X アテネでの宣教
1. ギリシアの世界−アカイア州
ベレアからアテネに進むにつれまして、パウロはローマのマケドニア州からア カイア州に入ったことになります。エーゲ海の多くの隣りあわせ
にある島々と共に、アカイア はギリシアの世界の中心でした。その本土は、深く海で刻み込まれた海岸のある山岳地帯であ りまして、オリュ
ンポス山は二千九百十七メートルあり、パナッサス山は二千四百五十七メー トルあります。その伝説の島々は、どの島もすべて素晴らしい眺
めです。アカイアでの定住は 、新石器時代に始まり、紀元前三〇〇〇年頃から青銅時代になり、ミノア−ミケネ文明を迎えることになりまし
た。マケドニアの王、フィリッポス二世がその支配下にギリシアを置きまし た。その息子のアレキサンダー大王は、アジアの遠征という大事業
を成功させました。アレクサンドロス大王が亡くなった後は、いくつかの国々に分裂しましたが、ローマが支配しますまで は、ギリシアにより支
配され続けました。このようにして、マケドニアは紀元前一六八年にローマに統合され、紀元前一四八年にローマの属州になりました。アカイ
アは、やがて皇帝アウグストゥスの下にローマの州となり、皇帝クラディウスの下では、コリントに行政の府のある 元老院直属の州となりまし
た。このような状況が、四九年の終わりに、ベレアの兄弟たちがパ ウロを送り出し、アテネまで彼を案内したときのギリシアの状況でした。ア
テネは図12に示 されています。写真1は昔のアテネ、写真2、3は今のアテネです。写真4、5は広場で休憩したときのものです。