■ 7月の戯言 ■

 

7月5日

遠近両用眼鏡とでもいうんでしょうか、下半分が近くを見る用で、上半分が遠くを見る用…みたいな眼鏡をかけとります。

でも、本を読むときは裸眼のほうが按配よろしいので、頭の上に乗せてたりするのです。

サザエさんちの波平おとーさんのように。

要するに老眼なわけですよ。

誰だ、ド近眼の人は老眼にならない!なんて嘘ついたのは。

しっかりガッツリなっとる人がおるがな、ココに。

まぁ、なってしまったものはしゃーないので、素直に受け止め、老眼と上手く付き合っていきますとも。

で、本日も頭に乗っけて本を読んでおったのですが、尿意を覚えてトイレへ駆け込んだわけです。

便座の蓋を上げたら…。

誰だ、ブツを流し忘れてたのは。

あぁそうだった、妻だったわ。

朝からコーヒーがぶ飲みしてて、何度もトイレに行くから、「流すのは3回に1回くらいでええやろ」なんて放っておいたのよね。

うんこだったのに。

まぁいい。自分の体から出たものは、さほど臭いって感じないし。

コイツ出したら一緒に流すか…。

そう思って、ズボンを下ろして腰掛けようとしたら、ボテッ!

尻ポケットに入れてた携帯が、便器にダーイブッ!

そしてうんこの上に見事着地。

ぎゃーっ!

マジマジ?マジーッ!?

こーゆー場合も3秒ルールは適用されますかね?

「きちゃない」とかゆー感覚は一切覚えず、慌ててうんこの上から携帯を取り上げ…

たそのとき、今度は頭の上に乗せてた眼鏡がうんこにダイブしました。

こちらは、両足を思い切り広げたまま1回転捻りをした後、うんこクッションに片足をついたものの、その勢いで静止できずポチャンと体半分が水没。

7.5。

難しい技を使うからだ。バカチンめ。

携帯が使えなくなってはマズい!と、まずは携帯のお掃除&使えるかどうかのチェキラ。

大丈夫でした。

うんこクッションのお陰で水没しなかったのが功を奏したのか。

ありがとううんこ。

その間、ずーっと放置されてた着地失敗のマイ眼鏡選手。

すまん眼鏡。

7月13日

住宅街の散歩は、いつも…

こーんな感じ。

妻を引っ張る勢いで前をガンガン歩くサラに反してフレキシブルリードが思い切り伸びた状態で、トロトロついてくるBJ。

時折立ち止まって、ため息なんかついてくれるもんだから、妻には単に散歩嫌いな犬にしか映りませんが、他の人から見るとどうも違うようで…。

昨日、声を掛けてきたおばーさま。

彼女の目には、BJが随分と大儀そうに見えたようです。

「ジメ〜っとしてるもんね。歩くとやっぱり暑いもんねぇ。大変だよねぇ」と心配顔。

だとしてもホラ、犬らには散歩が仕事みたいなもんですからねー、と笑って応じる妻に、おばーさまは言いました。

「お腹に赤ちゃんいるんでしょ?」

ええーっ?

妻…思わず条件反射で己の腹を擦っとりましたが、おばーさまが言うニンプはどうもBJのことだった模様。

ココ、コイツがですか? ちゃいますちゃいます。妊婦ちゃいます。

デブなだけですから…。

つか、一応、♂なんですけどねー。

7月20日

生まれて初めて、救急病院てところに運ばれました。

生まれて初めて、縫合手術てのを受けました。

その人生初縫合が顔面て…。

何本打っても効かない麻酔。

それはね…。

酔っ払ってたからー。

そもそも、顔面に傷を作ったのも、酔っ払ってたからー。

酒が入ってるから尋常ぢゃないほどの出血量。

時刻はまだ明るい午後5時頃。

公園の中で顔から大量に血を流し、両手も血だらけ、Tシャツも血だらけでギャン泣きしながらウロウロ歩き回ってる中年女。

こんなでよく警察ぢゃなくて病院にちゃんと送られたものだなぁ、と。

連れて行かれたところは、TVのドラマでよく見るような救急医療センターです。

だだっ広くて消毒液の臭いが充満する部屋に幾つものベッドが並べられ、ドクターとナースが忙しく立ち働いております。

その中の一つに寝かされ、まず消毒される妻。

「けっこう色んなモノが食い込んでますね…」

「うわっ、これでっかい!」

「取れた、取れた…」

ドクターとナースが喋っている会話は、もちろん患者である妻に丸聞こえ。

でもって、部分麻酔(殆ど効いてないけど)なので会話に割り込むことだってできちゃうのです。

「見たい!見せてー」

ピンセットで取り除かれたモノを妻の目の前に差し出すドクター。

「ナンヂャ、ソリャ」

5ミリほどの黒くて四角いモノでした。多分、公園に落ちてたゴミ。他にもいろんなゴミや石ころが妻の顔から取り出されていきます。素敵、顔面清掃機。

途中で先輩らしいドクターが様子を見に来て、妻の顔の傷と取り出したものを観察しはじめました。

「あ、そこにもまだ何かゴミらしきものがあるんぢゃない?」

「コレですか?」

「そうそう、その黒いやつ…」

「ナンでしょうねぇ…と、取れないなぁ…」

痛いよ。

グリグリやったら痛いってばー。そう訴えようとしたら、左にいたベテランナースさんがボソり。

「先生、それモーコン」

「…ン? モー? ナニ?」

「ヒゲですってば!」

「あぁ、ヒゲかー」

乙女の顔に生えた毛を、ヒゲだなんて! すつれーな。

「それぢゃイソジンで消毒しますからねー」

ベテランナースさんが妻の口の周りに赤茶色のイソジンをベタベタと塗っていきます。

思わず言うてしまいました。

「今、アテクシってばカールおじさんみたいになってんぢゃね?」と。

笑いもせずに答えてくれました。

「そっくり」だと。

いよいよ縫合開始です。

視力を失いそうなくらい眩しいライトが当てられ、ドクターが皮膚を広げたり引っ張ったりしながら傷の具合を見てたんですが…。

「はぁぁ…スパっと線状に切れてるんぢゃなくて、バッテン印みたいな感じで切れてる…しかもココは思ったより深いなぁ…あ、鼻の横んとこはコレ…壊死してるんですかね?」

ですかね?て。

なして疑問系?

妻に聞くなよ、知らんがな。つか、見えんし。

救急センターにいたドクターは、どの方も多分妻より年下。途中で茶々を入れにきた(違)医者も、きっと年下。

妻の担当医は医者になってまだ浅いんですかね。

うん、浅いんでしょう。

だって…。

「俺、こんなの縫ったことないよ…」

ボソっとそう言ったの、妻は聞き逃しませんでしたから。

熟練ナースが妻の顔に何やら被せながら、「大丈夫ですよ!先生ならやれます!」なんつって励ましてやんの。

だから妻も言うときました。

「うん、大丈夫!先生ならやれますからっ!」と。

「誰でも最初ってのはあるんですからっ!」と。

妻、かなり協力的な実験台ですよ。

「でも…顔だしなぁ…ふぅぅぅー」

妻の顔に針が刺されるまでにかなりの時間がかかりまして。その間聞こえてくるドクターのため息。思わず顔に掛かった布だか紙だかを摘み上げ、親指突き出して「大丈夫だから!レッツチャレンヂー!」とかわけ分からんこと言うとる酔っ払い。

手術が無事に終わって時計を見たら、午後10時近くになっとりました。

踏んだり蹴ったりだった日曜日。

いや、それにしても酒飲んで誰か他の人を傷つけたわけぢゃないからヨシとしますかね。

「酒を止めれってことなんぢゃないの?」

そう夫には言われましたが…。

来週の火曜日、近所の形成外科にて抜糸予定。

顔が変わっても「学習しない」とゆー中身は変わりません。

だから止めないもんねー。

7月21日

ケーブルテレビの人がやってきました。

我が家で使ってる奥行きガッツリあるブラウン管TVが、このままぢゃ見られなくなっちゃうから。

「見られなくなったら見られなくなったで、別にいーや」

なんて思ってたんですが、そのケーブルテレビの人が我が家のうんこTVでも地デヂが見られるようチューナーを無償で取り付けてあげマス!とゆーのです。

タダ、うれちぃ。来てきてーっ。工事、してしてーっ。

てなわけで、やってきた作業着姿の男性2名。

現在、鼻から下が破壊中の妻。

こんな顔をお見せするわけにはいくまいと、大きなマスクを装着して迎え入れました。

が。

暑い。暑すぎる。

口と鼻を覆うだけで、こんなにも汗が噴き出してくるなんて…。

でもって、上昇する体温。

マスク装着して5分後には、なんだか頭が朦朧としてきました。

「ええと、コンセントはどこですかね…」

あはぁ〜、どこだろー。

「あ、こっちですかね…いいですか?ソファーを動かしても」

えへぇ〜、ええですよ〜。どうぞどうぞ勝手に動かしてください〜。

「あのー、ちょっと立ってもらわないと…」

あらやだ、妻が座ってるこのソファーのことだったのね。あ、はいはい。

緩慢な動作で立ち上がり、少しは力になろうとソファーの反対側を持ち上げて移動した妻。

そして…

フンギャーッ!

ソファーの下からありえんモノが出てきちゃいました。

埃にまみれた…

カエルの死骸。

7月26日

先週の顔面着地事件で、鼻から口にかけてザックリ切って人生初の縫合体験をした妻ですが、その数日後に近所の病院行くまでの間、夫にこう言われていたのです。

「傷口を濡らさないようにしたほうがいいですよ」と。

その言葉を忠実に守って、顔を洗わずにいた妻。

病院の診察室に入り、担当の医者が開口一番に言った言葉は…

「あのねー、顔、洗っていいんだから…なにもそんな汚い顔して来なくても…」

汚い顔て。

妻、ショーック!

夫の言いつけを守ったがために、こんな辱めを受けるなんて。

ええ、縫合後も傷口からは血やら膿がドクドクと流れてて、そのままの状態で寝ちゃうもんだから絆創膏からはみ出た膿が耳の辺りまで流れ、膿跡がクッキリ。どんな寝方をしたのか自分でもよくわからんのですが、目と鼻の間の窪みまでにも膿跡。睫についたのは単なる目糞か、この膿が乾いたモノなのか…。そのどっちか分からんものが糊のように上瞼と下瞼をくっつけて、両目開くのも大儀したのよね。

とゆー、そんな顔で行ったわけですよ、病院に。

一応、道中はマスクしてたから医者以外の人に、この汚い(らしい)顔は見せてなかったハズなんですが。

「昔はね、傷口は乾燥させてなきゃ、なんて言われてたけどね、今は違うの。乾燥させると瘡蓋になって、傷跡が残っちゃうからね」

ほーへー。

「薬が固まって貼りついてるのも、ガシガシ洗って取っちゃっていいですから。ま、痛いとは思うけどね」

ぎゃー。

「で、ちゃんと消毒して薬また塗って、乾燥しないように絆創膏貼ってね…」

そんなわけで、M病院から戻ってからはちゃんと洗顔するようになりました。

でもね。

痛いのよ。

触るとジンジンすんのよ。

鼻と口の周りが。

いやマジで。

前回塗ったゲンタシン(塗り薬)を綺麗に取り除こうとするには、多分歯ブラシくらい硬いやつでゴシゴシやんないとダメっぽい。でも痛くてそんなことできない。

石鹸泡で優しく洗った後、消毒液ぶっかけてその上からまたゲンタシン塗ってるんですが。

同じ場所に何度も塗り薬を塗ってるため、その部分だけが物凄い厚化粧状態。

でもいいの。

とりあえず傷口以外は「綺麗」な顔になったから。

この場合の「綺麗」が辞書に載ってる綺麗の意味と違ってたとしても、いいのいいの。

明日、また病院へ行きます。

今度は「汚い顔」だなんていわせない。

でもね。

明日はこう言われちゃうかも。

「なにもそんな鼻くそまみれで来なくても…」ってー。

7月28日

オナラが出るときってのは、たいてい便秘でうんこが腹に詰まってるとき。

少なくとも、妻はそーです。

なのになのに…。

なしてでしょうね。

この2匹ときたら、うんこモリモリ出した後、に出すんですよ。

歩きながら。

犬の腹の構造はよく分からんもんです。

 

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