きびす山 1999年5月5日
きびす山は、本山町帰全山公園から挑む白髪山登山の前衛として、本山や土佐町の街並みの好展望地として、最近では嶺北ネイチャーハントの山として有名になったが、白髪山登山の表玄関だったきびす山トラバースのコースも、冬の瀬や行川林道からの白髪山登山が主流になった昨今、かつてのような賑やかさは取り戻すべくもない。
大元神社の上方にある登山口までは、本山中学校脇から車で25分ほどである。
地道の林道脇には、自家用車3台分ほどの駐車スペースがある。
大元神社からの林道はまだ延びているが、マイカーはUターンさせて駐車させよう。
登山道からほぼ水平にトラバースして10分ほどで水場の谷を横切る。辺りは植林で薄暗いが、ユキモチソウ(雪餅草)の花がところどころに可憐に咲いている。
登山道で狸に出会った。夜行性だけに日中出会うのは珍しい。
ユキモチソウ(この奇草を入手して歓喜した人があったため、別名「カンキソウ(歓喜草)」ともいう)。四国以西、近畿、伊豆に分布する。包の中の白い部分(肉穂花序の付属物)が、球形で白く、多少柔らかいので餅にたとえてユキモチソウという。
登山道から15分ほどで本山町日浦からあがってきた林道と出会う。
脇には白髪山登山の道標があり、ここから白髪山までは5.6kの道のりである。白髪山へは林道を少し歩くことになるが、きびす山への登山道は道標のすぐ脇にある。この林道は吉野川の支流「栗ノ木川」の枝沢沿いに延びてきた林道で、道馴れた人ならこちらからアプローチしても良いが、林道は狭く急だし駐車スペースの確保にも苦労するだろう。
日浦からの林道に出会うとすぐ登山道の木標がある。
ここから登山道は日浦からの林道をたびたび横切ることになる。
山歩きの途上で予期せず車道に出会うと少なからず唖然とするものだが、あらかじめ林道の有ることがわかっていればそれほど気になるものでもない。
それに車道では出会えないものに遭遇する機会も多い。この日は山道で鹿の親子連れに出会った。だが、カメラを構えるよりいち早く、2頭は白いお尻を見せながら風上の林に飛び込んでしまった。
さて、最前の道標から10分足らずで植林が開け、左手に立ち枯れた松の木が見えてくる。
ここは最初の展望所で、西は三辻山から東は梶ヶ森まで一望である。眼下には本山町の街並みがきらきらと輝いて見える。ここから登山道は急登になるので、展望を楽しみながら少し息を整えておくと良いだろう。
立ち枯れた1本の松と、本山町の街並みが好対照。中央奥は国見山。