中都山  1999年10月30日

中都山は大豊町、香北町、物部村の境界が交わる位置にあり、奥深く静かな山歩きが楽しめる。
通常この山へは香北町猪野々地区から神賀山(1071m)を経由して来るが、大豊町からだと柚木から、あるいは楮佐古小檜曽(かじさここびそ)林道の大豊町側から分岐してこの山の北側を走る作業道を利用する方法もあるが、作業道の分岐には通常クサリ止めがしてある。
今回は先に紹介した奥神賀山から、秋に登山道がよく整備された時期を狙っての縦走を試みた。
(豊永峠から奥神賀山までのルート案内は「奥神賀山」のページをご覧ください)

広い笹原に建つ奥神賀さんの鳥居から西に3分ほど行くと分岐になり、ここは左手に行く。分岐には野趣あふれる枯れた木の根が横たわっている。
きれいに刈り払われたササの中の登山道は快適で、地図の記号通りのササと広葉樹が広がる。


ササの中の登山道。右向こうに目指す中都山。

分岐から少しで道はややきつい坂の下りになり、下り終えてから、春には新芽が美しいトモギの木が密生する登山道を登り返せば1397mのピークである。ここまで奥神賀山から20分あまり。
さらに10分ほど道は下って行き標高1350mあたりでコルとなる。
ここは「四の辻」と呼ばれ、道の脇には、「奉献石」が建っている。
奉献石には「明治九子年、奉献大山祗神社、是より奥の院、十三丁右へ行く」とある。つまり、ここは奥神賀山の奥の院より距離にして1350mほどの位置にあたることになる。
なお、このあたりは峠のような雰囲気で、辻とよばれる名前の通りなら縦走路に交差する道が在りはしないかと捜してはみたがそれらしき道は見あたらなかった。山崎清憲著「土佐の道」によれば、この辺りを楮佐古(かじさこ)より柚木(ゆのき)に越える峠ではなかったかと推察しているが、今では踏まれた跡もなく定かではない。


「四の辻」景色。縦走路の左脇に奉献石がある。

「四の辻」を過ぎると目の前に1404mのピークが迫るが、道はその小山の左手(東側)をまいて緩やかに下ってゆく。
ウラジロモミの林を抜け、灌木を出ると尾根の張り出しで展望が開ける。延びてゆく縦走路の向こうには目指す中都山が迫っている。振り返ると奥神賀山は遠く仰ぎ見る位置にあり、ここからだと全体に薄く青みを帯びたなだらかな山容に見える。


振り返ると中央奥に奥神賀山の頂が望める。

さらに東には高板山が目立っている。今回の縦走路で唯一素晴らしい展望を得ることができる場所でもある。


右手に高板山、その左へ二ノ森が見える。左隅が出発してきた豊永峠付近。