讃美歌2篇136(われきけりかなたには)

3. 弁明

 使徒言行録二十二章一節から二十一節にでておりますこの演説は、ルカがダマスコ途上でのパウロの回心につきまして述べました最初の

ものに続きます二番目の説明で す。パウロは自分の手紙の中でも、繰り返し、繰り返しそのことを述べています。彼がダマス コに近づきまし

たときに、突然、天からの光りが彼の周囲を照らしまして、それからどのよう になったかということにつきましてはすでに述べていますので、ここ

では触れません。使徒が 異邦人への宣教をするという神さまからの付託をどのようにして受けたかにつきまして、これ から後のもう一つのもの

を含めまして、それら三つの説明に差はほとんどございません。この ことを、パウロは彼を告発している人たちに理解させようとしました。けれ

ども、彼は演説が 終わりの方になるまで、異邦人のことは言わずに延ばしていました。と言いますのは、そのこ とが群衆の憤りを爆発させか

ねないということを知っていたからです。案の定、最後に異邦人 のことを言いましたときに、暴徒によります二回目の憤りの爆発が起こりまし

た。今度は明ら かに彼の死を求める厳しいものでした。リシアはアラム語を知りませんでしたので、この新し い爆発を理解することができませ

んでした。それで犯罪を自白するまで鞭を打つために、兵営 に引き立てて行くように命令しました。そこで、パウロは数年前にピリピで主張しま

したとき と同じように、ローマ市民としての自分の権利を主張したのです。その効果は、すぐに現れま した。百人隊長はそのことをリシアに報

告しました。彼はすぐに使徒の市民権を確認いたしま した。どうやって市民権を確認したのでしょうか。

4. 最高法院での取り調べ

 リシアは自分の与えられている権利からはずれたことをしたのではないかと恐 れました。しかし、騒動の本当の原因については無知であり

ましたので、大祭司とともに、議 会を召集しまして、使徒を喚問しました。大祭司アナニアは、その性格が怒りやすく、また横 柄であるというこ

とで有名でありまして、上流階級のサドカイ派に属していました。ところが 、彼はパウロが演説をしていたときに、近くの者にパウロの口を打つ

ように命じました。それ でパウロは怒りまして、彼の口を打つようなことを命ずるようなことをするとは、高い地位に ある大祭司がそんなことをす

るとは考えられないと申しました。たとえ大祭司であっても、同 胞として正しく振る舞うときにのみ尊敬を払うという戒めがありました。だから、

服装を見て 分からなかったと言ったのではなくて、その振る舞いを見て大祭司とはわからなかったと言っ ているのです。そして、高い地位にあ

る大祭司のアナニアに、あなたには神さまの罰がくだる と言ったのです。もしも、その預言があたったとしますならば、大祭司のアナニアは、数

年後 にユダヤ戦争で暗殺者のシリカによりまして殺されたのです。 

  また、パウロは最高法院の構成と機能とにつきましてよく知っていました。最高法院は サドカイ派とファリサイ派とによって構成されていまし

て、外から見ますと一致しているように 見えましたが、信仰の問題につきまして、深刻な分裂のあることも知っていました。したがっ て、使徒言

行録二十三章六節にあるように、最高法院で「わたしは生まれながらのファリサイ派です。死者が復活するという望みを抱いていることで、わ

たしは裁判にかけられているので す」と叫びましたとき、彼は議場が混乱することを予期していたのです。なぜなら、死者の復 活を派は認める

のに、サドカイ派は認めなかったからです。パウロが予期しました通 り混乱しました。クラウディウス・リシアは、使徒がローマの市民権を持っ

ていることを恐れ まして、二回目のパウロの救済のために兵を送りました。 それでは、ここででてくる最高法院は、どこにあったのでしょうか。

それは、嘆きの壁の北の神殿地域の西側にあったのであるといわれ、オスマン・トルコの時代に、裁判所になったところではないかとされてい

ます。写真1がそれです。それでは、エルサレムのユダヤ人地区について、紹介しましょう。写真2は、ヒゼキア王時代の城壁の跡です。神殿

の丘への入り口でした。写真3は、ユタ゜ヤ人地区の入り口であり、写真4、5は、カルドー通りです。そこにある昔のカルドー通りの遺跡が、

真6、7です。写真8は、キッパーをかぶって歩いているユダヤ人男性です。

1.最高法院跡

Meinardus,Otto F.A."St.Paul's Last Journey,"p.43より転載

2.城壁の跡

3.ユダヤ人地区への入り口

4.カルドー通り1

5.カルドー通り2

6.昔のカルドー通りの遺跡

7.紀元前700年の城壁

8.キッパーをかぶる男性