北斜面から再び尾根に出て、スズタケの中を進むと、間もなく戸中山の山頂にたどり着く。
NTT反射板跡地の広場から約50分あまり、登山口からは2時間超(約130分)の道のりである。


ササと樹木に覆われた狭い山頂。いくつかの山名板がある。

ようやく辿り着いた山頂は、比較的なだらかだがスズタケと樹木に囲まれて展望は皆無。
3畳ほどの狭い山頂は山名板が無ければ行き過ぎてしまうくらいだが、しかし、この辺り、北斜面のブナには深山の趣があり、特筆に値する。


山頂の北斜面に広がるブナ林。

ところで、山頂から更に稲叢山への縦走路を少し辿ってはみたが、あまりにもスズタケが深く、途中で探索を断念した。

さて、山頂からの帰途は往路を引き返すのだが、時間があれば、先に紹介した尾根の岩場に立ち寄ると西から南への展望が素晴らしい。この岩場までは山頂から尾根を忠実に、かすかな踏み跡を5分ほどである。
展望を楽しんだら少し引き返して、よく見ると見つかる踏み跡を北に下り、往路と合流し下山する。


山頂の西側の岩場からの風景。歩いてきた尾根が一望である。

往路同様に苦労しながらスズタケをこいで、山頂から約40分でNTT反射板跡地の広場に出て、更に5分あまりで尾根と別れて南斜面を急降下する。
後は、約30分で往路での第1渡渉点を渡り、更に15分あまりで最初の看板(つまり、登りで最後の指標「東滝へ0.78km、西滝へ0.27km、権現滝、大樽の滝」の看板のところ)まで下り立つ。ここまで山頂から約90分。
ここから登山口までは5分あまりで帰り着くことができるが、私はここで西滝見物へと向かった。

真っ直ぐに西へと向かい、少し登ると、先の看板から約5分で「西滝(赤滝)中腹へ0.11km」の看板と出会う。上向きの看板には「西滝滝上渓谷へ0.2km」とあり、登山者が書いたのであろう戸中山へ120分の書き込みがある。
ここでの案内はガイドブック「高知県の山」で紹介されているルートではないかと思うが確認はしていません。おそらくここを上部で西滝を渡り、谷の右岸を登って、水源かん養保安林の分岐で合流するものと思われる。山頂までは同時間のようなので、詳しくご存知の方はぜひ教えていただきたいと思います。

ところで、その看板からはやや下り、すぐに下の遊歩道と出会えば(看板あり)、西滝までは更に西へと3分ほどである。西滝に着いて、豪快な滝の飛沫をうけるとひんやりと心地よい。

さて、西滝を右岸に渡り、更に150mの道のりを約6分で、西滝の展望所に登る。
ここからは西滝の全貌が明らかとなり、眼下には集落と登り口が確認できて、戸中山へと登った急斜面もそれとなく把握できる。
なお、展望所から、更に西の2つの滝を散策に行くなら、権現滝へ0.56km、大樽の滝へ1.30kmだが、今回はここで引き返した。西滝展望所からは、約10分あまりで登山口である。


西滝展望所から眺める西滝。右手の林の中に登山道がある。

備考

かつて、西滝の上ではヒエやアワが作られていたが、今はそんな土地も植林となっている。
往時には本川村や伊予(愛媛県)との頻繁な往来があり要所には番所もあったらしい。
尾根に出てからは水場が無いので要注意。また、マムシにはくれぐれも注意してください。