杖ヶ森  1999年5月5日

杖ヶ森は、高知県本山町と土佐山田町の町境に位置する国見山(1089m)のほぼ真北に位置し、旧官道「北山越え」の殿様道はこの山の東を巻いて本山町吉延に通じている。
この山自体とりたてて興味を惹かれるわけではないが、国見山だけで歩き足らない人は足を延ばすと良いだろう。杖ヶ森山頂までは国見峠から800m、登山道は比較的しっかりしており、途中の展望も国見山では味わえない東方面に一風の趣がある。

国見山の国見峠(詳しくは国見山の紹介をご覧ください)から北に下るように辿ると杖ヶ森に向かうが、最初は間伐した植林が歩行を困難にする。
しかし、この道が初めてなら倒伏した針葉樹に苦労しても脇を走る林道へは出ない方が良いだろう。
なぜなら再び山道に入る場所を見失うかも知れないし、植林の間からの展望が楽しめないかも知れないからである。杖ヶ森に向かう登山道での唯一の好展望は、この植林の切れ目にあり、林道の山手上方に位置している。


 登山道からの眺め。展望は唯一ここだけ。

植林の切れ目からの東方面の展望は良く、何本ものアンテナを冠した梶ヶ森やなだらかな杖立山が眼前に見えている。手前には高知県大豊町にある「ゆとりすとパーク」が望め、近代的な建物の隣には巨大な風力発電施設が2基とも見えている。


 登山道。右手下方には林道が走っている。

右下の林道と最も接するところは少しなだらかになり、気持ちの良い雑木林が続く。やがて少しだけ道は登り始め、峠から15分も歩くと、突然やや広い場所に飛び出す。
ここは、麓から突きならして延びてきた林道の枝道の終点であるらしいが、今は茅(かや)が茂り廃道となっている。
実はここから折り返すように杖ヶ森への道がある。

道は同じ勾配を保ちながら真っ直ぐに山頂まで延びており、5分も登ればあっという間に頂である。


 驚くほど大きなサルノコシカケ。

山頂は石積みでそれとわかるが、それ以外にこれと云った標はなく、誰が掛けたか白木に手書きの「杖ヶ森」の小さな看板があるだけ。
ご覧のように樹木で視界はまったくきかず、ケルンの横に生えている成人した杉の木だけがこの山の眺望を欲しいままにしている。


 杖ヶ森山頂には苔むしたケルンがひっそりと佇んでいる。

下山はもと来た道を引き返し、国見山登山口まで1時間程度。