土佐矢筈山 1995年10月14日
高知県物部村から徳島県に通じる林道笹笹上線の県境付近は「矢筈峠」、別名「アリラン峠」と呼ばれている。
戦後、厳しい道路工事に従事していた朝鮮人労働者の人たちが、この峠に登っては故郷を偲んで、この峠をアリラン峠と呼んだらしい。ここにはアリラン峠由来の説明板があり、峠は土佐矢筈山縦走路や綱附森(つなつけもり)への登山基点になっている。ために、充分な駐車スペースもある。
晩秋の登山道をゆく。茶色く点在するのはコメツツジやトサノミツバツツジなど。
標高1250mのアリラン峠西側にある登山口から歩き始めると、ブナの林を抜けて一旦コルに降りて間もなく急な登りになる。
坂道はややきついかも知れないが「土佐矢筈山風景林」の豊かな植生を楽しみながら登りたい。
鬱蒼とした夏場には眺望のききにくい灌木や背の高いササの登りも中腹を過ぎると明るくなり、山頂の稜線が見え出すと自然足取りも速くなる。
ササが低く、空が広くなってきた。ここを右に回り込めば山頂はすぐそこ。
山頂付近の稜線にはコメツツジやトサノミツバツツジ、ツルギミツバツツジなどの群生があり、花時の5〜6月頃と秋の紅葉シーズンには多くの登山者たちでにぎわう。
そんなツツジたちと、ササ原に白い裸岩のコントラストが魅力的な山である。
峠から標高差350m足らずの「矢筈山ハイキングコース」の道のりは、ゆっくり歩いても1時間ほどで山頂に辿り着く。頂上には三等三角点と木標がある。
山頂の向こうに見えるのは天狗塚の尾根。