ツキヨタケについて
大座礼山のブナの木に生えたツキヨタケ
ツキヨタケ(月夜茸) キシメジ科ツキヨタケ属 学名:Lampteromyces
japonicus
特に秋季、ブナに多く発生し、他にトチ、ミズナラなどの広葉樹の立ち枯れ木、切り株、倒木などに群生して生える。
古くから猛毒のキノコとして知られており、「今昔物語」には、ツキヨタケで毒殺を謀った金峯山の僧侶の話が載っている。
毒の成分はイルジンS(ランプテロール)で死亡例も多く、たとえ死に至らないまでも食せば激しいおう吐、腹痛、下痢などの中毒症状をまねく。
学名の『Lampteromyces(ランプテロマイセス)』はラテン語で「輝く菌」の意で、その名のとおり暗闇で青白く発光する。海外では「極東の鬼火」とか「Fox Fire」とも呼ばれている。発光成分は、ランプテロマイセスに由来する「ランプテロフラビン」という蛍光物質であり、この物質はヒダの中にあって、ヒダの外部に放出される際に弱酸性の状況下でより強い発光をともなう。
シイタケなどに非常に良く似ており、誤食による中毒の発症例が後を絶たず、毒キノコによる死亡者数はツキヨタケが最も多い。
以下にこのキノコの特徴を記しておきますので、充分お気をつけください。
《傘》8〜30cm(成菌時は縦径10〜20cm、横径12〜30cm)。
形は主に半円形(倒木の上面に発生するものは時々円形になる)。幼菌は肉厚でほとんど平らな黄褐色(同色の濃い鱗片がある)。成菌は紫褐色〜暗褐色で、しばしば黒紫色のごま状斑点を現し潤んだつやがある。
《柄》長さ1〜7cm、太さ1〜2cm。普通傘に側生するが、倒木の上面に発生するものは、しばしば中心生で長さも7cmと長い。ヒダとの境にリング状の隆起した環がある。
柄を縦にさくと黒紫色のシミがある(まれに黒紫色の部分が不明瞭なものもあるので注意)。
《ヒダ》淡黄色、のちに白色。暗闇で青白く発光する(発光成分:ランプテロフラビン)。
《肉》白色で厚い。
《胞子》帯白色で平滑。球形(11.5〜15μm)。
《発生》夏〜秋、ブナなどの枯れ木。
《分布》日本、朝鮮半島。
《毒成分》イルジンS(ランプテロール)
《中毒症状》激しいおう吐、腹痛、下痢など