さて、朽木峠からは尾根を左に植林の中を南へと向かう。
道はすぐに尾根を離れて左手山腹に向かうが尾根を忠実に辿り、峠から5分ほどで道なりに右手へと山腹をトラバースして、更に5分ほどで出会う分岐は折り返すように左へと登れば再び尾根の延長線上に出る。
朽木峠から尾根を南に辿る。
尾根に出てからは忠実に葉山村と佐川町の境界を辿り、すぐになだらかな一角で右手に大きな岩と出会う。
この大岩も祭場であり、岩陰には石で囲まれた祠が奉られている。
祠からは、尾根道は方向を転じて南東に向かい、ずっと杉の植林が続く。尾根にはマツの倒木が多く少々歩きづらい。
次第に道は判然としなくなり、炭窯跡を過ぎてコルにさしかかる辺りからは地図を取り出しては方向を確認する。
この辺りは特に朽木峠までの立派な道とのギャップが大きく、初心者の方は少々戸惑うかもしれない。当然の事ながら2万5千分の一の地図とコンパスは必需品である。
大岩の祠から10分あまり尾根を辿ってきて足元に「白石」と集落名の刻まれた標石を見る辺りから再び道はしっかりとした踏み跡になるが、この道は葉山村と佐川町を結ぶ生活道の名残で、ここから蟠蛇森へは南方向へと植林の中を直登する踏み跡を辿ることになる。
植林の中の踏み跡はところどころ判然としないが、とにかく前方の高い所をめざして登って行く。
あちらこちらにイノシシの掘り返した痕跡を認めながら、白石の標石から約10分あまりでピークに出る。
白石の標石から前方のピークに向かい植林の中をよじ登る。
ピークからは赤いテープが見える南東方向へと尾根を辿るがここからはブッシュになるので、尾根を忠実に行くよりは尾根の左手の植林の中を行く方が随分楽である。
ところで、これまでの写真を見てすでにお気づきの方もおられることだろう。
そう、メンバーの一人は今回夏らしく麦わら帽子なのである。
出発時、ちょっと考えてから麦わら帽子を選んだのだが、よりによってブッシュの中で麦わら帽子とは思いも寄らなかったことである。
もちろん麦わら帽子といえどもバカには出来ない。森林限界を超えたり遮るものの無い草原など、日傘同様に首筋などを灼かないためにも夏の必需品なのである。が、しかし、朽木峠からの尾根伝いがこうも荒れているとは想像違反だった。
とにかくこの山を舐めてかかっていたのは事実で、非を問われるなら麦わら帽子を持って来た本人以上に、彼に麦わらを勧めた張本人である私の方かもしれない。
こうしてみるとまるでジャングルのような照葉樹林帯だがヤブこぎはさほどでもない。
しばらく植林帯を進むとブッシュは薄くなるので再び尾根に取り付く。左手に植林、右手に広葉樹林の境を登って行く。
やがてコブを過ぎて少し下るとまたもや踏み跡は不明瞭になるがブッシュの中に踏み込めば尾根に沿って踏み跡は見つかる。
後はヤブを漕ぎながら踏み跡を辿り、山頂の手前で須崎市と葉山村との境に沿って下る道をやり過ごすと、ほどなく蟠蛇森1等三角点のある広場に出る。
なだらかに尾根を進む。この岩場を越えれば山頂は間もなく。後方には鳥形山などが見えている。