熊王山  2001年4月14日

山歩きに、付録やおまけという表現は(山に)怒られるかも知れないが、この熊王山は、実は某山を登山した後の帰り道、ちょっと寄り道した「おまけ」だった。しかし、久しぶりの低山歩きは、あの懐かしいグリコのおまけのように、結構楽しいものだった。

早朝から物部村を歩いた私たち4人(杉村さん、浜田さん、伊藤君、私)は、物部村大栃橋のたもとで買った名物「イモ天」を頬張りながら次の目的地この熊王山を目指し、物部村高尾から県道29号線(安芸物部線)に乗り入れ香我美町舞川(まいかわ)へと向かった。
物部川の支流舞川に沿った狭い道を進むと、これがあの田園地帯香我美町の一部かと驚いてしまう。
香美郡在住の杉村さんが語る舞川周辺の「今昔物語」を聞きながら車を走らせると、しばらくして舞川キャンプ場(舞川小学校跡)の四差路に出た。ここは東に右折し、林道畑山奥西川線に乗り入れるのだが、この四差路には有名な「大蛇藤(だいじゃふじ)」があるので、折角だからと見物することにした。しかし残念ながら藤の花の見頃にはまだひと月も早く、その華々しい姿を見ることはできなかったが、それでも、大蛇のように曲がりくねった蔓の大きさには驚かされる。


矢印が大蛇藤のツル、左のスギの木のてっぺんまで延びている。

大蛇藤は推定樹齢200〜300年といわれ、幹まわり(外周)は1m以上もある。
大蛇藤の元には小川があり、そこには「うなぎ淵」という淵がある。その昔、このうなぎ淵には大蛇が住むという穴があり、その穴は100m上流の民家の下まで続いており、大蛇が動くたびに民家の囲炉裏の灰が増えたり減ったりしたといわれる。
なお、大蛇藤の傍のお洒落な喫茶店でお聞きすると、藤の花の見頃は5月上旬頃とのことだった。

さて、前置きが長くなったが、熊王山への登山口は林道畑山奥西川線の最高点よりやや南にあり、林道の西側山手にある鳥居が目印になっている。


林道の西側に立つ鳥居が熊王山への登山口。

早速、林道の路肩に駐車し、カメラや飲み物だけを持って山歩きを開始する。
林道脇の階段を駆け上がり、注連縄の張られた鳥居を抜けると、山肌の植林を緩やかにトラバースしてはっきりとした道が延びている。


植林を抜けると新緑の雑木林が美しい。

鳥居から約5分でヒノキの植林を抜け、ヤブツバキやアセビなどの急坂になると、鳥居から10分ほどの所要時間で尾根に出る。


尾根の三叉路にて。杉村さんのうんちくに耳を傾ける伊藤君(右)。帰途に撮影。

尾根に出てから左へと登山道を辿ると、すぐに右手へ下る道と出会うがここは真っ直ぐに尾根を行く。
尾根の三叉路からほんの2分後、右手(東方面)の展望が開ける。そこには植林に埋め尽くされた緑色の山々が折り重なり、遠くには五位ケ森も見えている。これがこの山での唯一の展望である。


登山道で唯一の展望。尾根から東方面に五位ケ森(中央奥)などの眺望。

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