カガマシ山  1999年6月5日

高知新聞社選定の四国百山であるカガマシ山へのルート上には、愛媛県屈指のシャクナゲの群生が見られ、この山を目指すなら、やはりシャクナゲの花時をお奨めしたい。しかしそれ以外の時期でも静かな山歩きが楽しめる。

お馴染みの友人、浜田さんと大豊町で待ち合わせ、都合でカップ麺しか持って来なかったという彼のために、平日なら早朝6時から開店している川添商店(大豊ショッピングプラザ横)でおむすびを仕入れて登山口に向かった。ちなみに、この時おむすびを買っておいたことが、のちのちの彼をおおいに救うことになる。(その理由は橡尾山の紹介文にて明らかになる予定)
県道5号線(川之江大豊線)を立川川に添って北上、笹ヶ峰隧道を越えて愛媛県に入ると間もなく登山口に到着する。登山口の近くには2ヶ所ほど路肩の広い場所があり、乗用車4〜5台分の駐車スペースがある。
この日は少し長い山歩きになるので、最初はゆっくりと、登山口から第一歩を踏み出した。

登山口
 県道脇の登山口。「橡尾山(とちおやま)、ブナ原生林」の看板がある。登山口の標高は約780m

比較的明るい植林地帯を20分足らず歩くと最初の分岐に出会う。標高は930m。
ここを左にとり、スズタケの中を抜けブナの林の急坂を直登すれば橡尾峠(とちおとうげ)に向かうが、シャクナゲの群落を経て目指すカガマシ山に向かうには、分岐を右手に取り新宮村(しんぐうむら)が整備した遊歩道を行くことになる。
なお、分岐のほんの少し上の左手にはちょっとした展望所があるが、さほど見晴らしはよくない。

分岐から右に道はずっと水平道になり、やや暗い植林の中を10分ほど行くと小さな流れを横切るが、更に5分あまり歩くと、自然林が多くなり爽やかな渓谷美に囲まれた谷川に出会う。ここが最後の水場である。ここまで登山口から35分程度。
間もなくすると登山道は登りになるのでここで充分に喉を潤し、水筒をたっぷりにして休憩をとっておくとよいだろう。

水平道から登りへと登山道が変わる手前から目に見えてシャクナゲの木が多くなる。頭上で咲遅れたシャクナゲの花がちらほらと心を和ませてくれる。
最後の水場から15分ほどで、下の登山口からの道と合流し、シャクナゲの坂道が左手にあらわれる。
やや折り返し気味に登り始めるとあちこちにシャクナゲの木がある。
この辺りの花はほとんど終わっていたが、標高を稼ぐにつれ咲遅れたシャクナゲの花が目を楽しませてくれはじめた。

満開のシャクナゲ
 花時には登山道の脇で満開のシャクナゲに出会える。

標高1000mを越える辺りには満開のシャクナゲが待っていた。やや振り返ると真っ赤な蕾とピンクの花びら越しに三ツ足山(1105m)の頂が見える。
登山道は少しきつい登りなのだが所々でシャクナゲの花が慰めてくれるので坂道も全く苦にならない。
それにしてもここのシャクナゲの群生はもう10日ほど前の花時にはきっと壮観だったに違いない。
ほとんどの木に花の咲いた後があり、登山道にはシャクナゲの花びらの絨毯が広がっていた。

花びらの絨毯
 登山道を覆うシャクナゲの花びらの絨毯へは、踏み込むのをためらう。