芦谷山 1999年9月12日
芦谷山の山頂は何の変哲もなく、まるで展望もきかないが、山頂の東にある「引き割り大岩」からの眺望はみごとで、その眺めは言葉を失うくらいである。
この山へは大豊町角茂谷の芦谷地区を経由して3時間ほど登るルートが一般的なようだが、ここでは茂ノ森からの縦走を試みた。しかし、縦走路は道も無く、這って進まなければならないようなもの凄いスズタケのヤブコギを強いられ、うかつに踏み込むと後戻りも出来なくなるうえにエスケープルートも無い。
従って、山馴れた人以外は決してここで紹介するコースを辿らないでください!
2時間かけて茂ノ森に登った後(詳しくは茂ノ森のページをご覧ください)、私と同行の友人浜田さんとは茂ノ森の北にある見晴らしの良い岩場で展望を楽しんだのち、岩場から町境の尾根をめざした。岩場の上方にあるかすかな踏み跡を頼りに3分ほども駆け上がれば小さなピークの町界尾根に出る。尾根から東(右)に行けば高ノ森へ、西(左)に行けば目的の芦谷山だが、共にわずかな踏み跡がある程度である。
西へと、鬱蒼としたヤブをかき分けかすかな道を頼りに下り、まずは1135mのピークを目指す。
尾根を行く。正面は1135mのピーク。写真左隅の三角形が目指す芦谷山。
かろうじて辿っていた踏み跡も最初のピークを越した辺りから次第に定かではなくなり、ここからはただただ尾根を忠実に辿るしかなくなる。尾根に出てから20分、枝振りの良い笠松に出会う。更に5分ほど行くと一瞬ヤブが途切れ北の展望が開ける。ここからは杖立山が見える。
最初の頃のスズタケのヤブ。やがてこんな踏み跡もなくなる。
進むにつれスズタケのヤブは深くなり、ただもうやみくもに進むしかなくなる。延々続くヤブでは縦横に交差するササが歩行を困難にし、随所で這うようにしながら進むことになる。目につく獣道(けものみち)は無視してひたすら尾根を辿る。
スズタケのヤブの中、湿った地面の上にはカレエダタケがはえていた。
いつもそうだが、ヤブコギでは展望がきかないので自分の位置も確認できない上に思った以上に距離が稼げない。苦労して進みヤブの切れた植林に出ると心の底からほっとする。普段なら植林にウンザリするところだが、ここでは人工林に和むから、余程縦走路のブッシュの激しさを理解いただけることだろう。
しかし植林を抜けるとすぐに再びスズタケのヤブが待っている。
町境の尾根に出てからすさまじいスズタケのブッシュを漕いで1時間、ようやくヤブが途切れると大きな岩場に辿り着いた。