笹ヶ峰 1998年5月31日

四国で笹ヶ峰と呼ばれる3つの山の中で、一番南に位置するのが高知県土佐町と南国市の境界にあるこの山である。南国市の山では最高峰であり、工石山陣ヶ森県立自然公園の一角をなしている。
この山に登るのはもう何度目だろうか、この日もふらっと思いたって出かけてみた。
それだけこの山のアプローチが容易であると云うことでもある。

高知自動車道大豊ICから国道439号線を30分ほど走ると土佐郡土佐町土居を過ぎたあたりに大きく「工石山」の看板が掛かっている。
看板通りに左折してから県道16号線(高知本山線)に乗り入れて真っ直ぐ行くと「県民の森工石山」に向かうことになるが、笹ヶ峰へ向かう道はこの県道から土佐町高須地区で鍋割林道に乗り入れる。
県道からの分岐にはちゃんと看板があり、注意していれば見逃すことはないだろう。
赤茶けた土壌の水田の間や民家の脇をくぐり抜けて看板通りに進むと道はやや狭くなり右手に放牧場(馬がいます)が見えてくる。
この辺りから道は未舗装になり、大雨の後には大きな轍が現れてマイカーの行く手を遮ることもある。
しかし、ガタガタ道に辛抱して10分ほども走りつめれば登山口である。

登山口

 登山口の広場にはマイカー4〜5台分の駐車スペースがある。右手には工石山陣ヶ森県立自然公園の看板も見える。

登山口には真新しい標柱が建てられ登山道には土止めの丸太が横たわっており、写真左手(東側)には林道が延びていた。どれも数年前には見ることが出来なかったものである。

ザックを背負い暗い植林の中を少し歩くと登山道の分岐が現れる。
現在この分岐には標柱が建てられており、登山方向右手には「登山道分岐山頂へ(天狗岩)850m」、左手には「山頂へ650m(小天狗岩)」と標されている。
右手のルートは一旦方向を転じて比較的なだらかに尾根へ出たあと、スズタケの稜線を行くことになり、左手のルートは苔むした山石を踏みながら雑木林を抜けやや傾斜のある山肌を縫って、先の尾根道に合流する。私の最近の登りは、もっぱら小天狗岩経由である。

小天狗岩からの眺め
 小天狗岩に登ると伊勢川沿いの棚田や集落の向こうに、早明浦ダムや嶺北の山並みがかすんで見える。写真は1994年5月5日に登った時のもの。

小天狗岩経由のルートを歩んでいると、尾根に出る少し手前で左手に踏み跡を見つけることが出来る。
ちょっと足を踏み入れて巨岩に登ると、ここが小天狗岩である。
目の眩む断崖からおそるおそる身を乗り出して眼下を見ると春先にはツツジが美しい。
北に広がる土佐町の集落や早明浦ダムの向こうに見える戸岐山などの嶺北の山並みには時間を忘れて見入ってしまう。なお、左手(西側)にはアンテナが特徴的な三辻山も見えている。

尾根道
 尾根伝いの道に出るとアセビやツツジが多い。

尾根に出るとアセビの多さに驚く。白い米粒のような花時にぜひ歩いてみたい。
なお、道沿いの植物は年と共に大きくなりかつてのような視界はきかないものの、ところどころ南の開けたところで展望を楽しんで欲しい。香長平野や高知市の向こうに太平洋が見える。