引き返して、最前の分岐から笹の中に刈り分けられた道にとりつき山頂を目指す。紅葉はほぼ終わり落ち葉の絨毯をかさかさと踏みながら10分もかからず山頂に出た。
歩いてきた尾根を山頂から振り返る
比較的広い山頂には嶺北ネイチャーハントの看板と三角点がある。高知県側の急傾斜(奥大田川の源流部にあたる)には、熊笹の林床にブナが見事である。山頂からの展望は、南には杖立山からアンテナの林立する梶ヶ森の尾根筋を中心に、裾野には庵谷地区や南大王の集落が望め、奥神ヶ山をはじめ長岡郡と香美郡の県境の山々が続く。転じて東の尾根伝いには林間から紅葉の黒滝山がのぞき、その左手には国見山が聳える。特に北方面の徳島の山並みの眺望は良く、晴れて澄み渡った日には瀬戸大橋が見えるらしい。なお、この三角点からは樹林に遮られ西の奥工石や白髪山はちらほらであった。
木々の間から東には黒滝山(1210m)を見ることが出来る。野鹿池山山頂からは黒滝山まで縦走路が延びているがあまり踏まれた様子がない。
肝心の無線の運用は10時半から13時過ぎまで(途中何度も休憩を挟んで)2時間あまり行ったが、1エリア(関東地区)からのRSレポートが51〜55(QSBも有る)とコンディションはいまひとつ。一方、当然ながら北方面のロケーションは良く、山陽山陰東部は容易に交信できた。午後から風が強くなりマストがしなり始めたので運用は早々に取りやめて下山した。
アンテナの向いている東方面には国見山が聳えている。
往路を引き返す途上、山城町森林組合の作業員の姿を見、県道沿いの製材所に真新しい材が積み上げられているのを見ると、山を主要な生活の糧とするうえで山肌を削り随所に林道を巡らせる訳も分からないではない。しかし、野鹿池山登山口での光景はどうなのだろう?在来の自然林を刈り払い、第40回全国植樹祭で植え付けたシャクナゲの未熟な生育には首を傾けずにはいられないのだが・・・
なお、今回登った山頂から西の尾根を望めば、ひときわ目立つ三角錐の小山がある。こちらは野鹿池山西峰(1303m)で今登った西峰より標高はやや高く、高知新聞社の四国百山ではそちらを紹介しているようである。過日、友人が野鹿池神社の裏からそちらの頂に登ったが、道らしい道はなくやぶこぎをしたそうである。それでも木々の合間からの奥工石山をはじめとする展望はそれなりの趣があったようである。
登山道の途中、晩秋に葉をふるった木々の隙間から野鹿池山西峰を見る
備考 石の鳥居のある休憩所脇には、地元の人の手で水がひかれている。