平家平 1995年7月16日

四国三郎吉野川には巨大な早明浦ダムがあり、雨の少ない香川県などに貴重な水を供給している。その早明浦ダム湖の左岸を蛇行して走るのが県道17号線(本川大杉線)である。
不入山のページでも登場した3人組は早朝にダムの堰堤脇を通り、東からこの県道に乗り入れた。
土佐郡大川村に入ってしばらく走ると「平家平・三ツ森山」の大きな看板に出会う。看板通りに山道を進みあめご釣りで有名な小麦畝谷を渡って小北川地区から林道を辛抱強く進めば送電鉄塔下の「上の登山口」に着く。
登山口は林道脇で駐車スペースは狭く、林道山手側に登山道の道標がある。

登山道から平家平を見る
 送電鉄塔沿いの登山道から目的の平家平を見上げる。左上すみに送電線が確認できるだろうか?

登山道は高圧送電線に添うように主稜線を目指して延びており、前半は退屈な植林の歩きである。
それだけに送電鉄塔の1スパンが想像以上に長く感じられるが、登山道からちらほら見える平家平の稜線を励みに、途中水場で喉を潤し、しばらく行くと道は急な登りにさしかかる。
巨大な送電鉄塔を間近にしたあたりからの最後の送電線1スパン分の登りは、目も眩むようなZの急登で、足元の可憐な野の花や舞い寄る蝶に和む余裕など微塵もなくなる。
林を抜け笹の中の急登にあえぐ私達に夏の容赦ない太陽が降り注ぐ。
汗びっしょりで息も絶え絶えにようやく主稜線に辿り着いた。

稜線の分岐
 ようやく稜線に出た。高圧送電鉄塔がすぐ右手にある。左奥の山並みは銅山山系。

主稜線上の鉄塔脇でひと休み。
道はここで東に行けば三ツ森山、西に行けば別子山村中七番への別れを過ぎて目的の平家平山頂へと続いているが、行程はまだようやく半分程度なので先を焦らずに一旦荷を降ろすことにした。
汗を拭いながら南を見下ろすと長い送電線の向こうに登山口のあたりが見える。
一方、北に目を転じると銅山山系の山々が間近に指呼できる。見下ろせば吉野川の支流のひとつ銅山川の上流に別子ダムがあり、物寂しい別子山村の集落が点在している。
一息の風を入れた後、縦走路を平家平に向かった。

主稜線を行く
 尾根歩きは気持ちが良い。春や秋にはきっと素晴らしい彩りだろう。