つつじが森 2001年4月28日
過日「陣ケ森」に登った折り「雪光山(国見山)」に並んで見える「つつじが森」に興味を抱いて以来、ひそかに登頂のチャンスを狙っていたところへ、ツツジの華やかな季節になり絶好のシーズンと一人合点して仲間に声をかけこの山を目指した。しかし、山名に期待するほどのツツジの花は無く、植林帯も多かったのだが、それでも展望の開ける箇所でのワンポイントごとのツツジの花は、静かに佇む麗峰「つつじが森」らしい奥ゆかしさに満ちあふれていた。
ゴールデンウィークの初日、夜の明け始めた国道には久しぶりの郷里へと向かう県外ナンバーの車がめだつ。南国市でいつもの浜田さん杉村さんと待ち合わせ高知市でY子さんを乗せて私のポンコツマイカーは一路登山口である鏡村「樽の滝」を目指す。
同じ頃、この日のもう一人のメンバー伊藤君も窪川町から高岡を通過して同じく鏡村を目指していた。
高知市塚ノ原から県道6号線(高知伊予三島線)を北上、鏡村中心地の川口橋を渡り、右折して高知市の水瓶「鏡ダム」の右岸を進む。後は「樽の滝へ」の看板に導かれ穴川橋の手前を左折し、穴川川沿いに遡上すれば車道終点に「レストラン樽の滝荘」があり、レストランの奥には名瀑「樽の滝」(土佐の名水・樽の滝)が見えている。
レストラン手前の広場に駐車し、パッキングの確認と荷物の分担を終えた後、私たち5人はまず「樽の滝」見物に向かったのだが、滝についての詳細は後ほど「備考」で詳しく述べることにする。
つつじが森登山口に建つ「レストラン樽の滝荘」。後方に名瀑「樽の滝」が見える。
美しい滝の見物を終え、元の「樽の滝荘」まで引き返すと、いよいよ「つつじが森」へのアタックを開始する。
つつじが森登山口は、「樽の滝」への遊歩道入り口にあり、左手へと細い道が駆け上がっている。傍らには案内図もある。
登山道を登り始めてふと眼下に目をやると、樽の滝荘の奥さんの姿が見えた。樽の滝荘には、名物カニソーメンを食するため帰途に立ち寄ることを告げて上方を目指す。
今が見頃とユキモチソウの咲く中、スギの植林を縫っていきなりの急登をジグザグに這い上がる。所々でアオキが赤い実をぶら下げている。
登山口から、樽の滝荘の対岸を登り始める。
登山道に照葉樹林が目立ちはじめると、間もなくかつての辻越えの道へと這い出す。ここまで登山口から約10分。
「ほぅ」と一息ついた後、ここからは当然ながら右へと登って行く。(なお左へと下る道は下方の車道で寸断されているらしい)
咲き残ったヤブツバキの花や足元の松ぼっくりを眺めながら、照葉樹林をなだらかに登って行く。
登山道はその昔、荷役馬が往来していたと言うだけあって、広く快適である。
広い登山道を行けば、照葉樹林が美しい。
登山口からおよそ20分後、右手に「西樽ノ上公団造林地」の看板を見ると尾根に出て、下方には「樽の滝」の上流を流れる谷音が聞こえはじめる。
ここは左へと谷音を右手に聞きながら植林の中、上流を目指す。ほどなく右手へ下るそば道(作業道)と出会うが、ここは真っ直ぐに進んでゆく。
登山道で出会うユキモチソウ(この花について詳しくは「きびす山」のページをご覧ください)。
道端ではスミレの花が見頃を終え、変わって大小のマムシグサが満開になり、季節のかすかな変化をそんな花たちに教えてもらいながら、進んでゆくと、「造林地」の看板から7分ほどで小さな谷と出会う。ここは1番目の水場でもある。
ふと覗き込むと、小谷の穏やかな流れには小さなアブラハヤ(ムツゴあるいはモツゴとも言う)が数匹、悠然と泳ぐ姿が見えた。こんな小さな流れにも確かな命が受け継がれていると思うと嬉しくなってくる。そして、谷の向かいに見える炭焼き跡の石積みに目を移し、人間と山の生き物たちが共生していた頃に思いを馳せてみた。
登山道で出会う最初の沢。悠々と泳ぐアブラハヤを覗き込む。