簡単な小休止を終えると再びザックを背負い、少しなだらかに行くと左手の林へ向かう踏み跡が見える。
傍の立木には水色と黄色のテープでコースサインがある。これは後ほど出る尾根に向かっていると思われるが踏み跡は薄い。
ここではこの踏み跡は無視して、正面に竜頭山の山頂を見ながらしっかりした登山道をなだらかに植林に入ってゆく。
所々から見上げる竜頭山の山頂にはオオヤマツツジの赤い花が燃えて見えて、山肌には小さな崩壊箇所が幾筋か見える。ここから見る限り山頂からの展望は望めそうにもないが、雰囲気の良い林が広がっていそうな期待はもてる。
植林に入ると、道はしばらく山腹を東方向にトラバースする。植林の中はいつもそうだが足もとがザレて歩きにくい。辺りに目を惹くものも無く、タケニグサだけが我が世の春とあちらこちらに茎を伸ばしている。
殺風景な植林の中を登り坂が続く。
やがて傾斜を増しながら薄暗い植林の中を登って行く。道端の立木にはところどころ真新しいシカの皮剥の跡が見える。
それにしても殺風景な植林帯は仲間とあれこれしゃべりながら気を紛らわさなければ辛い登りである。
小休止してから後、20分あまり登ってきた頃、右手の立木に赤青黄の三色のテープが巻かれた分岐になる。左手には水色のテープも見える。
ここからは左手へと折り返すように登って行けば、登山道に倒れかかったヒメシャラの大木を注意してくぐり、植林を出ると素晴らしい自然林が辺りを包んで、ほどなく尾根沿いの道に合流する。
尾根に出ると自然林が美しい。
尾根に出ると今まで殺風景な植林だったのが嘘のような美しい自然林が広がる。
辺りにはツガの大木などが林立し、ところどころにブナや大きなヒメシャラが数本立っている。
素晴らしい風景に足を止めると、急登で熱くなった身体に谷底から吹き上げてくる風が心地よい。
あまりの心地よさに、山頂とは反対に尾根道を少し下って散策を楽しんでみた。
尾根道に広がるツガ林。
さて、散策を終えると尾根の合流点を出発して山頂をめざす。
ひと抱えもありそうなヒメシャラの大木の元を通過するとしばらく登り坂になる。
登山道沿いには幹まわり3mほどのツガの大木や形の良いブナなどが点在している。
ふと見上げると大きなオニフスベを見つけた。巨大なマシュマロのようなオニフスベも今ではすっかり固くなっている。
尾根沿いの道は藪もなく、スズタケが刈り払われて広く快適だが坂道は思ったよりきつい。
尾根沿いの道を登って行く。
15分ほど登ってくると登山道は少しなだらかになる。
やがて地図通りになだらかな一帯まで来ると、東西に走る尾根道と合流する三叉路に出る。そばには山界標石が立っている。
ここまで来れば竜頭山の三角点は近い。三叉路を右へと、短い間隔で点在する山界標石を追いかけながら西に向かう。
三叉路を西へ折れて三角点に向かう。