尾根の岩場から紅葉を見下ろす。
さて、岩場からブッシュは深いが、慎重に登れば、10分ほどでかつて四国地方建設局が建てた松尾無線中継所跡に着く。
建物は荒れ放題で、今は動物たちのねぐらになっているのだろうか?かつては良く手入れされていただろう敷地にも草木がわがもの顔に蔓延っている。
それにしても、山中でこのような廃墟に出くわすと、その異様さに驚かされる。自然の中で人工のモノに出会う時ほど驚かされることは無い。
最初に出くわす廃墟。山中にはこのような建物がいくつか散在している。
建物の向こう側に回り込むと、北東から北西にかけて開けており、足元には、この建物からかつての管理道が下っている。国土地理院の地図で、峠から東に描かれている車道がこの道だが、かつての立派な道も今は背の高い木々が繁茂し、人が歩くのさえままならない。また、途中崩壊した場所もある。もっともそのために、北西の展望が開け、梶ケ森などを望むことはできる。
最初の廃墟から15分足らずで2番目の廃墟の入り口である分岐になり、ここは下る方に進む。
さらに3番目の廃墟を右にまいて少し行けば、林道の峠にある廃墟の右手に出る。
山頂からここまで50分ほど。あとは林道を歩いて出発した広場まで帰ることになる。
林道の松尾峠にある無線中継所跡。建物の左手にかつての道路跡が有る。
ところで、峠の近くにはまゆみの木があり、やさしい桃色の実をつけていた。
無線施設はこの地を後にしてしまったが、ここに住む植物たちはこの地を離れることなく、毎年こうして生きていると思うとたまらなく愛おしくなり、しばらくじっと眺めてしまった。
まゆみ(檀)の実。桃色の袋が裂けると紅色の種子がのぞく。マユミは別名「たぬきのかんざし」ともよばれ、マユミの名の由来は、この木で弓を作ったところからきている。
備考
登山道に水場はありません。
ここに紹介した無線中継所は、この中継所建設で殉職した有澤一郎氏の名を冠し、有澤無線中継所とも呼ばれていた。