讃美歌79(ほめたたえよつくりぬしを)

3. レギオン停泊

 三日の後、船は美しいシラクサの港を出まして、北に向かって、メッシナ海峡 を渡りました。始めは、天候が思わしくなかったので、回り道を

しまして、レギオンで一日停 泊しました。言い伝えによりますと、この一日の滞在の間に、パウロは海岸で教えを説いたと いうことです。夜遅く

なりまして、使徒とその話を聞いていた人たちを明るくしていたオイル ・ランプが切れてしまいました。すると、パウロは不思議なことに柱を明る

くしまして、その 説教が妨げられずにすんだということです。この奇跡を起こしました柱が、いまなおレギオ・ ディ・カラブリアの大聖堂の中に展

示されてあります。写真1、2は、その大聖堂と内部です。写真3は、その柱です。また、 写真4は、その柱の傍らで説教しているパウロです。

わたしたちは、これを確かめる ためレギオンに来ました。

1.レギオ・ディ・カラブリア大聖堂

2.内部

3 .パウロの柱

4. パウロの像

5. メッシナ海峡

6.メッシナ海峡を渡る

7.メッシナ海峡から

8.船上にて

9.スキュラ

 このレギオンの北には、有名なスキラの岩があります。ギリシア神話によりま すと、そこには半分人間である女性が住んでいました。また、

メッシナの北には、女性の怪物 として擬人化されたこれもまた有名なカリブディスの渦巻きが見られます。ギリシア神話では 、オデッセイとヤ

ソンが、これらの二つの危険をやっと通り過ぎたということです。パウロを 乗せた船は、恩寵の御手に守られて無事通過しました。しばらく経ち

まして、海峡を通過するのに、好都合な南風が吹いてきました。メッシナ海峡は、潮の流れが速く、危険でありました 。けれども、その風のた

めに、二日間で約百三十キロを航行しまして、ナポリ湾のローマの港 であるポテオリに着きました。わたしたちは、第一回目のときには、カタ

ーニヤから、女性の怪物の難を避けまして、眼下にメッシナ海峡を見下ろしながら、空路ナポ リに着きました。 写真5 は、そのメッシナ海峡で

す。第二回目のときには、船で、メッシナ海峡を渡りました。そのとき撮ったのが、写真6、7、8です。

 ところで、ここにでてくるギリシア神話について、紹介しておきましょう。グ ラウコスという漁師がいました。薬草を食べたために、人間の姿が

すっかり変わり、海の神さ まになりました。神さまになったグラウコスは、美しい乙女のスキュラを見て、一目惚れした のです。しかし、スキュ

ラは相手にしてくれません。思いあまったグラウコスは、女魔法づか いのキルケに相談するのです。グラウコスには、スキュラしかありません。

ところが、このキ ルケは、グラウコスが好きだったのです。それで、その嫉妬の矛先が、スキュラに向けられる ことになりました。スキュラは、

入り江にやってきて水浴をすることを知っていたキルケは、 毒をそこにほうり込みました。すると、彼女の脇腹からは犬が飛び出し、それは六つ

の頭と十 二の足とがあり、腰から下は魚のような姿になったのです。スキュラの気質は、その姿のよう に醜くなり、船乗りを捕らえて食べまし

た。彼女は、とうとう岩になりまして、今も船乗りに 怖れられているのです。もう一つは、女性の怪物カリブディスです。この怪物は、海の水を一

日に三回のみほし、それを吐き出します。そのために、渦巻きができます。 これら二つの怪物が、メッシナ海峡のシシリーとイタリヤの両側に

おり、その 海峡は、矢のとどくほどの狭いところでした。したがって、カリブディスの難をさけようとす れば、スキュラにやられ、スキュラから逃れ

ようとすると、カリブディスの渦巻きにより遭難 するといわれました。前門の虎、後門の狼いう諺の例としてあげられるものです。写真9は、その

スキュラです。

10. ヴェスビオ火山

11. ナポリ

12 .商店街

 写真10 は、ナポリです。遥かにみえるのは、ヴェスビオ火山です。 写真11 はナポリの街、 写真12はその商店街です。