高ノ河山での休憩を終えた後、再びザックを背に県境の稜線を西又山へと向かって歩き出す。
スズタケが刈り払われて快適な稜線の林を行く。
スズタケの刈り払われた稜線にブナやヒメシャラの自然が残された中を下ってゆくと、高ノ河山から5分あまりでヒメシャラの幼木が群生する林になる。
ひと目数百本もあろうかというヒメシャラの群生はこの界隈の見どころのひとつでもあり、そんなヒメシャラ林の切れ目からは北に白髪山、三嶺、天狗塚や綱附森などが遠望できる。
白髪山、天狗塚や三嶺など奥物部の山々が覗く。
ヒメシャラの群生地をしばらく進んでゆくと、高ノ河山から南西に15分あまり辿った稜線の道は西へと方向を変えて西又山とのコルに向かい急下降を始める。
まるで奈落の底に向かうように真っ直ぐ落ち込んだこの急傾斜を帰路には這い上がるのかと思うと全員苦笑いするしかなく、標高差80mの斜面ではヒメシャラ、ヤマザクラ、ゴヨウツツジなどを掴みながら急下降する。
膝の負担を和らげるよう慎重に急坂を下る。
急坂を下るにつれ右下方から谷の音が聞こえだし、およそ10分かけて坂を下りきればすぐ右手に割合水量豊富な谷が現れる。
我が仲間内では一番の「水飲み」伊藤君が早速谷の水で水筒を満たした。
さて、水場を過ぎるとなだらかに登り、またすぐ下る。
左手にはめざす西又山が私たちを見下ろしていて、徳島県側の植林帯と高知県側の天然ブナ林が山腹を明らかに区分けして見える。
心地よい樹林の中、広い登山道を快適に進んで行く。
水場から約20分、登山道は南に方向を変えていよいよ山頂直下のきつい登り坂になる。
上を見上げると首が痛くなるような急登を喘ぎながら登って行く。
このルート最後の難関、急登を一歩ずつ上に向かう。
急坂を10分あまりでようやくなだらかになりひと息つく。
この後は、息を整えながらしばらく進むと目的の西又山に到着する。