第2展望所でたっぷり休憩した後は再びザックを背負い山頂に向かう。
広い畑の向こうにこんもりと送電鉄塔の立つ辺りが山頂で、真っ直ぐになだらかな道を辿る。
やがて畑の切れ目で加茂様からの道(伊野小学校の裏からの道)と合流し、「第2展望所」への指標から正面の山頂に向け緩やかに登って行く。


第2展望所を後に、植え付けを待つ広い畑のそばを通り加茂山山頂へ向かう。画面奥に見える送電鉄塔付近が加茂山山頂。

加茂山の登山道にはミニお四国らしき地蔵がところどころにあって、山頂手前の林の中にも分岐があったりもするが、登る方を辿れば山頂は間もなくである。
エノキのそばに送電鉄塔43番と44番への指標を見ると、2分ほどで43番の送電鉄塔が正面に見えてきて、左手の広場には展望台が現れる。
鉄塔の手前を左に折れて展望台のそばまで行き、ザックを下ろしてベンチに腰をかける。
「加茂山第1展望公園(ふれあい広場)」と書かれた案内板や「加茂山展望公園開設記念」のプレート、「記念植樹」の看板などが賑やかだが、中でも展望公園開設などに尽力された永田さん他2名の方のことが記されたプレートは感謝の気持ちいっぱいで拝見させていただいた。


加茂山山頂が見えてきた。広場には展望台が建っている。

加茂山山頂はなだらかな広場で空も広くそよぐ風も心地よい。
ひと息ついてから、真新しい展望台のらせん階段をわくわくしながら駆け上がると、第2展望所で眺めた景色に更に高度感の加わった展望が飛び込んでくる。ここからももちろん仁淀川の眺めは素晴らしい。
その昔「仁淀川(によどがわ)」はその水で神に捧げる酒「=神酒(「みき」あるいは「みわ」という)」を造ったことから「神河(みわがわ)」あるいは「三輪川」ともいわれた。三輪は神の意で、有名な大和の三輪山から大神神社を迎えた椙本神社
(*)は、この加茂山の麓にある。他に加茂神社や神母神社などこの山にある斎場は加茂山が三輪山の如く神体山であった証かも知れない。
(*)椙本神社(=杉本神社)は俗称「伊野の大黒様」と呼ばれ商売繁盛の神として有名である。ここには1263年製作の国の重要文化財「八角形漆塗神輿(はっかくがたうるしぬりみこし)」がある。

ところで加茂山の三角点は、展望台後方(北)の植樹の中を抜けて踏み跡をほんの少しの所にある。
しかし、三角点の標石のまわりは草木におおわれて展望は皆無である。


中央に加茂山4等三角点の標石が見える。

山頂広場の南端には、西の椙本神社や谷地区に通ずる道が下りているが、私たちは元来た道を引き返し、ダイオウマツに向かった。

山頂から畑まで往路を一気に引き返し、ここからは左手に下って行くと山頂から8分ほどで道の左側に鉄棒広場が見えてくる。
このすぐ先を右折すると永田さんの作業小屋があり、その正面にダイオウマツは立っている。

ダイオウマツは北アメリカ東南部原産のマツ科植物で、ダイオウショウ(大王松)と呼ばれる。その細長い葉は世界のマツの中で最も長いといわれる。


ダイオウマツ。髭のような松葉が枝垂れた雰囲気を出している。

さて、ダイオウマツの立つ場所からは道なりに下って行くと、ほどなく往路で「第2展望所」に向かって逸れた分岐へと出る。
後はのんびりと往路で見過ごした草花や景色を楽しみながらゆっくり歩いても、第2展望所への分岐から15分もあれば登山口に辿り着く。


登山道の脇に植えられているオオデマリ。個人的にはコデマリの方が好きだがどちらも白い花が美しい。

ところで、ここに紹介した登山道では中腹の農耕地(畑)付近でたくさんの猫たちと出会った。
山で出会うといえばシカやリス、タヌキなどが定番だが、可愛い猫たちと出会える、こんなところもいかにも里山らしいといえるだろう。

最後に余談だが、この山は私たち二人で登った最初の山だった。もちろんそれだけで記念すべき山なのだが、それが2日後に私たちの見たままの景色で高知新聞に紹介されたことも、私たちにとっては忘れ得ない想い出のひとつである。

*全行程の私たちの所要時間(コースタイム)は以下の通り。
【往路】
槇橋登山口<25分>第2展望所への分岐<10分>第2展望所<15分>山頂

【復路】
山頂<10分>ダイオウマツ<5分>第2展望所への分岐<16分>槇橋登山口


備考

登山道に水場はありません。
トイレは鉄棒広場に整備されています。

加茂山のハイキングコースは主に3ルートですが、登山口は5ケ所ほどあり、どの登山口からも山頂までの到達時間はほとんど同じようです(ルート案内図の案内板をご覧ください)。


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