあるだけを食べてしまうほどの冷麦好きでもあったんだとか。
んまぁ〜安上がりでいいぢゃないと笑う、これまたお散歩友達のSさんではありますが…。
ちょっと待て。
その冷麦って、茹でた状態で棺に入れてくれってんでしょ?
「そうそう、食べられる状態のほうがいいって」
まぁ、茹でた冷麦を頭に乗せれば禿も隠せて…つか、白髪だけどものすんごい毛深い男性に見えていいかもしれないけどさー。棺を埋め尽くすほどとなると、どんだけの冷麦を茹でなきゃいけないんだよ、と。大鍋一つぢゃ足りないだろ、と。コンロだっていくつもいるんでないの? それを全部葬儀屋にやってもらうのか? 別料金とかいって、結局は菊の花代よりかかるんでないの?
妻がそう言おうとしたら、話は既に土手に咲く花の話題に変わっておりました。
おばちゃんたちの話題の移り変わりは早い。
けれど、妻の頭の中はニュルニュルの冷麦に首まで浸かったまさちゃんの姿が離れません。
そうだ、甘党だし、いっそのことスポンジケーキの生地も流し込んだらどうだ。
食後に何個でも食えると言ってた薄皮饅頭もトッピングして。
んで、頭の周りに冷麦。
ロンゲ風に冷麦ドシャー。
納棺のときなんて、故人を惜しんで棺の蓋開けたらプ〜ンと甘い香りしちゃってね。
そして出棺。
棺が火葬されだしたら、これまた広がる香ばしい香り。
ケーキの生地が膨らんで、棺の蓋が持ち上がっちゃったりして。
あ、ちょっと待ってくださいー! そこでいったん取り出してくださいー! 焼け具合確かめてみますー。
なんつって…オーブンかよ。
ええ、話題は藤の花に変わってましたが、妻の頭の中は新食感スイーツまさちゃん。
不謹慎にも人の旦那の死に様を想像しつつ、ニタニタしていたのでありました。
5月19日
愚犬らが排泄のため降りられなくなっちゃマズいってことで、裏庭の雑草は暇を見つけてはちょこちょこ引っこ抜いてはいたのです。
「見栄えとか、もぅどーでもええ」なんつって、通りに面した表の庭には手をつけず…。
が、スギナやらチチコグサがニョキニョキ生えて、イネ科の雑草が膝丈にまで伸び、通りすがりの人が見たら、「この家、どーみても廃墟」状態になってしまったんで、仕方なくホッカムリして草取り作業に精を出しとりました。
そこへ、買い物帰りのIさん登場。
「ようやく着手だねー」
スギナくらいは抜いてみようかと、ね。でもコイツらって地下茎伸ばして増えるから、根っこから完全に抜き去るなんてできないのよねー。除草剤撒きたいところだけど、うちの庭は柵がないし…散歩途中のワンコが入ってきて、草舐めてグッタリ〜なんてことになるのもイヤだし。
手を休めてそんな話をしているところに、これまた通りかかった買い物帰りのお年寄り。
ここいらでは、あまり見かけたことのないご婦人でした。
「こんにちわ。暑いのにご苦労様ですねぇ…」
上品な佇まいのそのご婦人は、これまた上品に声をかけてきました。
「この界隈のお宅は、皆さん、ホントにお庭を綺麗に手入れなされてますねぇ…」
ええーっ?
そう妻が驚きの反応を示すより先に、Iさんが言い放ちます。
「この家、違いますけどね!」て。
「ホラ、雑草ばっかでしょー。あのドウダンの間からニョキって伸びたやつ、アレなんてセイタカアワダチソウが枯れたやつですよ。去年からあのまんまー。ちょっと前なんて、この家、売り家と間違われたしねー」て。
チミ、喋りすぎ。
でもって、ココ、アテクシんちだから。
Iさんの言葉に、苦笑いしながらご婦人は続けました。
「でも、ほら、ご夫婦ともお働きになってれば、そうそう庭にかける時間もありませんしねぇ」と。
あは、あは、あはは…。
作り笑いしていた妻の横で、Iさんが妻を指差して言いました。
「この人、無職ですから」
ご婦人は、逃げるようにその場を去っていきました。
つかさ、せっかく褒めてくれてんだから、気持ちよくさせてくれたってええぢゃんかー。
そう反論した妻に、Iさんは言いました。
「目をさませーっ! あの人、お世辞ぢゃなくて、嫌味言ったんだよ!」
そうだったのか?
あぁ、友よ。気づかせてくれてありがとう。
上品な嫌味を褒め言葉と受け取り、喜んだ妻。
Iさんの言葉に、友情を感じた妻。
どっちにしろ、おめでたいぜ。
5月22日
Sさん、Iさんと一緒に散歩をしていたら、ぜんまいを大量に手にしたMさんにバッタリ。「今日、鬼首に採りに行ったばっかなの」と分けて頂きました。
SさんMさんは、妻より一回り年を重ねた大先輩。
Iさんの年齢は、妻寄りでございます。
ぜんまいなんて、スゥパで売られてる水煮のやつしか使ったことないー、というIさんと妻に、いろいろとアドバイスしてくれる先輩方。
「ぜんまいって、灰汁が強いからね。ミョウバンか重曹で、まず灰汁抜きするのよ」と。
あわわ。
我が家にはミョウバンも重曹もないがな。
とここで、Iさんと妻、同時に発言。
I「ミョウバンの代わりに、ベーキングパウダーぢゃダメかなー」
妻「重曹の代わりに、洗剤ぢゃダメかなー」
池の鯉のよーにパクパク口を開けたままの先輩二人。
いや、冗談ですってば。
「どっちも家になかったら、塩でもいいよ…塩茹でして、1日つけたままにしとくとか…」
「沸騰したところに入れるのよ。水から入れると煮すぎてグダグダに溶けちゃうからね。気をつけないと」
「普段はその後、干したりするけど、採りたてだから茹でおいただけで調理して食べた方が美味しいと思うわよ」
「炒め物にしたり、おひたしにしたりね」
そりゃもぅ、懇切丁寧に教えてくださいまして。
フンフンと聞いていたIさんと妻。
そして一通り話を伺った後、またもや同時に発言。
「調理した後にくれればよかったのにー」
この後輩ら、無知な上にかなり図々しい。
5月28日
なんとか次の健康診断の日までに体脂肪率を減らそうと、最近ナイトウォーキングを始めました。ついでに体重も落ちてくれれば、尚のことよろしってことで。けれど、ウォーキング後のビールが止められないのですよ。しかも、必ず堅あげポテト1袋をつまみにして。
最近の食い物って、殆どのものにカロリー表示がしてあるんですよね。憎たらしいサービスだこと。
妻が1袋ドカ食いしてるこの堅あげポテトは356キロカロリー。大丈夫。その分歩いたし〜ホラ、夫の万歩計の消費カロリー見てみろ?範囲内だべ〜なんつって無茶食いしとったのですが…。
同じ距離を同じペースで2人で歩いていても、万歩計に表示された消費カロリーの数値は妻より夫のほうが高かったのです。それが、基礎代謝量の違いによるものだってことをつい最近知りました(遅。
結局、妻だけナイトウォークで消費した以上のカロリーを、毎晩摂取しとったことになるのです。
こんなことぢゃ、体脂肪率なんて落ちやしねー。体重だって減りやしねー。のは分かってる…分かってるけど、やめられねーっ。
ガッツリ歩き回ったある日の午後、早速我が家の体重計に乗って体脂肪率をチェックしてみたら、運動して汗もジンワリかいたのに数値は朝と変わらず。
うーむ、おかちぃ。
こうなると、もぅ狂ったように体重計に乗りまくりです。
庭弄りしてチェック。散歩から帰ってきてチェック。飯食ってチェック。コーヒー飲んではチェック。しまいには、しっこしてもチェック。その都度、真っ裸で。脱いだり着たりと忙しく。
そんなこんなで気づいたのですが、どうも飯を食って体重が増えると、体脂肪の数値が減っておるのですよ我が家の体重計では。
「体重の数値増やしたお詫びの印で、ちょこっとこっちの数値、減らしてバランスとっときましたがな、旦那!」なんつって、気でも使ってくれてんでしょうか。
飯を食うってことはカロリーを摂取しとんのに、なんでなんだろか。
わからん。
でもって、うんこしたら体重は減ってるのに、体脂肪率はちっとも変わりゃしなかったりしてガッカリ。
てことでフト気になりました。
「今出した、この立派なうんこ…これは一体何カロリーなんだ?」と。
んで、早速「うんこのカロリー」でググってみたら、出てくる出てくるザックザク…。世の中には妻と同じようなコト考えてるやつがたーくさんいたんだなとビックリしましたが、カスであるうんこはゼロカロリーってのを知ってもっとビックリ。
ええーっ!
でも、夫はよく言いますよ。
「いいうんこは水に浮くけど、悪いうんこは沈むのです」とかなんとか。
水に沈む重いうんこは、なんだか栄養満タンでカロリーありそうぢゃないですか。現に、妻のうんこには消化し切れなかった野菜屑なんかがそのまま練りこまれてたりするし。
最近仔犬を飼い始めたら、食糞が酷くてねぇ〜なんつってた近所の奥さんに、つい妻は「出したうんこに栄養残ってて、おいちそうだったんぢゃね?」なんて答えちゃったけど…その仔犬もうんこでカロリー摂取してたってことになんのか?
いや待て。以前読んだ糞土師氏の本には、未消化のものが含まれる下痢便なんかは、バクテリアの分解が遅くて植物の成長が遅いとか書かれてなかったっけか。てことはナニかぃ、バクテリアとか植物は成長するためにカロリーなんて不必要なのかね。
んもぅ考えれば考えるほど分からなくなってくるカロリー。そしてうんこ。
もぅ頭の中は今日もうんこだらけ。
手っ取り早く体脂肪落としてスリムになりたいなら、うんこ食え!ってとこに落ち着いてよろしいでしょうか。