〜中学校における最重要教科は?〜


@「学級崩壊は数学から始まる!」という神話
 昨今、学級崩壊がかなり一般的な話題になってきました。「教師の指導力」「家庭のしつけ」…様々な原因がとり沙汰される中、教師たちは自分のクラスを危機から守るために必死です。そんな中で、「学級崩壊は数学(小学校では算数)の授業の崩壊から始まる」という識見者がマスコミにたくさん登場しています。確かに数学や算数は子供が最も苦手とし、また嫌われやすい教科です。では、具体的にもう少し算数と数学について考えてみましょう。
A逃れられないつまずきポイント
 算数や数学という教科では、多くの生徒がつまずくポイントとなる単元があります。「分数」「文字式」などがこれに当たります。このような単元については、どんなに授業がうまい先生が教えても、恐らく数人の生徒は理解できないまま脱落していきます。これは仕方のないことです。実は、その中に忍耐力がなく投げ出し勝ちで他人に影響力の強い生徒がいたときに学級崩壊は起こりやすいといわれています。なぜかというと、算数・数学という教科は基本的に前に学習した単元を理解していなければ次の単元を理解することができないからです。だから、数学(算数)の授業から崩壊をするのを防ぐためには、極端なことを言えば「数学が苦手でかつ、忍耐力がなく投げ出し勝ちで他人に影響力の強い生徒」だけを徹底的にえこひいきに近いぐらい個別指導すればよいわけです。こんなことを言うと「平等な教育に反する!」と、ご批判を受けるかもしれません。が、そのような措置をとらなければ確実に学級が崩壊する危機的状況だったら?…考えてみてください。学級は崩壊してからでは遅いのです。災害は起こってから対処するのではなく、まず予防することが最善の策なのです。
Bもう1つの崩壊を救う教科
 学級崩壊の話をするとすぐに数学・算数・理科など、理系教科がやり玉に挙げられます。しかし、実は現場の教員だけが気付いている崩壊を救える全く別の教科があります。それは、「音楽」です。よく学校では、「素晴らしい合唱のできる学級・学年・学校は絶対に荒れない」といわれます。逆に、「崩壊しているのに感動的な合唱のできるクラス」は絶対に存在しません。この指標は、かなり信憑性が高いといえます。合唱は全員の力で行うものです。また、他人に影響力の強い少し荒れた生徒が一人ぐらいいても、他の生徒全員が一生懸命歌っていれば、余程のことがない限り全員の合唱をぶち壊す行動には出ないからです。そしてクラスでよい合唱をするという雰囲気を作るためには、数名の人望がある生徒がしっかりと出だしから大きな声で歌えばよいのです。
C音楽の授業をよりよくするために
 では、具体的に「歌える学校づくり」をするためにどうすればよいか? その1つに、各学校の部活動に「合唱部」を作ることが挙げられます。合唱部の生徒が毎日歌の練習をして、授業のときに各クラスに散らばったときも、その数名の生徒がしっかりと音楽の授業で歌えば、まず他の生徒もついてくることでしょう。この程度のことで学校崩壊が防げれば苦労はしない…と言われるかもしれません。しかし、最近衰退しつつある中学校の合唱部をもう一度各学校で甦らせてみては…と、ひそかに考える私なのでありました。
D恐るべき新学習指導要領
 教師の方はご存知のはずですが、2002年から学校では新しい学習指導要領に則って授業が行われます(高校は2003年から)。学校週5日制になるため、授業時間数は大幅に削減されます。実は、その中でも特に危機的状況にあるのが音楽。何と、授業時間数が週2時間から週1時間になってしまうのです。つまり、授業時間が今までの半分になるってことです。私は個人的には増やしてもよいのでは…とすら思っているのですが…。恐らく合唱の時間も大幅に減少し、クラスで団結するという機会は減らされてしまいます。そうしたら、よけい崩壊を防ぐ手立てが減ってしまうのでは?…そんな危惧を抱くちょっぴり不安な私なんですが、みなさんはどう思いますか?