■ 9月の戯言 ■

 

9月1日

夫の弁当を作って、朝飯のおかづをテーブルに並べる妻。

お茶は、お湯をそそいで2、3分は待ったほうがカテキンやらアミノ酸やらが出てええのだヨ、とゆーようなコトを聞いたことがあったので(正確には湯の温度も大切らしーけど)、愚犬らの散歩から夫が戻ったところで、急須に湯をドボドボ。

2匹の足を拭いたり雑巾洗い終えてテーブルについた頃が、きっと一番美味しいお茶になってると思うから。

味噌汁の鍋に味噌を溶いて碗に盛ったら、お次はご飯茶碗に米をよそって夫の前へ。

「いただきまーす」

夫が食べ始めたら、急須から湯飲みにお茶を注いで持っていく。

これが大体平日の朝の流れなのです。

「あれ? 今日はなんだか茶の味がしないですね…」

茶葉を新しく変えたのよね。

ほら、葬式のお返しだかに貰ったやつ。

ウチも香典ケチったけど、敵も香典返しをかなりケチったってことなのかも…。

なんて思い笑って応える妻。

妻は普段、茶を飲みません。

コーヒーばっか。

なので、使用した茶葉は、夫が茶を飲む朝の1回限りでお役目終了。二煎目を飲むなんてことになったら、次の日になってしまうわけで。それだと茶葉が痛んでて、腹壊すかも、なんて思うわけで。

でも、すぐには洗わないのですよ。

もしかしたら、昼間妻が茶を飲みたくなることがあるかも…とゆー気持ちと、ズボラな性格で(汗。

結局、次の日の朝、「茶の準備を…」と急須の蓋を開けて「茶葉、捨ててなかったや」となるわけで。

「なんだか茶の味がしない」と言われた次の日の朝。

よし、ならば今日は昨日の倍の茶葉を投入してやろう!

そう思いながら急須を洗おうとして、蓋を開けてアングリ。

綺麗やがな。

空っぽですやん。

なしてー?

そういえば…。

昨日は急須を洗った後に茶葉を入れたっけ?

答えは、ノー。

そうです、昨日は茶葉を入れてなかったのです。

茶の味がしないのは当たり前。

白湯なのに、ご丁寧に3分待ってたなんて。

あぁぁぁー。

香典返しケチりやがって、なんて思ってごめんちゃい。

9月7日

海でチャップンコした際、防水バッグに入れてたハズなのに、携帯が使えなくなってしまいました。

電源押しても何の反応もありません。

裏側の蓋外してパックを取り出したりはめ込んだりしてみても、ウンともスンとも。

あわわ。

トイレに落としても死ななかった携帯なのに…ついにご臨終とは。

ゴットンゴットン。

お気に入りのショップ(おねーさんの感じがよかった)がいつのまにかなくなってしまって、しょうがなく行ったT町のショップ。ココで代替機として渡された携帯が、クソがつくほどのオンボロだったのでイラつく妻。

側面に埋め込まれてるアンテナ(みたいなやつ)が、傾けただけでプラーンプラーンてなるし。

傷だらけで光沢もあったもんぢゃないし。

持ってるだけで運気が下がりそうな、そんな感じ。

こんなの持ちたくねーっ。

でもまぁ、代替機だし。

我慢してやるか。

ゴットンゴットン。

分かる範囲だけでもデータを入れてみるか、なんて気にもなりません。そもそも、自分が気に入って選んだ機種でもないし、愛着なんてわくわけないのよね。

あぁ、アテクシの携帯…。

見積もりが出るのが1週間後。

ほんでもって、それから修理して…てことは2,3週間はこのオンボロ代替機と付き合わなきゃいけないってことになるのかしら。

ゴットンゴットン。

てことは、やっぱ何人かのデータは入れておかないと不便かもしれないなぁ。

そう思って代替機を取り出そうとポケットに手を突っ込んで気づきました。

昨日履いてたパンツに入れてたんだ、と。

ゴットンゴットン。

そして、そのパンツは…。

ゴットンゴットン。

何やら変な音を立てながら動いてる、洗濯機の中ぢゃんか!

ぎゃー!

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クソボロのくせに、弁償代金22,050円とられました。

呆然。

立ち直れそうにありません。

死にたい。

ホント、マジ死にたい。

そう思いながら、ぢっと手を見る。

ぎゃーっ!

生命線、短っ!

9月29日

「最近、また空き巣が増えたみたいよ。ウチの5軒先の家、アソコに入ったんだって。怖いね〜」

なんて話を聞いた翌日は、買い物に出かけるときの玄関の鍵チェックも3回。車の鍵を開け、乗り込む前に周りに不審な車両が停まってないかも、執拗に警戒しておりました。

どっちかとゆーと妻の方が不審者っぽい。

おし、大丈夫。

そして数分後。

スゥパの駐車場に到着して車を降りようとしたら…。

いきなり肩口の辺りを後ろから誰かに羽交い絞めにされました。

嘘っ!

バックミラーに視線をやっても、背もたれの向こうに上手く隠れているのか、相手の姿は見えません。

『殺される…の? 金が目的?』

財布は助手席のポーチの中。でも、財布の中には現金なんて殆ど入ってません。多分、千円札が2枚くらい。

『WAONには1万円くらいチャージしてあったっけ…いや、それで許してもらえるの? そういえば、以前命の値段とかいって週刊誌で特集してたっけ…身代金ナン億円か払ったけど殺された人とか、百円程度品物盗んで殺された人とか…ココでやられたら妻の命の値段は2千円とWAON1万円の合計1万2千円てことになるわけ? WAONは加算してもらえないのかな。もうちょっと銀行でおろしておくんだったよ…。そういえば普段週刊誌なんて読まないのに…あれ? どこで読んだんだっけ…銀行だったかな?』

時間にすれば僅か数秒のことだったと思うけれど、物凄い速さでこんなことを考えておりました。

逃れようと焦ってもがくほど、相手は力を入れて妻の首を絞めてきます。

『そうだ、きっと家の前から乗ってきたんだ、こいつ。身を潜めて機会を窺ってたんだ…くそう、負けるもんかっ』

意を決して相手の首根っこを捕まえようと、両手を振り上げた妻。

バシッ!

その腕に触れたものの正体が分かって、やっと気づきました。

犯人は外し忘れたシートベルトだったってことに。

周りに誰かがいたら…。

助ける云々より、このちょっとした寸劇を楽しんでいただけたか、と。

 

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