車道終点の登山道から歩いて、休憩を除き、約60分あまりで五在所神社に到着した。
五在所神社の社が見えてきた、3番目の鳥居をくぐれば社であり、その裏手が山頂である。
大正8年3月の銘がある手水鉢、明治13年9月と彫られた狛犬がある。
その傍には「解願」として奉献された天狗?や役小角?らしき石像もある。ただ、猿田毘古神(さるだびこがみ=猿田彦命<さるたひこのみこと>)がモデルともいわれる天狗はともかく、役小角(えんのおづぬ=役行者<一般にえんのぎょうじゃと呼ぶ>)は仏教者なので、私の見立ては間違っているかも知れない。ただ、共に山岳信仰の対象としては、修験道の祖である役小角、山伏の魂が化身したされる天狗ともに、不釣り合いだとは思わないのだが。
いずれにしても、願いが成就し、願を解くために奉献されたことは羨ましい限りである。
私などはよく山の祠で手を合わせるに、願いはほとんど叶ったことはなく、どうやら、まだまだ修行が足りないようである‥‥。
それはさておき、社の縁側には登山者(参拝記念)用の記帳録がある。
この山を愛する人たちが様々な思いで訪れた記帳には、幾つか子供たちの記述もあり、学校登山の山として愛されているのかも知れない。
五在所神社の社。石段の上に狛犬が出迎えてくれる。
ところで、神社の左脇には小さな祠があり、傍らに「眺望所この裏→」の指標がある。矢印通りに踏み跡をたどると、神社からすぐで眺望所である。
ホウノキやアセビの生える一角が、実は、五在所山の山頂で、山名板も建てられている。ここより眺めることの出来る展望の一部は、鳥瞰図として丁寧に案内もされている。
まったく、ここからの眺めは素晴らしい。山頂の北斜面が切り立っているせいで、北方面にほぼ180度開けたパノラマは、次々と著名な山を指呼することが出来る。三角点は無い山だが、この展望は1等に値する。
山頂北面には素晴らしい景色が広がる。山頂への到達感を忘れてその景色に見入る。
ここからは、左手に陣ケ森、手前奥に戸中山、その向こうの稲叢山、更にその奥に平家平や冠山、それを西へと辿れば、笹ケ峰(あいにく雲の中)、寒風山、伊予富士や西黒森、瓶ケ森も見える。
特に筒上山、手箱山は特徴的で美しい。
残念ながら石鎚山は雲に隠れていたが、本来ならば筒上山のすぐそばに眺めることが出来たはずである。
左奥のなだらかな尾根が筒上山と手箱山、そこを右へと、瓶ケ森、西黒森山、伊予富士などの名峰が連なる。
「ございしょやま」と発音する山が、高知県香北町にもある。
そちらは「御在所」と書くのだが、その山も山頂に社があり、剣山系の好展望地である。
対してこちらの五在所山は石鎚山系の好展望所として好対照である。
かすんでわかり辛いが、右奥に戸中山、稲叢山、平家平へと山並みが折り重なる。