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●以前掲載していた写真は割愛。サービスが悪くなるけど、文字だらけにしました。


一カ条−2


 後の先を実現するためには、相手の振りかぶりに合わせて、自分は振りかぶりつつ、一気に体を前に進めないといけない。このためには、重心を前に一気に傾けると同時に、前足の膝をスイッと緩めて腰を落とす必要がある。
 攻撃する側は、力を入れるという性質をもっている。刀で物を斬るにも、まず振りかぶるという予備動作が必要だし、剣術の修行が進んでいなければ、多分後ろ足で蹴って前に出たりもする。この瞬間が、合気道の場合のアドバンテージを掴むチャンスだろう。(ただし、居合いは振りかぶる動作そのものに攻守の両面性をもたせているし、一部の剣術は振りかぶる動作を限りなく無に近づけようとした形跡もあるらしい。)
 振りかぶり、後ろ足を蹴ろうとして、相手の重心が後ろに傾いた瞬間に、自分の重心を前に出し、後ろ足では蹴らずに、前の膝を緩めて身体を倒すように前進する。が傾けすぎてはマズイので、落ちる感じで、自分のバランスは常に安定させておかなければならない。受けが早かったとしても、すぐ(二)に転換できる状態を保つべきだろう。

 ひとまず、先を取り、相手の打ち下ろしてくる腕を無事に受け止められたとしよう。
 次にはやや斜めに前進して自分の前方へ、縦に円を描くように相手の腕を斬り下ろして制していく。ここの「斜め」という点も、ちょっと立ち止まって考えたいところ。
 型として見れば、やや斜めに進むが、その方向は一律にはなり得ない。断言はできないけれど、この方向は相手との相対的な関係で決まってしまうものだろう。右斜め○度の方向へ、というような表現は難しい気がする。
 この際には、受けにめいっぱい踏ん張ってもらうことも試してみたい。こうすると、意外に多くの人が自分の一カ条を考え直さなくてはならないことになるかも知れない
 これは何度でも納得がいくまで稽古するべきだろう。合気道が武術だとするならば、害意をもって襲ってくる相手との駆け引きの技術の稽古であって、単なる共同作業ではないわけだ。共に協力して技を身につけるという意味では良質な共同作業だけれど。
 (一)という型は、すべて、このような入り身に成功しないとあり得ないだろう。ということは、合気道の型の半分ほどは、この「入り身」に正否がかかると言っても過言ではないということになる。そして入り身は、いつも後を先に転換させるための技術として作用するものになり、それを「技」と呼ぶのではないだろうか。

 さて、入り身に成功したとして、次には、相手の肘を制して、脇を開けさせて、崩すという、至極厄介な「技」が必要になる。
 今のところ私は、これが「一カ条」の正体の五割だと思っている。
 この一カ条の状態というのは、相手の手首から肩までの関節が、外転の動きによって固定された状態になり、テコ的な力の作用で敵の脇を開かせるものらしい。
 さまざまな合気道関係の入門書、解説書の類を目にしても、こういうことは記されていないし、どうすればそうなるのかも書かれてはいないようだ。実は書いては拙いことなのかも知れないが、私は達人ではないから書かれない理由がわからないし、自分の観察が正しいか不明だが、相手の脇が開き、足腰が浮き、あるいは膝が折れ、踏ん張りきれない状態になるべきではないか、と感じる。
 物理的な原理は、極単純なテコと捻転らしい。そしてテコを効率的に作用させるための、自分と相手の体重操作。
 手刀が衝突する刹那、ほとんどの初心者は、例えば右腕での攻撃を受けた場合、右腕で応じる。右手首で相手の右手首をとらえ、同時に左手で相手の右肘をとらえて押そうとするが、それだと踏ん張られてしまう。
 この場合の手の動きの一例を記すと、左右ともこちらの手は力ませず、接触した瞬間に、「相手の前腕の直径をもつボール」を右斜め前方へ、時計回りに少し回してやるような動きをしてみよう。右手首が接触する瞬間に、相手が斬り下ろしてくる力に合わせて、右手は相手の力をやんわり受け止めてさらに斬り下ろさせ、左手は相手の肘に触れると同時に相手の肘の面を嘗めるように滑らせ、振り下ろしを上げる方向性に変化させることになる。
 押すという行為は一切ない。右手首は相手の右手首を投げられたボールを受け止める具合に(衝撃を吸収するみたいに)受け止めて、左手は相手の掛けてくる力のベクトルを誘導するようにして、肘を利用して相手の腕の捻転を引き出せた刹那に、ピンと左腕を伸ばす。右の接触点は固定するべきだろう。(後日記:現在は逆になっている)
 この伸ばすという行為も曲者で、伸ばそうと力んではいけない。上腕と前腕の骨を捻転させる具合にして直線に近づけるだけのつもりでやり、相手が掛けてくる力を腕ではなく、後ろ足で受ける意識でやるといい。上手いタイミングで相手の打ち込みをとらえられると、相手は自分の勢いで跳ね返されるように前進してきたベクトルを変えて、体を崩しやすい。受けの力を歪めるということなのだろう。


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