不入山  1995年6月17日

この山のご案内については、私のお友達の文章を使用させていただきます
なお、文章中に不備があった場合でも文責はページ管理者である私にあります


*この文章はアマチュア無線クラブ「あめごAMC」の会報に使用したものです
従って無線用語がかなり出てきます
*文中に熊の話題が有りますが、当時「不入山」一帯ではいくつかの熊の目撃報告が相次ぎました(なお、実際に熊が生息しているかどうかは不明です)

「JH5ZAW 対 不入山の熊」

 6月某日、命知らずの3人衆(NGL+EMS+EAC)は、不入山の花見ならぬ熊見に出かけた。
それぞれ、熊寄せのエサ(実のところはお弁当)、鉄パイプ(本当はアルミ製スッタクブーム)、電撃高周波発生装置(ここだけの話リグとバッテリー)を手に手に携えた万全の装備である。

林道入り口
 林道入り口で記念写真。右からJF5NGL・JG5EAC・JE5EMS。

 1.まじめに山の紹介  不入山(“いらずやま”と読む)は標高1336mで比較的登山者の少ない静かな山である。藩政時代から、お留め山として守られ、その分自然が豊かで近年、四万十源流の名前でアピールしているが、商業採算ベースに乗らないようだ。登山口は、東津野村船戸から森林センター(そばに、室町時代の五山文学の双璧と呼ばれたらしい高僧義堂、絶海の銅像がある)を横目に見ながら、船戸林道を車で登るとそう遠くはない。ただし、ここから約1時間は作業林道を歩かないと真の登山口には着けない(ゲートがあり施錠されている)。さらに1時間の直登プラス尾根歩きで頂上に着く。

枯れ谷沿いの直登
 最初の分岐を左手にとり、谷沿いの急登をひたすら黙々と登る

2.山行き奮戦記  3人とも装備は万全なのだが、登山口でひともんちゃく。と言うのもバッテリーを8時間用にするか、軽量コンパクトな4時間にするか迷った挙げ句に、山頂での猛パイルとEスポ大オープンを夢見ておもたーい大容量タイプに決定。“これが後でバカをみることに……”。さすが山の空気はおいしい。意気揚々と林道で足慣らしをして、直登道へ突入。谷筋の道は、ゴロゴロの石道で浮き石も多く歩きづらい。しかし、まさに深山幽谷の名にふさわしく、倒木や岩肌は緑色に苔むしている。体力、気力、知力と三拍子そろって落ち目のため、数回の小休止を繰り返しやっと尾根筋へ出ると、木々の合間に商業資本に食いつぶされた鳥形山が壮大な姿をあらわし、疲れも吹き飛ぶ思い。
ここからは、ゆるやかな尾根道で腐葉土のじゅうたんの上を歩き、また、ちょっとした岩場や、断崖絶壁ありで変化に富み退屈することはない。普段は花の名前にも気を止めないのだが、あちこちに小さい緑色(紅色にそまったものもある)のつりがね様の花が咲いている。花には職業柄一目置かれるNGL曰く、単刀直入に「ツリガネソウ」と命名してしまった。ふたりして納得していると、間もなく木の幹に名札があり「べにどうだんつつじ(つりがねつつじ)」と書いてある。当たらずとも遠からずでさすがだが、ラン科の栽培種にはめっぽう強いが野生種その他には少しだけ弱いのかもしれない。ちなみにこの花は数年に一度の一斉開花で、これ程みごとな年はめったに無いとのこと、品行方正な三人へのいいプレゼントとなったのは間違いない。

つりがねつつじ
 ドウダンツツジのトンネルを行く