21番の鉄塔脇を過ぎると、たまにヒノキの植林はあるが、総じて紅葉の美しい中を登って行く。
少々しんどい登り坂も、カエデやツツジの紅葉が目を楽しませてくれる。
ヒノキの若木林と紅葉した木々越しに東のやまなみをふり返る。物部川から霧が湧き上がり、雲の切れ間からは朝日が降り注ぐ。
21番の鉄塔分岐から約10分で急坂にさしかかる。
振り返ると尾根に立つ21番の鉄塔を取り囲むように紅葉が美しい。
急坂を登るにつれて、辺りの木々が大きさを増してくる。
登山道の両脇に見える緑はアセビ(馬酔木)。ここから、22番の鉄塔が立つ正面の小ピークへと登り坂になる。
急な坂もほんの5分ほどの辛抱で、登山道はすぐになだらかになり、左手にはブナ林が広がる。
見渡すブナのその枝振りには心和む。が、しかし、残念ながらそのほとんどは落葉してしまっていた。
2日ほど前の秋の嵐は色づきはじめた木の葉を容赦なく吹き飛ばしていたのである。
それでも、これで紅葉の美しさは昨年の半分というから残念と言うより驚きである。
21番鉄塔から約20分で尾根に建つ22番鉄塔に辿り着く。標高約1210m。登山道は鉄塔をくぐって延びている。
ここからは目立ってブナの多いなだらかな尾根を快適に進んで約8分、23番の鉄塔まではあっと言う間である。23番鉄塔からは木々越しに山頂のシルエットが認められる。
ゴヨウツツジの枝振りや低木類の紅葉に和みながら、尾根を延びる登山道を快適に進む。
23番の鉄塔を過ぎると、登り坂になり、ひと抱えもありそうなブナの大木が登山道の脇に倒れていた。芯が空洞になっていたので、これも先日の嵐の影響であろう。それにしても自然の凄まじさを感じる光景である。
モミの大木やツツジ類の紅葉の中を登ってゆくと、間もなく(標高約1235m付近)で登山道は再び緩やかになり、あたりには五葉ツツジの大木が目立つ。
23番の鉄塔から12分ほどで、24番の鉄塔に下る道(鉄塔で行き止まり)との分岐に出会う。ここは真っ直ぐに上へと向かう。標高約1250m。
間もなく尾根の水平道に出てふり返ると、つかず離れず辿ってきた送電線が一望に、その向こうに望む御在所山は遙か後方になっていた。
やがて正面に小さなピークが見えてくる。
この辺りまで来るとブナなどの落葉高木類はほとんどが落葉しており、本来なら枝越しの空が青く美しいのだが、あいにくと一帯にはガスがかかりはじめ、左対岸の稜線はすでに見えなくなってしまった。
なお、晴れていれば小ピークあたりから、正面にはめざす大ボシ山と稜線の26番鉄塔が、また、右手(東方面)には神賀山、中都山、奥神賀山などを望むことができる。
登山道から東には中都山や奥神賀山が見える。(24番鉄塔の元から帰途に撮影)
24番鉄塔との分岐から約20分で25番鉄塔の真下に出る。ガスさえなければ、稜線に立つ最後の26番鉄塔を見あげることが出来る。
さて、25番鉄塔からは約5分、登山口からだとおよそ1時間半あまりで、稜線に立つ26番鉄塔に辿り着く。
ここ鉄塔のある峠の一帯はブナ林で、林床のササ原とのコントラストが幻想的な場所である。辺りにたちこめたガスで、その雰囲気はなお一層である。
林立するブナの間にガスがかかり幽幻の雰囲気をかもし出す。
ここまで来れば山頂はすぐそこである。
26番の鉄塔をくぐり山頂をめざして登ってゆく。スズタケが生い茂っているが登山道はハッキリしている。
峠(26番鉄塔)から約10分で山頂に着く。
大ボシ山山頂、手前に三角点の石標が見える。
大ボシ山山頂は、ササに取り囲まれて三角点があり、石標の周りは一畳ほど刈り払われている。山名板と三角点の石標だけの頂上はシンプルすぎるほどにささやかである。