弘瀬地区に向かう道はほぼ尾根に沿って緩やかに下って行く。
両側の雑木林はもう数日早ければ紅葉が楽しめたことだろう。
弘瀬地区に向かう尾根伝いの登山道。
しばらくなだらかに行くと、尾根を東に巻き込むところで南の展望が開けてから下り坂になる。
少し下って再びなだらかに行くと登山道の真ん中に真新しい4等三角点の標石と出会う。ここまで「北谷コースとの分岐」から約10分。
この辺りから東には大平、成山の集落が遠望できる。
シダに囲まれた427.3mの三角点。
三角点からはアカマツ林の林床にシダの生える急な下り坂で、粘土質の道は滑りやすいので注意しながら下る。
三角点から5分ほど行くと左手に掘れ込んだ溝のような道があり、今思えばこれがどうやら正規の下山ルートだったようだが、このときは真っ直ぐに向かう道の方があまりにも立派だったので、ずっと先を行く女性たちを追うように尾根を進んでしまった。
そして失敗だったと気づいたのは、しばらく尾根を下ってからだった。
進んできたルートは地籍調査のために刈り払われていたようで、真新しい切り株が目立ち始めると突然行く手が途絶えた。
目の前にはブッシュが立ちはだかっている。
引き返すには少々下り過ぎたし、下山口の弘瀬地区まではそう距離はないはずである。幸い左手の林にはヤブも無い。
同行の女性たちと相談の上でその林を下ることにした。
樹林の中を下降しながら徐々に北方向に位置を移動させてゆく。
急な斜面では時々尻餅をつくが落ち葉のクッションに助けられる。
そうして植林の中で立派な登山道に降り立ちひと息ついた。
植林の中で弘瀬からの道に出会った。
弘瀬からの道を辿ると集落の上の墓地で分岐になる。
ここは真っ直ぐ民家に向けて下っても、右へと側溝に出会ってから下っても、ここまで来ればそう大差はない。
弘瀬地区に降り立てば、あとは勝賀瀬川を眺めながら車道をのんびり歩いて20分ほどで登山口の北谷集落に帰り着くことができる。
下山した弘瀬地区。こちらから登る時は赤線矢印のように林に入って行く。
それにしても、弘瀬までの樹林の下りは女性には少々難儀だったのではないかと思ったが、どうしてどうして今日のお二人はそんな事さえ楽しんでいるかのようにその足取りの軽やかなことには驚かされた。
弘瀬に下り立つと「今日もいろいろと収穫がありました」と、事も無げに語ってさっさと歩き出したその健脚ぶりに、あらためて舌を巻いたことだった。
*全行程の私たちの所要時間(コースタイム)は以下の通り。
【往路】
北谷登山口<22分>水場<28分>弘瀬と北谷との合流点<11分>尾根道との分岐<14分>産屋谷<38分>尾根の道標<14分>鷹羽ケ森山頂
【復路】
山頂<25分>三角点<29分>尾根道との分岐<5分>弘瀬と北谷との合流点<10分>三角点<43分>弘瀬登山口<20分>北谷登山口
備考
下山時、往路を引き返す場合は、山頂から1時間半程度でもとの北谷登山口に降り立つことができるでしょう。
吾北からの道はあまり使われていないので、晩秋から春先にかけてが歩きやすいものと思われます。