黒滝山  1999年10月24日

黒滝山はシャクナゲで有名な野鹿池山から東方に4キロほどに位置する。
登山道はしっかりしているが、ルート上にこれといった見どころはなく、
縦走路も灌木に遮られ見晴らしは良くないが、黒滝山山頂からの展望は思った以上に素晴らしく、頂を東に越せば祖谷の国見山の好展望地でもある。
黒滝山へは野鹿池山からの縦走や徳島の羽瀬から送電巡視路を辿るコースなどがあり、ここでは大豊町の奥大田(おこうた)からアプローチを試みた。

秋の澄み渡った空に誘われてフラリと自宅を出てから、こんな良いお天気を独り占めはもったいないと、友人に声を掛けると、日頃から遊びには話の早い無線仲間達が同行することになった。
弁当をザックに詰めて総勢5名のパーティーは大豊町大田口で国道32号線を別れ、「豊楽寺薬師堂(ぶらくじやくしどう)」(国宝)に向かう道を登り、西寺内の手前で奥大田の町道に乗り入れて北に車を走らせた。
奥大田川沿いの道は狭く、かつての最奥の集落「明嘉(みょうが)」までは20分ほどかかる。
奥大田渓谷は大豊町三大渓谷のひとつでもあり、途中には展望所をかねた休憩所も作られている。

明嘉の三差路で右にハンドルを切り、少し行くと左手に橋がある。
ここを渡り、未舗装の林道を数分行き、比較的水量豊かな支谷にかかる橋を渡ると右手すぐに下の登山道がある。
指標は無いが橋のたもとはやや広くなっており、谷の右岸には広く緩やかな登山道が北に延びていて、容易に分かると思う。
なおも、この林道を更に行くと上の登山口だが、道は険路なので、心配ならここから登ると良いだろう。
なお、下の登山口には乗用車2台の駐車が精一杯である。
さて、私たちはここで車を一台乗り捨てて林道を更に別の車で詰めて、上の登山口から歩いた。
左に大きくカーブする場所の山手には養蜂箱があり、すぐ奥には送電鉄塔が建っている。特に標識はないのでわかりづらいかも知れない。


すぐそばには稜線から2つ手前の送電鉄塔がある。一歩踏み入れると標識に出会うのだが、、、。

切り崩しの山肌を駆け上がり、送電鉄塔脇を抜けるとすぐに三差路で黒滝山への指標に出会う。
登山道の右下には林道がほぼ平行して走っている。
ところどころ崩壊した場所や倒木もあり注意してゆくと、10分ほどで林道終点の真上を通過することになる。
従って、林道終点まで車で詰めて、山肌を5mほど登れば登山道なので、終点から登ることも出来る。

林道終点の上方を過ぎてからは、しっかりした道を踏みしめ25分も行くと、稜線1つ手前の送電鉄塔の広場に出る。ここからは目指す黒滝山山頂や、稜線の鉄塔も見えている。
小休止に最適な場所なので息を整えると良い。稜線までは、あと送電線1スパンの距離である。


稜線よりひとつ手前の送電鉄塔脇から黒滝山山頂(中央のピーク)を確認する。

鉄塔からやや下るとすぐに、下の登山口からの道と合流する。
指標通りに左折し登る。少し行くと極小さな谷を渡る。ここは、雨後間もなくなら最後の水場として使用できる。

もくもくと植林を登り、左手上方に大きな岩が見えてきて少し行けば、稜線直下に指標が有り、指示通りに分岐を右折してすぐに県境の尾根に出る。
小休止した鉄塔からは15分ほどの道のりである。

稜線で遅い昼食を摂り、尾根伝いに黒滝山を目指す。
尾根は木々に遮られ展望は良くないが、自然が残っており、登山道もしっかりしていて快適である。
5分も行くと高知県側に降りるエスケープルートが右手に確認できる。木に下げられた看板があり、下から登ってきた折りには、下山に利用すれば良いだろう。
ここからは少しだけ「イバラ」に注意しながらの登りとなり、ブッシュの深い季節は難儀するかも知れないが距離は短い。
稜線歩きはカエデ、モミジ、ツツジやブナなどが豊富で飽きることはない。


稜線を行く。