〜本当に生きる力をはぐくむために〜


@今、子供に必要とされている資質は?
 2002年から学校5日制がスタートし、授業時間数は大幅に削減されます。既存教科の内容は3割削減されると言われています。そして、空いた時間の分、「総合的な学習の時間」というものが設けられます。学校ごとに自由にカリキュラムを組んで、子供たちに学習させようというものです。しかし、学校にいくら、「自由にカリキュラムを組んでいいよ!」と言っても、逆に学校の先生は困ってしまいます。環境、情報、国際理解、福祉…主に、これらの分野について新しいカリキュラムを作るために、今学校の先生たちは必死です。それは、多くの学校が試験的に2000年からこの時間を導入することが決まっているからです。…しかし、これらが本当に今の子供たちに最も必要な資質なのでしょうか。もっと根本的な、子供に必要な資質をダイレクトに授業にすることはできないでしょうか。今回はそんな「新教科」について検証してみたいと思います。
A真の『心の教育』のために、「道徳」を解体してはどうだろうか…
 今、子供に最も必要なことは何だと思いますか?…教員採用試験でこの質問をされると、「基本的な生活習慣」「集団行動のしかた」「心の教育」…など、様々な答えが受験者から飛び出します。確かにとても大事なことばかりです。しかし実際には、これらのことはすべて学校教育全体を通して行われなければならないとされる「道徳教育」の一環なのです。そう考えると、9年間の義務教育で学習する「道徳」の内容は、あまりにも膨大だと言わなければなりません。そしてその「道徳」の授業としての時間は、なんと週一回しかないのです。しかも実際には学校行事の直前になると、とにかく行事の準備のためにすぐつぶれてしまうことが多いのです。そこで、これからもし新しい教科を作るのであれば、「道徳」を解体して道徳の中で学習すべき資質を個別に、しかもダイレクトに教科にしてみてはどうだろうか…というのが私の提案です。それでは私の提案する「新教科」を、はずかしながら紹介していきましょう。
B新教科「マナー」
 タイトルそのまんま、です。世の中で生きていくために必要な礼儀作法を、朝の挨拶から冠婚葬祭の常識まで義務教育9年間をかけて学習しようという教科です。具体的には、「挨拶」「言葉遣い」「食事のマナー」「スポーツマンシップ」「交通ルール」「電話での応対」「儀式等での服装」「インターネット上でのモラル」「手紙の書き方」「諸外国でのマナー」等…実に多彩です。この教科の良いところは、体験的な活動をメインに授業を組みたてることができるところにあります。私は、将来は主要5教科にとって代わる最重要教科となってもおかしくないとさえ思っています。そして、この教科は道徳と違って教師が評価をすることも必要だと感じます。それは、既存の道徳と違って、良くないところは学校生活の中で絶対に改善していかなければならない資質だからです。これをご覧の先生方、「総合的な学習の時間」にぜひ取り入れてみてはいかがかな?…
C新教科「育児親学(いくじしんがく)」
 子供が親になったとき、どうやって自分(または他人)の子供と接すれば良いのかを学習する教科です。分かりやすく言えば、「教育心理学」の子供バージョンです。「赤ちゃんが泣き出したときの対応」「子供を褒めてばかりだと、どうなるか?」「暴力的な親を見て、子供はどう思うか」など、こちらも内容は多彩です。しかも、この教科は「教育心理学」というバックボーンがあるため、すぐにでも教科としての成立が可能です。そして、私がこの教科の成立を勧める理由は「子供の命に関わること」だからであります。今や、子供のことを何とも思わない親が、我が子を殺害してマスコミをにぎわす事件さえ起きています。親は子供を産むかどうかを決めることができますが、その子にとっては親を選ぶ権利は与えられないのです。命の大切さを学ぶため、まずは「最も身近な人間」について学習するこの教科が、いつか必要な時代がきっと来ることでしょう。
D新教科「教師学」
 「人類みな教師!」と言われます。人は不老不死ではありませんから、どうしても次世代の人にこれまでの知識を伝えていく必要があります(人間が不老不死なら、その必要はない)。そういう意味では、人間は死ぬまでに何かを人に伝え(教え)なければなりません。そこで必要だと考えたのが「分からない人に、分かりやすく物事を教え、そして育てる方法」を学ぶ教科、それが「教師学」です。これは大学で学習するような「教育学」ではありません。ポイントはただ一つ「いかに分からない人の気持ちを理解するか」という点だけにあります。その意味から考えると、これは明らかに「道徳」で培うべき資質の1つと言うことができます。非常に部分的な教科ではありますが、各教科と分けて独立を図っても十分に成立する教科だと考えます。
(※なお、私とは全く違った視点から「教師学習」という教科の新設について考察するeijiさんのサイトがございます。詳しくは
《教師学習》のパラダイムまで)
E新教科「演劇」
 掲示板の方で、なんでもやさんからご推薦を受けて、私なりに考察した新教科です。現在、学校の中での演劇といえば部活動、文化祭、学芸会などにおいて行われています。これを教科として成立させてはどうかというものです。この教科の目的は、@)他人(自分が演じる役も含めて)の気持ちを理解して行動する資質を養う(要は『思いやりを持って』ということ) A)団体の中で個性を生かし、集団活動を円滑に行う協調性を培う の二点です。現在の「道徳」からこの2点だけを抽出し、教科にしても全く差し支えはないでしょう。この教科は学校行事が減る中、子供にとってのその楽しみを授業として残すことができるという利点もあります。これも「総合的な学習の時間」の中に今すぐにでも取り入れることが可能です。もちろん、他教科との連携もできます。全国の先生方、ひとつご考察していただいてはいかがでしょうか?…
F新教科を募集します!
 いろいろと新教科について紹介してきましたが、ここで皆さん方からも「こんなのどう?」という新教科を募集します。先生方だけでなく、一般の人からのご意見も大歓迎です。掲示板の方にぜひご意見をお寄せください。別に「道徳的な資質」にこだわる必要はありません。ユニークな案につきましては検討の上、さらに考察してこのページに更新していきたいと思います。また、このサイトを見ている文部省及び教育委員会の方、参考になる考えがございましたら、どうぞ未来を担う子供のためにご検討の程、よろしくお願いします。