■ 1月の戯言 ■

 

1月18日

スゥパのトイレに入って、便座に腰を下ろしたら、ポケットに入れていた携帯がピロピロ鳴りました。ご近所のSさんからのメールです。

「いつも荷物、運んでくれてありがとね」

生協さんの共同購入のことです。我が家の玄関先に荷物が届くので、Sさんが留守にしているときは、妻が仕分けをしてSさんの玄関先まで運ぶのです。でも改めて御礼を言われるほどのことぢゃないし、いいのにわざわざー。

なんてことをメール読みつつ思ってたら、その後に続く文章にしばし首を捻ってしまいました。

「ところで、○○のボールセットとトイレットペーパーを交換しない?」

うぬぬ?

意味不明。

ええと…妻が仕分けのときに我が家分として手に入れたのはトイレットペーパー。てことは、Sさんちが生協で頼んだ○○ボールセットってやつを、我が家が頼んだトイレットペーパーと交換してくれとゆー解釈であってますよね?

誰が読んでもそうですよね?

でも一体ナニ、そのボールセットって。

犬用のおもちゃ?

セットってことは、大中小の3個あるってことかしら。

てことは、お値段的にどーなの?

トイレットペーパー12ロール分より随分とお高いんぢゃないの?

妻がもっすご得しちゃうってことなんぢゃないの?

それでも欲しいのね、トイレットペーパーが。

わざわざメールしてきたってことは、今欲しいのね。

すぐにでも欲しいのね。

急を要する事態なのですね。

いかん、ゆっくり便座に腰掛けて、腹揉みなんてしてる場合ぢゃないゾ?

そう。

妻はピンときたのです。

Sさんは、きっと今、妻と同じように便座に腰掛けてるんぢゃなかろうか、と。

悶絶してるんぢゃなかろうか、と。

ストックしてあったトイレットペーパーの全てを使い尽くすほど、ダダ漏れ状態なんぢゃなかろうか、と。

こりゃ一大事ぢゃないか!

急げ!

が、運悪くとゆーか、この日も車ではなく徒歩にて買い物に来ていたため、どんなに急いでも30分かかってしまいます。

走れ!

走るんだ妻!

ザックに入っている缶ビール(350ml)15本分の重さがズシリと肩に食い込みます。走るたびになんだか肩の皮が擦れてきてヒリヒリしだす始末。

でも、人助けなんだ。

Sさんの尻が乾かないうちにー!

やっとこ自宅にたどり着き、荷物も降ろさずクローゼットに入れていたトイレットペーパーを引っつかんだらSさんちへダッシュ。

鍵のかかってない玄関扉(5センチほど開いてた)をガバっと開けて、Sさーん! 持ってきたよーっ! 大丈夫ー? どうする? トイレまで持って行きましょうかー?と叫びました。

すると鳩が豆鉄砲食らったような顔をして出てきたSさん。妻が手にしていたトイレットペーパーを見て言いました。

「あー、ええっと、○○ボールセットって…りえぴちゃんが頼んだんでしょ? うちが頼んでたトイレットペーパー…それそれ。りえぴちゃんが間違って持って行ってたんぢゃない? だから交換してってメールしたつもりだったんだけど…」

あわわ。

Sさんが台所から持ってきた調理用のボールセット(ガラス製の計量もでけるとゆーやつ)…うむ、そう言われればなんだかそのブツ…注文したような気もしないでもないとゆーか…。なるほど、すっかり忘れてたのは妻のほうなのね。でもって、頼んでもないものを間違って自分のものにしてたのも妻のほうなのね。すまん。

「それより、なぁに? さっきの大丈夫? トイレまでーって」

いやそのー。

お体お大事に。

このトイレットペーパーで、思う存分好きなトコロを拭き倒してくだされモゴモゴ 。

余りの恥ずかしさに手にしたボールで顔を隠すも、それはガラス製。

何の役にも立たんかったがな。

1月26日

最近、数年に一度降臨してくる毛の神様が我が家におります。

下手の横好きとゆーやつで、チマチマと編み物をしておるわけです。

以前、実家で飼っていたパグ犬は糸や毛糸を見つけるとムシャムシャと食っておりました。全てではなく、少しだけ残して。その残った部分を口の端からタラリとぶら下げ、少女りえぴに執拗に纏わりついておったのです。

まるで「この端っこを引っ張ってくれんかのー」と言いたげに。

心優しい乙女はもちろん、愛犬の望むとおりに糸の端っこを摘んであげます。

するとパグ犬は自ら後退していき、口から国旗…ではなく、胃液やら消化途中の飯粒などが絡みついた糸を嗚咽しながら出すのです。全て出し終わるとまたムシャムシャ。

アホな上に変態犬でした。

そこいくと、我が家の2匹はたいそう賢いので、妻がリビングに胡坐をかいて編み物しようが、毛糸玉でじゃれるなんつーことはございません。

が。

BJは足音を立てずに忍び寄り、編み棒持った妻の手の甲をペロリン。

「うわっ…やめろってば」

すると背後から反対側に周り、今度は脇の下からグイグイと頭を突っ込んできます。

寂しん坊な52歳。

まぁ、30分に1回程度「あぁ、アンタは可愛いよ」と声掛けしてやれば本人も納得して少し離れた場所でしばらくホケーっとしてくれるので問題はありません。

だって賢い我が家の犬ですから。

で、再びシコシコと編み物に没頭する妻なのですが…。

ある時点から毛糸が突っ張って、編めなくなる瞬間がやってくるのです。

どこかに引っかかったような…そんな感覚。

なーしーてー?

毛糸玉を目で追うと…ぷぎゃー!

シモの冷えが堪える60歳。

必ずですよ、必ず。

毛糸のパンツを編め!とゆー無言の訴えでしょうか。

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