■ 12月の戯言 ■
12月3日
おっとろしい夢を見ました。
どんどん身体が動かなくなってくる夢。
ベットに横たわったまま、うんうん唸る妻。
目を開けると、白衣を着た老人と夫が妻を覗き込みながらなにやら話しています。
「進行性の筋ジスですね。その進行は、なんちゅーか、ありえんくらいの超特急ですよ…。今日のうちにでも、目も口も開けられなくなるんぢゃないでしょうか…」
「うむーっ」
「あ、ほら、もぅ1分以上目が開いたままですよ…瞬きしてないし。とうとう瞼にもきちゃいましたね」
「そういえばさっきから、口もだらしなく開いたままですね」
「お喋りもできなくなるんぢゃないでしょうか」
「でも、聞こえてはいるんですよね?」
「多分」
一生懸命手足を動かそうともがいてみても、ピクリとも動かないのです。
実際には金縛りにあってたのかもしれませんが。
「聞こえはするけど、返事ができない…のですね」
夫は白衣の老人に再度確認すると、ニヤニヤしながらその場で鼻をほぢり、「おぉ、いつも以上にでかいの取れた!」と言いながら丸めると、妻の口の中へポイッ。
ギャーッ! やーめーてーっ!
「ほんとだ、何の反応も示しませんね」
「うむ。噛んでもおらんですね。この調子だと、きっとうんこ口に入れられても無反応ですよワハハ」
「うはは、なんだか今後楽しい生活ができそうでーす!」
夫と白衣の老人が笑いあってるところで、目が覚めました。
怖くてムカついた夢。
普段は寝相の悪い妻ですが、このときばかりはきっと地蔵のように身動き一つせず綺麗に寝てたんぢゃないでしょうか…。
そう思って、夫に聞いてみました。
「えー? いつもと変わらず、バタバタ動いてましたけど?」
あり?
12月18日
犬友達Iさんのお父様が、先月腰を悪くして入院しました。御歳85歳。
「寝たきりになっちゃったんだよね。声をかけても、力なく手を動かすだけでさー。それなのに…」
いつもは午後を過ぎてからお見舞いに行くところを、昨日はちょっと早めに出かけたため、昼食時間にぶちあたったのだとか。
「食事が目の前に運ばれたらね、ガバっと起きるのよ! 寝たきりのくせに。腰が悪いくせに。 でね、、食べ終わったから食器を軽く洗ってこようかと思ってお父さんに『お箸も洗ってくるね』って言って受け取ろうとしたのに、渡さないの。両手でしっかり握り締めちゃってさ。物凄い力入れて…。しばらくの間、お箸の取り合いになったんだよ」
入院後、腰の調子はよくなったものの、なんだかボケが始まっちゃったらしい。
人間ボケると、金、性、食の3欲のうちのどれかが突出して表に出てきちゃうというけれど、Iさんのお父様の場合は食だったわけですね。
でも色ボケになっちゃうよりはいいんぢゃないのかしら。
看護婦さんのお尻触ったり、卑猥な言葉を吐いたりするのは、回りにいる人たちにとってかなーり迷惑だしさ。
あぁ、我が夫はボケたらどうなるのかしら。
などとため息ついたら、Iさんに言われました。
「人のことより、自分の心配したほうがいいよ」と。
あら、そうね。アテクシはボケたら、どうなっちゃうのかしら。
小栗旬、さかなクン、高橋克典、我が家の坪倉由幸(←ハゲそうだね)。ここのところ、毎日この人らと迫ったり迫られたりするヤラしーぃ夢を見ちゃってる妻。登場する男性の殆どが取り立てて好きとゆーわけでもないのに、なしてでしょう。つか、さかなクンて! なぜお前がーっ!? 思い出しただけでも、身震いするわ…。
こーゆー夢を見るってことは、もしかして欲求不満だからなのかしら。
てことは、あと何年かしたら色ボケばばあになる可能性もあるってことー!?
でも女性の色ボケした姿って見たことないし…。
するとSさんが「いるのよ!いたのよ!」と興奮しながら喋り始めました。
なんでも、以前住んでいた処の近所に、フリフリスケスケキャミソール1枚でウロウロしていたばーさんがおったのだとか。歩きながら、そりゃもぅご婦人方が赤面するような言葉を喚き散らし、男性が通り過ぎようとするとキャミソールの裾をペロンと捲って局部を見せようとしてたんですと。
「でっかいお家に住んでてね、すごいお金持ちなのよ。言動が益々酷くなって、結局、病院に入っちゃったらしいけどね。女性の色ボケは怖いよー」
やだわー。
どうしよう。
キャミソール1枚で、この町内を徘徊する年寄りになんてなったら…。
あ。
キャミソールなんて1枚も持ってないや。
「大丈夫なんぢゃないの? それよりアナタがボケたら…うんこを連発してる姿の方が簡単に想像できるんだけどー」
今でこそ、散歩中に愚犬の糞を素手で触ると「うわー、汚い!」なんつって入念に手を洗ってるけど…ボケちゃうとそんな感情もなくなるのかもね。
「うん。冗談でよく『うんこ投げつけたる!』とか言ってるけど、ボケたらマジでやりそうだよ。近所でもかなり有名になるね。うんこ投げるばーちゃんって」
グロボケかよ。
うんこ投げつけたるぞー!