第4節 理   科


第1 目 標

 自然に対する関心を高め,目的意識をもって観察,実験などを行い,科学的に調べる能力と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め,科学的な見方や考え方を養う。


第2 各分野の目標及び内容

 [第1分野]

1 目 標

2 内 容
(ア) 光の反射や屈折の実験を行い,光が水やガラスなどの物質の境界面で反射,屈折するときの規則性を見いだすこと。

(イ) 凸レンズの働きについての実験を行い,物体の位置と像の位置及び像の大きさの関係を見いだすこと。

(ウ) 音についての実験を行い,音はものが振動することによって生じ空気中などを伝わること及び音の高さや大きさは発音体の振動の仕方に関係することを知ること。

(ア) 物体に力を働かせる実験を行い,物体に力が働くとその物体が変形したり動き始めたり,運動の様子が変わったりすることを見いだすとともに,物体に働く2力についての実験を行い,力がつり合うときの条件を見いだすこと。

(イ) 圧力についての実験を行い,圧力は力の大きさと面積に関係があることを見いだすとともに,空気に重さがあることを調べる実験を行い,その結果を大気圧と関連付けてとらえること。

(ア) 身の回りの物質の性質を様々な方法で調べ,物質には密度や電気の通りやすさ,加熱したときの変化など固有の性質と共通の性質があることを見いだすとともに,実験器具の操作,記録の仕方などの技能を身に付けること。

(イ) 物質の状態変化についての観察,実験を行い,物質は融点や沸点を境に状態が変化することや沸点の違いによって物質の分離ができることを見いだすこと。また,状態変化によって物質の体積は変化するが質量は変化しないことを見いだすこと。

(ウ) 気体を発生させてその性質を調べる実験を行い,気体の種類による特性を見いだすとともに,気体を発生させる方法や捕集法などの技能を身に付けること。

(ア) 物質が水に溶ける様子の観察や再結晶の実験を行い,水溶液の中では溶質が均一に分散していること及び水溶液から溶質を取り出す方法を見いだすこと。

(イ) 酸,アルカリを用いた実験を行い,酸,アルカリの性質を見いだすとともに,酸とアルカリを混ぜると中和して塩が生成することを見いだすこと。

(ア) 異なる物質同士をこすり合わせると静電気が起こり,帯電した物体間では空間を隔てて力が働くこと及び静電気と電流は関係があることを見いだすこと。

(イ) 回路をつくり,回路の電流や電圧を測定する実験を行い,各点を流れる電流や回路の各部に加わる電圧についての規則性を見いだすこと。

(ウ) 金属線に加わる電圧と電流を測定する実験を行い,電圧と電流の関係を見いだすとともに金属線には電気抵抗があることを見いだすこと。

(ア) 磁石や電流による磁界の観察を行い,磁界を磁力線で表すことを理解するとともに,コイルの回りに磁界ができることを知ること。

(イ) 磁石とコイルを用いた実験を行い,磁界中のコイルに電流を流すと力が働くこと及びコイルや磁石を動かすことにより電流が得られることを見いだすこと。

(ウ) 電流によって熱や光などを発生させる実験を行い,電流から熱や光などが取り出せること及び電力の違いによって発生する熱や光などの量に違いがあることを見いだすこと。

(ア) 物質を分解する実験を行い,分解して生成した物質から元の物質の成分が推定できることを見いだすこと。

(イ) 物質は原子や分子からできていることを理解し,原子は記号で表されることを知ること。

(ア) 2種類の物質を化合させる実験を行い,反応前とは異なる物質が生成することを見いだすとともに,化学変化は原子や分子のモデルで説明できること,化合物の組成は化学式で表されること及び化学反応は化学反応式で表されることを理解すること。

(イ) 化学変化に関係する物質の質量を測定する実験を行い,反応の前後では物質の質量の総和が等しいこと及び反応する物質の質量の間には一定の関係があることを見いだすこと。

(ア) 物体の運動についての観察,実験を行い,運動には速さと向きがあることを知ること。

(イ) 物体に力が働く運動及び力が働かない運動についての観察,実験を行い,力が働く運動では物体の速さなどが変わること及び力が働かない運動では物体は等速直線運動をすることを見いだすこと。

(ウ) エネルギーに関する実験や体験を通して,エネルギーには運動エネルギー,位置エネルギー,電気,熱や光など様々なものがあることを知るとともに,エネルギーが相互に変換されること及びエネルギーが保存されることを知ること。
(ア) 酸化や還元の実験を行い,酸化や還元が酸素の関係する反応であることを見いだすこと。

(イ) 化学変化によって熱や電気を取り出す実験を行い,化学変化にはエネルギーの出入りが伴うことを見いだすこと。
(ア) 人間が利用しているエネルギーには水力,火力,原子力など様々なものがあることを知るとともに,エネルギーの有効な利用が大切であることを認識すること。

(ア) 科学技術の進歩による成果として新素材などの利用が行われ,日常生活が豊かで便利になったことを知るとともに,環境との調和を図りながら科学技術を発展させていく必要があることを認識すること。

3 内容の取扱い  [第2分野]

1 目 標

2 内 容
(ア) 校庭や学校周辺の生物の観察を行い,いろいろな生物が様々な場所で生活していることを見いだすとともに,観察器具の操作,観察記録の仕方などの技能を身に付け,生物の調べ方の基礎を習得させること。

(ア) いろいろな植物の花の観察を行い,その観察記録に基づいて,花の基本的なつくりの特徴を見いだすとともに,それらを花の働きと関連付けてとらえること。

(イ) いろいろな植物の葉,茎,根の観察を行い,その観察記録に基づいて,葉,茎,根の基本的なつくりの特徴を見いだすとともに,それらを光合成,呼吸,蒸散に関する実験結果と関連付けてとらえること。

(ア) 花や葉,茎,根の観察記録に基づいて,それらを相互に関連付けて考察し,植物が体のつくりの特徴に基づいて分類できることを見いだすとともに,植物の種類を知る方法を身に付けること。

(ア) 野外観察を行い,観察記録を基に,地層のでき方を考察し,重なり方の規則性を見いだすとともに,地層をつくる岩石とその中の化石を手掛かりとして過去の環境と年代を推定すること。

(ア) 火山の形,活動の様子及びその噴出物を調べ,それらを地下のマグマの性質と関連付けてとらえるとともに,火山岩と深成岩の観察を行い,それらの組織の違いを成因と関連付けてとらえること。

(イ) 地震の体験や記録を基に,その揺れの大きさや伝わり方の規則性に気付くとともに,地震の原因を地球内部の働きと関連付けてとらえ,地震に伴う土地の変化の様子を理解すること。

(ア) 身近な動物の観察を行い,その観察記録に基づいて,動物の体のつくりと働きとを関連付けてとらえること。

(イ) 動物が外界の刺激に適切に反応している様子の観察を行い,その仕組みを感覚器官,神経系及び運動器官のつくりと関連付けてとらえること。

(ウ) 消化や呼吸,血液の循環についての観察や実験を行い,動物の体には必要な物質を取り入れ運搬し,不要な物質を排出する仕組みがあることを観察や実験の結果と関連付けてとらえること。

(ア) 身近な動物の観察記録に基づいて,体のつくりや子の生まれ方などの特徴を比較し,動物が幾つかの仲間に分類できることを見いだすこと。

(ア) 校庭などで気象観測を行い,観測方法や記録の仕方などを身に付けるとともに,その観測記録などに基づいて,気温,湿度,気圧,風向などの変化と天気との関係を見いだすこと。

(ア) 霧や雲の発生についての観察,実験を行い,そのでき方を気圧,気温及び湿度の変化と関連付けてとらえること。

(イ) 前線の通過に伴う天気変化の観測結果などに基づいて,その変化を暖気,寒気と関連付けてとらえること。

(ア) いろいろな細胞の観察を行い,生物の体が細胞からできていること及び植物と動物の細胞のつくりの特徴を見いだすこと。

(イ) 体細胞分裂の観察を行い,その過程を確かめるとともに,細胞の分裂を生物の成長と関連付けてとらえること。

(ア) 身近な生物の殖え方を観察し,有性生殖と無性生殖の特徴を見いだすとともに,生物が殖えていくときに親の形質が子に伝わることを見いだすこと。

(ア) 天体の日周運動の観察を行い,その観察記録を地球の自転と関連付けてとらえること。

(イ) 四季の星座の移り変わり,季節による昼夜の長さ,太陽高度の変化などの観察を行い,その観察記録を地球の公転や地軸の傾きと関連付けてとらえること。

(ア) 太陽,恒星,惑星とその動きの観察を行い,その観察記録や資料に基づいて,太陽の特徴を見いだし,恒星と惑星の特徴を理解するとともに,惑星の公転と関連付けて太陽系の構造をとらえること。

(ア) 微生物の働きを調べ,植物,動物及び微生物を栄養摂取の面から相互に関連付けてとらえるとともに,自然界では,これらの生物がつり合いを保って生活していることを見いだすこと。

(イ) 学校周辺の身近な自然環境について調べ,自然環境は自然界のつり合いの上に成り立っていることを理解するとともに,自然環境を保全することの重要性を認識すること。

(ア) 自然がもたらす恩恵や災害について調べ,これらを多面的,総合的にとらえて,自然と人間のかかわり方について考察すること。

3 内容の取扱い

第3 指導計画の作成と内容の取扱い

1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

2 各分野の内容の指導については,次の事項に配慮するものとする。 3 観察,実験,野外観察の指導においては,特に事故防止に十分留意するとともに,使用薬品の管理及び廃棄についても適切な措置をとるよう配慮するものとする。

4 各分野の指導に当たっては,観察,実験の過程での情報の検索,実験,データの処理,実験の計測などにおいて,コンピュータや情報通信ネットワークなどを積極的に活用するよう配慮するものとする。

5 第2の内容の第1分野(7)のイの(ア)と第2分野(7)のイの(ア)については,生徒や学校,地域の実態に応じていずれかを選択するものとする。

6 選択教科としての「理科」においては,生徒の特性等に応じ多様な学習活動が展開できるよう,第2の内容その他の内容で各学校が定めるものについて,課題研究,野外観察,補充的な学習,発展的な学習などの学習活動を各学校において適切に工夫して取り扱うものとする。