広場から鳥居を抜け、石段を登るとすぐに両側で狛犬が迎えてくれる。
右手は「谷相」、左手は「中村」と、奉献した集落名が刻まれており、文久2年の文字も認められる。
山頂にある韮生山祇神社(にろうやまずみじんしゃ)まで、よく手入れされた参道を登ってゆくのだが、思ったより急な石段や坂道が続くので焦らないで一歩一歩確かめながら歩を進める。


急な参道の石段を登って行く。


参道の両側にはスギの巨木が並木のように立ち並び、厳かな雰囲気がある。特にその枝振りが素晴らしい。
この杉の巨木は樹齢300年といわれ、ブナ、モミ、アセビなどの巨木とともに、ここを訪れる人々をずっと見守り続けている。

広場から10分ほどで石段が終わると、少しの間はなだらかに進む。
木の精霊に守られて更に5分ほど行くと再び石段が現れ、「夫婦松」にたどり着く。
手前の松が夫で、奥の枝振りの良い方が奥さんだろうか、、、


登山道で出会う夫婦松。その名の通り2本の松が寄り添うように立っている。

夫婦松を過ぎると石段が切れて、祠を巻いて、しばらく緩やかに登ってゆくと最後の水場に着く。
広場からは20分、登山口からは1時間あまりである。


大岩の湧き水が最後の水場。

しかし、楽しみにしてきた大岩の奥に湧き出る清水は、この日は残念ながら涸れていた。
なお、岩の奥の湧き口には石仏が祀られており、付近には木のベンチもある。よく見ると林の奥には人工の石積みも見られる。これは炭焼き窯の跡だろうか。

さて、幸運にもここで水が補給できたなら、ここから左手へと石段をほんの少しで展望の良い休憩所があるので、そこで一服するとよいでしょう。
そこからは左手眼下に香北町、正面眼下には土佐山田町が、そして南国市や高知市街などが遠望できる。
浦戸湾に架かる橋も肉眼ではっきりと見え、南には太平洋の水平線がかすみながら空へと溶け込んでいる。
空に漂う雲はもうすっかり夏の雲である。
「大荒の滝世話人会」が作ってくれた木のベンチに座り、ゆっくりと展望を楽しむ。
ここからは、この山のクライマックスである急な石段が続くので、素晴らしい展望で充分に気力と体力を充電しておきたい。


登山道で唯一の好展望地。右手前は高場山の尾根。

展望を楽しみ、休憩所を出発すると、ここから山頂までは約25分ほど、しかし急な最後の登りでもある。
7月25日(旧暦6月15日)の祭事を前に、よく手入れされた石段を登る。脇には「尻見坂」の看板がある。
その名の通りに急な石段で、親切にロープも垂らされている。一段一段が確実に高度を稼いでゆく。


尻見坂の急な石段。

尻見坂を約5分で一気に登ると祠があり、そこから約2分で文久3年と記された狛犬に迎えられる。
そのすぐ上にも祠がり、祠を右にまいて進む。